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ロシアの文豪ドフトエフスキーの五大長編小説の一つで名作です!
2020/06/02 10:45
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、19世紀のロシアの文豪フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキーの作品で、『罪と罰』に続く長編と言われ、また『悪霊』、『未成年』、『カラマーゾフの兄弟』と共に後期五大長編作品と言われている名著です。内容は、若い公爵レフ・ニコラエヴィチ・ムイシュキンは、幼時から重度のてんかん症状により、スイスのサナトリウムで療養していたのですが、成人して軽快し、援助してもらっていたパヴリーシチェフの死去もあって、ロシアへ戻ることになりました。ペテルブルクへ向かう列車中で、ムイシュキンは、父の死去によって莫大な財産を得たばかりだと言うパルヒョン・ロゴージンと知り合いになり、彼が熱を上げていたナスターシャ・フィリポヴナの名を耳にします。ムイシュキンの両親は、既にこの世になく、彼が公爵家の最後の跡取りであったため、遠縁にあたるエパンチン将軍夫人を頼ろうと、エパンチン家の邸宅を訪れます。ムイシュキンは、将軍夫妻とその三姉妹に知り合い、いくつかの印象的な物語を披露するうちに一家の好意を得ます。ここで彼は、将軍の秘書ガウリーラ・アルダリオノヴィチが金のために愛のないままナスターシャと結婚しようとしていることを知ります。彼女は、まだ幼いころからある資産家の情婦となっており、悪評が付きまわっていたのですが、実は誇り高い女でもあったです。一体、この後、どうなるのでしょうか。続きは、ぜひ、同書をお読みください。なお、河出文庫では3巻シリーズで刊行されており、同書はその第1巻目です。
電子書籍
この翻訳は読みやすい
2016/02/19 23:16
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投稿者:かんけつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドストエフスキーは難解で読みにくいイメージがあると思うのだが、読んでみるとそんなことはなかった。こなれた日本語訳ということなのだろう。
とはいえロシアの人名はなかなか慣れない。
主人公のムィシキン公爵、1巻目のヒロインのフィリッポヴナとか日本人には馴染みがなくて当然かも。
大事件は起こらず、ナスターシャ・フィリッポヴィナとエパンチン将軍の秘書ガヴリーラの婚約を巡る陰謀が、多額の遺産を手に入れたロゴージン、ムィシキン公爵の介入によりご破算になるという話だった。
印象的なのはヒロイン。美人で威圧的かつ破滅的。とはいえ心底悪女なわけではなく、とてもプライドが高い。結局公爵の求婚を断ってロゴージンと出て行ってしまう。続きが気になる。
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しんじつ美しい人
2015/08/31 23:19
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投稿者:mooonday - この投稿者のレビュー一覧を見る
新潮文庫・木村訳を読んでみて、登場人物の心の動きを捉えきれなかったような気がしたのでこちら河出文庫・望月訳にて再読しました。望月訳は他にも幾つか読みましたが、クセがなく読みやすいと思います。
ただ人物名の表記について、木村訳では原文通りに「ファーストネーム・父性・ファミリーネーム」や「愛称」の使い分けがされている所、望月訳では「ファーストネーム」のみに統一されているのが残念です。人物の識別を容易にする=読みやすくなるというのは分かるのですが、名前を呼ぶ側・呼ばれる側の距離感・関係性のニュアンスが汲み取れなくなるという点で物足りなく感じてしまいました。
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小説を読み始めた頃、それこそ白痴のように読み漁ったドストエフスキーの長編小説。中でも白痴は一番好きだったので、新訳が出ていてとても嬉しかった。
ムイシュキン(ムィシキン)公爵が列車でペテルブルクに来る所から始まるストーリーは、今まで良くも悪くも保たれていた均衡が崩れ始めるような・・・例えるならジェンガを一本一本抜いていくような緊張感があり、もうわくわくがとまらない。作者は本小説が失敗作だと自分で評していたようだけど、個人的には大満足。
第一部で印象深いのは、やはり主人公ムイシュキンが持つ周囲の人間を引き寄せる力だと思う。列車の中でのロゴージン、エパンチン家の召使をはじめとして、白痴白痴と言われながらも何故か気に入られてゆく。私自身、列車内会話の時点でぐいぐい引き込まれていった。
細かな感想は、3巻まで読み終えて纏めて書こうと思っている。以前読んだ新潮訳と訳の比較はできないけど、普通に読みやすかったとは思う。解説も豊富で、特に時代背景についてしっかり書かれているのはありがたかった。次を読むのがすごく楽しみ。
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ドストエフスキーの新訳が出たということで挑戦。とりあえず罪と罰より読み進めるのが辛い。けど、当時のロシアがどんなだったか知ることができて面白い。
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ムィキシン公爵の存在は何を表しているんだろう?ある種の二面性(賢さとお馬鹿さん)を持つ純粋無垢な青年として描かれているけれど実際は…?ナスターシャの最後の行動の意図は…?ムィキシン公爵の死刑に関する話はかなり興味深い。
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3巻中の1巻を読み終えたところです。
きっと題名だけなら^^誰もが知る名作です。
でも、若い時から読んでみようと思ったことはありませんでした。
ロシア文学は小難しくて暗いというイメージがあったから(読んだこともないのに^^)
今回、お友達のレビューを読んだことをきっかけに、、
帯にあった「真実美しい人・・ムィシキン公爵」という主人公にぜひとも出会いたいと思った。
白痴と呼ばれるほど純真無垢な公爵と
公爵を取り巻く個性豊かな登場人物の名誉欲、金銭欲、色欲といった大人の汚らしい部分の対比が
この話面白くしている。
この長編を流れる大筋の話の中に「アネクドート・・小話、エピソード」がたくさん散りばめられている。
そのどれもが教訓的であり、哲学的でもある(と思った。)
最初は病気持ちでその純真さゆえに「白痴」と思われたり実際にののしられたりした公爵は
話を交わす人すべてから後には好かれ、惹きつけることになる。
そして子供のように純真で愛に富む人柄は・・
高慢な美女ナスターシャ(ゆえあって歪んだ性格になっている)に
「私、はじめて本当の人間を見たわ」と言わしめた理由が分るような気がした。
大筋は暗い話どころではなく1巻の後半は急展開、突飛の展開と読者を飽きさせることなく
ドラマティックに進んでいきます。
2巻3巻と・・さらにどんな「真実美しい人・・ムィシキン公爵」を知ることになるかと思うと・・
ワクワクします^^
面白いです^^若い時に読んでおくべきだったのかもしれませんが、
私は今この齢で読んで良かったと思いました。
*あえて「あらすじ」には触れませんでした。
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鹿島田作品「ゼロの王国」を読み終えてから読み始めた。
うまく内容が整理されていたんだなと感心した。長編で会話が中心で比較的読みやすいし、登場人物の名前にノアの方舟に登場する小動物を当てたり、当時の政治状況や事件を扱ったり著者の厳しい体験を織り交ぜたり作品に深みと重みを感じる。
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ドストエフスキーは本作で「無条件に美しい人」を描こうとした。19世紀のキリスト教圏においてそれは聖性と結び付けられるのは不可避的であり、また資本主義下の社会でそれは「白痴」的なものとしてみなされることになる。物語序盤で著者自身が死刑判決を受け、執行直前に恩赦によって取り下げられた時の心境をムィシキンの口を借りてストレートに表現されているのも、そうした彼の聖性がもたらしたものなのだろうか。『アンナ・カレニーナ』の新訳と同様望月氏の翻訳は流暢かつ読みやすく、当時の時代背景を的確に押さえた解説は素晴らしい。
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自分はこの小説の主人公ムイシュキン公爵を"あの程度の人物"と言う大江健三郎が嫌いだ。誰とでも屈託なく接し、銃殺刑やギロチン刑にされる囚人のプロファイルを行い、自分を白痴と侮る人には決然と対処する、政略結婚の犠牲にならんとする女性を解放する、自分はそんなムイシュキン公爵が大好きだからだ。初めて本当の人間を見た、と言われるぐらいのヒトは中々いない。彼が莫大な遺産の継承者であることが分かり、ナスターシャの結婚話をぶち壊してからの人間関係が見もの。相手を見て態度を変える、或る種の人間の本質をズバリ突く一文がある。
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ムィシキン公爵は好感が持てる。白痴というより純粋。
ナスターシャは美しい人ということだけど、やってることは、なんだこの女は?って思うんだけど…
2、3巻読めばわかってくるのかな。
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スピード感溢れる翻訳がすばらしい。『白痴』は展開が速いので、このリズムに乗って読み進められるのはとてもいい。
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江川卓訳『罪と罰』(岩波文庫)に続き、『白痴』はこちら河出文庫の望月哲男訳を選びましたが、(他と比較した訳ではないので絶対評価として)正解。読みやすく、かつ作品のストーリー・テイストに合った訳文と感じます。
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解説
1 ドストエフスキーの人生、創作と『白痴』
2 『白痴』の世界ー風変わりな訪問者
3 旅する作家、変わるロシア
4 神話的な時空間
本書は文庫オリジナルの訳し下ろしです。
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いわゆる5大小説の中では最も読みやすく、19世紀末のペテルブルクを楽しめました。世俗にまみれた人々の中に天使のような人物が舞い降りたらどうなってしまうのか。