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無理(下)
著者 奥田英朗 (著)
「さっき会った元妻のことを考えた。(中略)自分は充分な養育費を払っているし、実家からの援助だってあることも知っている。要するに、元々売春をするような女だったのだ。(中略)...
無理(下)
無理 下 (文春文庫)
商品説明
「さっき会った元妻のことを考えた。(中略)自分は充分な養育費を払っているし、実家からの援助だってあることも知っている。要するに、元々売春をするような女だったのだ。(中略)自分の中に狂気めいたものを感じた。これまで理性を溜めていた器が割れ、ポロポロと感情がこぼれていく」。真面目に働くことの馬鹿馬鹿しさを知り、信じていたものには裏切られ……。5人の男女の人生が、猛スピードで崩壊していく。どん詰まり社会の現実を描いた群像劇。
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紙の本
「じゃぁどうしろってんだ一体!」という声が聞こえて来そうだ
2012/12/14 13:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
都会に住んでいる者には、分かっているようで分かってない田舎町の実態。刺激が少ない田舎町だからこそ、人々は刺激を求めて間違った道を辿ってしまったりもする。上巻で窮地に陥った人々が、下巻ではさらに絶体絶命の状態にまで陥って行く。
父親から地盤を引き継ぎ順風だったはずの市会議員は、汚職を地元の活動家に追求され追い詰められていたが、今度は子飼いの建築屋がその活動家リーダーを拉致監禁した上、殺害してしまう。変質者に突然拉致され監禁された少女は暴行をこそ受けなかった物の、たとえ解放されたとしても自分には一生ひどいレッテルが付いて回るのだと気が付き絶望する。詐欺まがいの商売に精を出していた青年は、暴走族時代からの先輩が社長を殺した上に行動を共にするハメになる。宗教に目覚めてしまったおばさんはそのせいで仕事を失った上、兄がめんどうを見るはずだった年老いた母親まで一緒に生活する事になる。生活保護受給を担当している地方公務員は、生活保護を認可しなかった事から逆恨みされ、ダンプで追い掛け回され命を狙われ続ける・・・。
ここからそれぞれ、何の救いもない。ただただ、運命の悪戯にみな身を任せるだけなのだ。救いもないけれど、何とも身につまされる。人生と言うのは生まれ持って平等では、決してない。自分ではどうにもならないひどい運命に、身をゆだねるしかない人間もいるのだとため息をつくしかない。
また物語の締め方も、賛否両論ありそうな感じがする。まぁある意味「スッキリ」する感じと言えなくもないが、何だか全てまとめてやっつけ的な終わらせ方でもあるような感触。何だかとてもシニカルでシュールな感じもするけれど、さすがの文章力で上下さらりと読めてしまう。大団円ばかりが、物語ではない。
紙の本
おもしろいんだけど・・・
2013/12/07 21:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:takekke - この投稿者のレビュー一覧を見る
ねらったとおりなのか?
・・・まぁ,ありかなとも思えるラストでもあるし。
でも,落ち着かないラストでもあるし。
う~~~ん。
紙の本
音を立てて崩れていく、危うい地盤の上の人生
2018/12/30 18:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さらさばく - この投稿者のレビュー一覧を見る
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