紙の本
DNAといえば複製・案外これが知られていなかった
2005/12/27 15:46
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投稿者:理系読み物好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
DNA複製といえば、はるか昔に高校で習ったか習わなかったか、もうすっかり忘れてしまった。でもDNAという言葉だけはしっかりと頭に刻まれている。テレビでもやたらとこの言葉がかまびすしい。じゃあDNAの最大の性質はと聞かれたら・・・これが案外だれも答えられないんじゃないかと思う。そう、それが「複製」という現象だったのだ。
著者が「はじめに」で述べているように、この性質についてはおそらくあまり知られていないし、本書の副題にあるように、DNAの複製が必ずしも正確ではなく、ある意味「いい加減」であるなんてことは、おそらく誰も思っていなかっただろう。
考えてみれば、生物が進化してきたのは遺伝子がだんだん変化してきたからで、その変化がDNAが複製する過程で生じる複製エラーに起因することなど当たり前のはずだったのだが、改めて本書を読んだことで、DNAという言葉の前に立ちすくんでいた自分が見えることに、改めて気付かされた。
本書は、「DNAポリメラーゼ」という酵素の働く仕組みをメインとして、一見とっつきにくい感じを受けるが、読み進めていくと、たとえ話の面白さも手伝って、文字通り「謎だらけ」のDNA複製の世界にはまり込んでいってしまう。途中、ややこしい箇所はあるが、その難解さを差し引いても、今まで一般にはあまりなじみのなかった世界をわかりやすく解説してくれる良書であると思う。
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[ 内容 ]
私たちの体の細胞が分裂するとき、細胞の中では必ず、DNAが複製される。
生命現象の根幹を担うこの反応は、一糸乱れぬ正確さで行われると考えられがちだが、じつは思った以上に不完全で、結構“いい加減”なのである。
そして、まだまだ、よくわかっていない。
本書は、いまなお多くの謎が残る「DNA複製」の世界に的をしぼり、そのしくみをわかりやすく解説する。
[ 目次 ]
第1章 複製はこうして始まる―華やかなる細胞内シンクロ
第2章 DNAポリメラーゼはいかにはたらくか―驚くべき正確さ
第3章 DNAポリメラーゼはいかに間違うか―驚くべきいい加減さ
第4章 片足を上げるDNA―DNA複製の全体像
第5章 複製はこうして終わる―残された謎、そして憂鬱なテロメア
第6章 複製外伝―いろいろな複製様式
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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PCR検査が世を賑わせていますが、解説動画を見ても何一つ分からず、「そもそもDNAって何…」とこの本を手に取りました。
2005年と古い本ですが、おかげでお安く(Kindle500円弱)、またちょうどいい入門書でした。ありがたい。
1.2章はDNAとは、そしてその増え方。
これが読めるようになります↓
DNA二重鎖開裂はCMG(Cdc45/MCM/GINS)複合体が中心的な役割を担っており、DNA合成は3種類のDNAポリメラーゼPolα, Polδ, Polεが行うと考えられている。
ここまででだいたい本の半分の分量です。ていねいに書かれています。
3章は1.2章のおまけ、特殊なDNA修復を行なうポリメラーゼたち。
4章は5章につながる序章ですが話がむずかしい……。
5章はテロメアというものについて。
人にはテロメアというものがあってだんだん短くなって死ぬ、というのは聞いたことがある人も多いと思います。
DNAの端っこの部分をテロメアというんだそうですよ。そして短くならないためのテロメラーゼという機能もある。
さらに細胞の老化はテロメアの長さではなく、テロメア・ループの構造が正常かどうかによって左右されている……。
一般向けに書かれているので役割については易しく、飛ばし読みしても問題ないようにできています。
ボリュームたっぷりでお買い得です。
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https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057260