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お見合いおばさんの実力
2017/05/21 17:16
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
どのお話しもよかったけれど、心に残ったのは「婚」かなあ。いまはあまり出会えなくなったお見合い斡旋おばさん。ちょっと前までは確かにあった。適齢期の男女は必ず1回は「お見合いしてみない」って聞かれたと思う。それが少なくなったってことはやっぱり人間関係が希薄にはなっているんだろうな。都会は特に。このマサ枝のようにしっかりしなさい!と叱ってくれる人もなかなかいないし。恋愛結婚と違って、お見合い結婚は短期決戦!というのがなるほどと思った。グズグズしてる暇はないんだな。決定力に欠ける現代若者には難しいのかもな。
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すてきな短編集! 冠、婚、葬、祭をテーマにした4つの物語が、どれもピリッとしていて、鮮やか。とっても巧みで、ウム、と唸ること請け合い。わたしたちが日常で出くわす冠婚葬祭。関わり方は多々あれど、人の本質って案外そういう場面でうっかり見えてしまうもの。明るくて皮肉、そしてあたたかい。おすすめ。
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冠婚葬祭を巡る普通のひとたちの日常を切り取って描いた4本の連作。気づずに読み飛ばしてしまいそうなさりげない繋がりですがそれぞれ他の話と共通する人が登場して心憎い。お見合いおばさんの話が本人たちが真剣な分だけ滑稽に思えておもしろかなしい。お盆のお話も明解で無いところが趣があって良かった。読後はほっとするというか、ああそうか、という感じのどこか懐かしいような気持ちになりました。面白かったです。
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冠婚葬祭、それぞれを描いた4つの短編。中島さんらしい斜め45度みたいな視点が面白いです。冠で成人式のイベントを選びながら、新成人じゃなくて、成人式の取材でミスって退職においこまれた新聞記者が主役って。婚に出てくるお見合いおばさんも、世間での結婚観の移り変わりとか、最近の風潮とか、どっちもおかしいよねぇ…というのが透けて見えて、楽しめました。
それでありながら、どれもスッキリ前を向いて読み終われる作品、というのもよかったです。
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最後まで感情移入の軸をどこにおいていいのかわからなかった。
部分部分では心に響くような言葉あるいは一文があるのだけれど、総体として響いてこなかった。
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中島京子さん、文章上手いなぁと感じました。
『小さいおうち』ではどこかぼんやりとした掴みどころがない作品だなと思いましたが、こちらの方がキレがあって良いですね。
キレが良いのは短編集だからですかね。
もう少し中島京子さんの作品を読んでみようかなと思いました。
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タイトルどおり、冠婚葬祭にまつわる四つの物語です。良い意味で裏切られましたぁ。この本が、冠婚葬祭という言葉から思い描く一般的なイメージとは、ちょっと違った視点で書かれているからです。
冠婚葬祭とは、人が生まれてから亡くなるまで、そうして亡くなった後に、家族や親族によって執り行われる、行事全般を指す言葉だそうです。そもそも儒教思想の影響があるらしく、この四文字が示す人生の節目の催しを、いずれも滞りなく行うことで一人前とみなす考え方もあるようですね。
けれど、この本は家族や親族などの、内輪のお話ばかりではありません。ふとしたきっかけで知り合った、赤の他人同士の関わりがしみじみと、またユーモラスに描かれています。ここにあるどの物語も、ありふれた日常のひとコマを上手に切り取ったもののように見えますが、実はそれぞれが人生の節目にあたる出来事なのです。
昨今、ともすると忘れられがちな折々の行事には、人生を豊かにする働きがあったのだなぁと、あらためて気づかされました。なんとなく懐かしいような、ほぉっと息をつきたくなるような一冊でした。
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冠婚葬祭をモチーフにした短編4話。
冠婚葬祭を迎える本人が主人公かとおもいきや、そうでもない。切り口がおもしろかったが、全体的に毒にも薬もならない内容といった感じ。しかしながらその淡々と過ぎていく感じが良かった。
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4つの作品の連作。他の作品の端役が他で主役になる、という構成と、作中でかつてのある時代をかなり精緻に思い起こさせるという得意な手腕を発揮して、さりげないのに、凝ったつくりだなあ、と感じさせる。
この人は、物語内に、別の時代を流すのがうまい。今やそれが特徴と言えるかもしれない。
「この方と、この方」には、かつていい若いモンがプラプラしていると世話焼きおばさんや世話焼き親戚が現れて見合いを設定し、結婚へと片付けていくことが有効だった時代、「どこかできちんとなにかをあきらめて、おさまるべきところへおさま」っていた時代を流し込む。
「最後のお盆」では、近所の人が大した用もなくフラリとやってきて縁側に座り込み、お茶を飲み飲み世間話をしていく、という風景が日常だった時代。
「こうやって、ゆっくりゆっくり実を揉んでいると、色がだんだん濃くなるでしょう。そうして中身がぐずぐずになったら、楊枝を使って穴を開けるの。ちょっとずつ、ちょっとずつ種を出して、お水で洗ってきれいにしたら、口に含んで吹いてごらん—。」
「ざるに盛ったつやつやのうどん、湯気の立つ麺つゆ、茹でた青菜が食卓に並んだ。擂り胡麻、刻み海苔、しょうがのすりおろし、刻んだ油揚げ。」
匂ってくるではないか?
ほおずきの青くささ、胡麻やしょうがの匂い。。。
それとともに、それらが正しく味わわれ、正しく伝えられた時代を感じさせられるではないか。
「最後のお盆」は、山田太一「異人たちとの夏」を思い出させる。「異人たちの夏」には無理があったと思うが、こちらは成功。
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小さいおうちが図書館でなかなか借りれなかったので、
文庫でこちらを購入。
薄いし読みやすかった。
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中島京子さんの新刊を(ちいさいおうち=彼女の著作は初です)読んでみようと図書館で予約したら、すごい待ちだったので、
とりあえず他の本を読んでみようと、これを借りてみた。
「冠・婚・葬・祭」にまつわる、4つの短編。期待以上に良かった。
最初のは「あれ、イマイチなの借りちゃったかな」なァんて思ったが、以降3篇は良かった。
一番最後「最後のお盆」が一番好き。
「この方と、この方」も「葬式ドライブ」も良かった。
あまり若い方より・・アラフォーとか・・・?・・・両親の介護・葬式、自分の老い(そこまでいかなくても「あァ、年とったな、オバサンになったな」とか思う方)を感じる年代のほうが、この小説は面白いんじゃないかと思います。
結構おススメです。
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おもしろかったけれど、短編だったせいか、なんだかさらっと読んでしまって印象が薄い。あくまで個人的に、短編が苦手なので。長編だったらいいのに。文章が読みやすくておもしろくすらすらといくらでも読めそう。心のなかの台詞とか会話がつながっていく感じが、わからないけどちょっと昔の大衆小説とか、そんな感じがするようでよかったのだけれど。だれかに似ている気がする、向田邦子? もっと昔の作家かなあ?
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職場の上司からお借りした本。
中島京子さんの本は初めて読むけども、
筆致が優しくて読みやすかったです。
冠婚葬祭は人生の節目に重要な儀式ですが、
昨今そういったものが軽視される風潮であることも事実です。
お盆に親戚一同で集まるなんて、
あと20年後にはなくなっているかもしれません。
でも、本当はそういう血の繋がりを意識するっていうのは、
長い歴史の中の自分の座標を見つめなおすと言う意味で、
重要なものなんじゃないかと思ったりします。
そんなことに気づかされた作品でした。
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私の好きな「FUTON」や「イトウの恋」は、何でもないところで、クスッと笑える表現があって大好きなのだが、残念ながらそういうのはなし。でも、読み進めるうち、主人公たちのどこか諦めつつ、それでも丁寧に生活している様が、心地良くなってきた。
「この方と、この方」の“お見合いとはこういうもの”という説明に、目からウロコ。
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中島京子さん「冠・婚・葬・祭」読了。絶品でした!冠・婚・葬・祭を題材にした四つの物語‥微妙に重なり合う設定もさりげなく素敵です。