紙の本
税金について
2015/10/31 22:07
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投稿者:けのび - この投稿者のレビュー一覧を見る
税金の用途や大企業の払う税金に関して我々はこの本を読んで知っておくとよいかもしれない。消費増税がなぜなされているのか?など、考えるきっかけとなる。
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税の公平をないがしろにするフラット化の問題について書かれてある。
・その中でに気になったのが、日本の信託制度がその利用方法によってはスイスの秘密口座に勝るとも劣らない強力な魔法陣としての役割を果たすことになるということだ。日本にもタックスヘイブンへの入り口があるというくだり。
・最後216ページに著者の強い怒りが感じられる。
「富裕層の多くは、幼くして安全な環境に暮らしその後、充実した高等教育を受けられたからこそ現在の地位があるはずで、多国籍企業も、社員とその家族が安全で豊かなインフラを享受することで、初めて企業経営が維持継続されているはずである。
<途中省略>
国民国家、すなわち民主的福祉国家の維持にはすべての階層の参加が絶対条件だ。そのことに納得ゆかない富裕層は故郷を捨てる覚悟をもつべきである。」
正直税金についてはほとんど関心はなかったが、
大いに考えさせる内容だった。
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速読で読了。論点が広がりすぎだったが、税が取れないと社会の仕組みが上手くいかないという危機意識は共有。
知ってはいたものの、日本では、銀行や商社、自動車産業の税の実負担率は低い。99頁の個別企業の実負担率の表で、改めて分かった。
本書では、分析が足りなかったが、日本企業は欧州企業に比べて、社会保障負担も低い。
利益に課税する法人税より、経済活動の対価として払わせる外形標準課税の方が、良いのだろう。
本書で指摘するように、無国籍企業への課税は全世界的な課題。
160頁の地下経済で失われた税収の国際比較も面白い表。
やはり、マイナンバー等で不正を働きにくくする仕組みを入れていくしかないのだろう。
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・課税をする時には居住地ベースか源泉地ベースかという大きなくくりがあり、この二つの考え方の対立は植民地時代から見られている。現在では二重課税こそ解決しているが、源泉所得税を徴収しない国と法人税のない国を組み合わせるなどして租税回避ができるようになっている。
・国外脱出もよく行なわれる手段で、特に移動が比較的容易なEU域内では多い。IKEAの創業者イングバル・カンプラードもスウェーデンからスイスに移住していた。同国からはビヨン・ボルグもやはり高額な税金を不満としてモナコに移住していた。現在では出国税のようなものが科せられたり、出国後も一定期間は課税されたりする。
・国際的な租税回避の典型例としてダブル・アイリッシュ・ダッチ・サンドイッチがあり、80年代後半にAppleによって開発されたとされている。
・デラウェア州では商標権や特許権、貸付金を含む無形資産からの利益には課税されない。なので、使用料を受け取るデラウェアのLLCは無税である一方、使用料の支払側では経費扱いにでいる。デラウェアのLLCはから資金を高利で貸しつけた場合の利息収入もデラウェアでは無税で、利息を支払う側では経費にできる。http://booklog.jp/users/headshrink#ネバダ、ワイオミングでも同様の制度が設けられている。
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近年話題となったタックスヘイブンを含め、国際的な課税逃れに対する警鐘を鳴らしている本。
租税回避は法律上認められた行為ではあるが、格差拡大を助長する倫理的には問題のある行為という認識で、租税回避の問題点とそれに対する対応策について解説している。
新自由主義的な流れやビジネスのグローバル化に伴って、税の累進性の軽減や国際的な租税回避が加速しているそうだ。
新自由主義のトリクルダウン理論とやらは実際には機能していないようで、格差は拡大していく一方である。
著者は倫理的な面から格差拡大は好ましくないという立場だが、経済的な格差の拡大が経済成長の妨げになっているという研究にも言及する。トービン税や貯蓄税などの導入で、課税逃れに対抗していくべきだとの見解である。
たしかに、富裕層が過剰な課税逃れをしながらも自国の社会インフラを享受するフリーライダーとなるのは許されないというのは分かる。
自分の子孫に財産を残すためだけに課税逃れをするのは、あまりかっこいいことでもないだろう。
ただ、その税金の使い道が本当に満足のいくものであるかは微妙な場合もあると思う。
財団を作って自らの資産を管理することは、単なる課税逃れだけではなく、より良い資金の使い方をしようという意思の表れでもあるように思う。
個人的には、自分なりに世界を理解して税に頼らない公平性の実現をしていきたい。