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敗軍の将の記録は、なかなか記録に残らず、残っても良くは書かれない。
そんな明智光秀が女性たちの脇役ながら、生き生きと描かれていて、また光秀について何か読みたいと思うこととなった。
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ラスト、ね!唐突だけど、びっくりね!
長い間隠し事のできるひとってすごいよねぇ。
あ 伏線は張ってたから唐突でもないのか?
まぁ、ワタクシ的にってことで。
唐突と言えばさ、ラストの辺の十兵衛さんはさすがに衝動的過ぎくない?ちょっと性格違うんじゃないの?って違和感。
「老い」への焦りがモチベってことになんの?かな?更年期障害、みたいなん?
あんなに賢いひとやのになぁ。
覇王でさえ殺されるんかぁ 更年期、超怖っ!
それにしても、ますます藤孝さんへの興味が湧いてきた。
なんかこう…「ぶぶ漬けでもいかがどすか?」みたいな人やったんかな?とか考えてしまう。
面白そうなんだよなぁ。どなたか書いてくれんかなぁ。
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明智光秀による本能寺の変の真相には諸説あるが、今作ではこれまた謎に包まれている織田信長の最初の正室・帰蝶(濃姫)の生涯と絡めてその真相に迫る。
上巻でたっぷり帰蝶に感情移入させられ、その悲惨な結末に呆然としつつも、これからどうなるのかと下巻をすぐに手に取らされた。下巻においても、漸くタイトルのドナ・ビボラの意味が分かってドキドキの展開となったのだが、そこから本能寺の変に向かうのがちょっと長く感じてしまった。最後、本能寺の変に結び付けざるを得ないのは分かるのだが、光秀が事を起こすまでのヤキモキ感ったら。ドナ・ビボラも煕子も、よくもそんな長い年月を待てたものだ。しかしながら、最後の最後、帰蝶と煕子の忘れ形見というべき二人の人間を想えば、その長い年月も無駄ではなかったのかなとも思った。
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上下巻になっていますが、上巻と下巻では違う物語と言ってもいいかもです。上巻は上巻でひとつの物語として成り立っていますが、下巻を読むとそれが緻密に考えられた壮大な前フリであることも、段々とわかってきます。上下巻通じて、信長に関わる歴史的なことを小さなことまで丹念に拾って、ストーリーに絡めていく作者の手腕には感心します。ただ、下巻は歴史事実とストーリーの融合を試みる中で少しずつ無理が感じられて、読みづらく感じる場面もありました。しかし、ラストシーンはいい意味で予想を覆される物語として上等の仕掛けが楽しめました。
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剣豪将軍義輝から気が付いたら20作品目。最近はその前のデビューからの作品の購入を考えてはいるがどうも触手が湧いてこない。正直、次の作品を心待ちにしようかと!
「ドナ・ヒボラの爪」
今まで書かなかった人が不思議なくらいというか新しい信長像と評されるが正室である帰蝶からの視線の信長像なので新しいというよりもテーマのつかみどころをうまくとったといった感じでしょう。ただし織田家を主題にとった作品は宮本先生の中では初めてなのではないかな?ただ、信長に関していえば山本先生の火天の城の信長が一番好きかもしれない。
まぁ~、それよりも諸田先生の帰蝶も購入予定にしているのですが、信長の正室でありながら子をなさなかった帰蝶の資料自体が少ないようにも感じる本能事変後も生きたとされてはいるものの、その後は今一つ掴めない。最後まで考えさせられる面白い作品です。
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上巻衝撃のラストシーンで帰蝶は一体どうなるのかと気を揉みながら下巻を捲ると、物語はいきなり八年後に飛んでいる。
そして信長の正室はすでに吉乃に代わり、その吉乃も病の床にあるのだが、京より遣わされた婦人科の名医が実は偽物で、偽医者から処方された薬でじわじわ弱って死んでしまう。つまり暗殺されたのだ。
偽医者は逃走し吉乃暗殺の黒幕は分からないままという波乱の開幕だ。
それより帰蝶はどうなったのか…という最大の興味をよそに、物語は進む。
ここでようやく明智光秀は信長に仕える。一昨年の大河ドラマでの光秀とは違い、この作品での光秀は野心家だ。それと同時に妻・熙子ともども何か秘密を持っていそうだ。それは当然帰蝶に関わることだろうと思うのだが。
何を書いてもネタバレになりそうなので詳しくは書けないが、この下巻は良い意味で作家さんの妄想炸裂という感じでエンタメ作品として存分に楽しませてもらった。
これも帰蝶という歴史的資料に乏しい人物であるからこそ出来ることだろうし、いまだはっきりとは分かっていない光秀謀反の理由もあってのことだろう。
下巻になってようやくタイトルの意味が分かるし、上巻下巻の表紙にある女性の意味も分かる。
そして上巻からして様々な伏線があったのかと何度もページを行ったり来たり。先ほど妄想と書いたが、史実とうまく絡めてあるので全くの絵空事と醒めるこもともなく物語の世界に浸ることが出来た。
何といってもクライマックスの本能寺の変だ。この作品での光秀ならもっと先々のことを考えて事を起こすのではないかと違和感があったのだが、元々ある計画があったということがとても納得できて、それだけでも面白かった。それ以上に秀吉が上だったということだろう。
また、これまでの妻・熙子というとあくまでも光秀を裏で支える健気な妻というイメージだったのが、これほど熙子の存在がクローズアップされる作品は知らないので新鮮だった。それに光秀・熙子の夫婦仲の描き方もいままでにない感じで興味深く読んだ。
下巻の信長についてはこれまで描かれてきた、果断で周囲を振り回すタイプになり勢力や権力が大きくなるに連れてその性格も思考も増長していく。そのため光秀でなくてもいつか誰かに裏切られていただろうなという気はする。
帰蝶にとって信長は、喜びも悲しみも女性としての誇りも惨めさも、愛しさも憎しみも全てを与えた男だった。では信長にとって帰蝶とはどういう存在だったのか。読み終えてみるとやはり信長にとっても帰蝶は特別な存在だったのだろうと思う。そして帰蝶が正室でなくなったあの時が、信長の絶頂への転換期であり同時に破滅への転換期でもあった。
今再放送されている過去の大河ドラマ『黄金の日日』でもそうだが、この時代におけるイエズス会や仏教界の力は決して無視できない強大なものであると同時に武士たちも互いに利用し合う深い関係性だったのだと分かる。
ちなみに作品に出てくる快川紹喜が織田勢に焼き討ちされた時の言葉が『心頭滅却すれば火もまた涼し』だったと知った。
事実は小説より奇なり、などと��うし実際にこんなことがあっても良いかも知れない。
ドナ・ビボラの『隠し爪』、そのうちに何か資料が出てきたりして。