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紙の本
高校物理で日常の物理を解明
2001/04/21 02:36
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:田口善弘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校で物理を履修する人はごく少ししかいないと思うが、その人達も結局、なんだかよく分からない、というのが現状ではないだろうか。この本はそういう人達にお勧めだ。
本書では高校の物理で習う範囲の知識を総動員して日常的な不思議な現象を物理的に解明していく。例えば、「夜汽車の汽笛はなぜ遠く響く?」と題する第1章では、波の一般論から始まって、楽器や音速の話へと進んで最後になぞ解きをして終わる。教科書で習った無味乾燥な物理学が現実に応用されてちょっと興味がもてるようになるだろう。
一方、「物にも光にも色はない!」と題する第3章では色と光というありふれた現象に物理学から迫りながら、最後に本書の副題でもある「交通信号の『止まれ』はなぜどこの国でも赤なのか」を物理的に説明する試みを紹介する(この説が本当かどうかはよく分からない)。その他、第4章では「瓦割り 極意の秘密」と題して高校でならった力学を使って空手など日常的な現象を解題し、第5章では物質の構造を議論する。
受験勉強の物理学に疲れた人はこんな本でも読んで頭をリフレッシュしてみてはいかがだろうか?
(田口善弘/中央大学 理工学部 物理学科 助教授 http://www.granular.com/tag/index-j.html)
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