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世界中に散らばりながら、世界に多大な影響を与え続けてきたユダヤ人の歴史が非常によくわかる一冊です!
2020/05/22 09:43
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、世界中に散らばって、かつ世界に多大な影響を与え続けてきたユダヤ人の3000年以上にもわたる歴史が非常によく分かる一冊です。同書では、それぞれの時代において存在した有力なユダヤ人社会を体系的に見ながら、その変容を追っていきます。同書の内容構成は、「第1章 古代イスラエル人の起源とその王国」、「第2章 ユダヤの地とディアスポラの起源」、「第3章 ローマ帝国下のパレスチナとササン朝ペルシアのバビロニア」、「第4章 イスラム社会におけるユダヤ人/イスラムの勃興と中世の終わりまで」、「第5章 中世キリスト教ヨーロッパ社会におけるユダヤ人」、「第6章 オスマン帝国と中東におけるユダヤ人」、「第7章 西ヨーロッパのユダヤ人」、「第8章 東ヨーロッパとアメリカ合衆国のユダヤ人」、「第9章 ホロコースト」、「第10章 シオニズムとイスラエル建国」、「第11章 1948年以降のユダヤ人」となっています。
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ユダヤ人
2013/03/28 11:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kazu - この投稿者のレビュー一覧を見る
はるか昔に栄華を極めた時代から、憎悪される標的になるまで周囲の環境に合わせて生き延びてきたユダヤ人。
ユダヤ人が金融業に就業せざるをえなかったことやイスラエル対パレスチナ(英国や米国を含む)の軋轢関係まで一冊に凝縮。
英米文学でのレポートにも役に立ちそう。
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コンパクトな入門書
2012/12/28 22:04
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投稿者:sursum - この投稿者のレビュー一覧を見る
短い内容でこれだけ充実した記述ができるのは驚異的。
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分かりやすい
2020/12/28 23:43
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投稿者:きなこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ユダヤ人・ユダヤ教について知りたいと思っても、なかなか分かりやすい一冊というのは見つからないのですが、この本はユダヤ人について知りたいけど何を取っ掛かりにして知っていったらいいかわからない、という人でも読みやすく理解しやすい本だと思います。
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様々な国の様々な国籍の人達の中に存在するユダヤ人たち。そんななか、ともすれば希薄になってしまいそうなそのユダヤ人としてのアイデンティティーを、当人たちはとても強く持ち続けてる。
それがすごく、羨ましく思えました。
自分や自分の祖先のルーツがどこにあるか語れる日本人は、そう多くはないのではないでしょうか。
そんなユダヤ人をユダヤ人たらしめる歴史を、主観を省き淡々と述べているのが本書。
とても分りやすく簡潔に書かれているのですが、エンターテイメントを目的とはしていないので、予備知識がなく、正直なところ興味もあまりない自分には、読んでいて退屈に思える部分もいくらかありました。
それでも大半は興味深く読め、何度も消えてしまいそうになりながらもついに国家を形成するにまで至ったその経過。宗教の違いという理由で始まる差別と、改宗してもなお当然のようにその差別が続くさま。各時代での、国家単位でのユダヤ人に対しての対応など、色々と考えさせられることがいっぱいでした。
あまり深く掘り下げられてはいませんでしたが、イスラエル建国にあたって「言語の復活」という他に例のない現象がみられたということが、一番印象に残った部分でした。
広くグローバル化が叫ばれるなかで、言語が民族や自己に与え、及ぼす影響とはいったいどんなものなのでしょうか。
自分が自分であることとはなにか。日本人が、日本人であることとは。
ユダヤ人の歴史は小さな自分の中にひそむ物語であり、大きな世界を表す縮図のようなものでもあるのではないかと思います。
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ディアスポラやホロコーストなどで”虐げられること”を嫌というほど経験しているはずなのに、パレスティナの人々を虐げているイスラエル。なんとかならないものなのか…。
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一回目読了。
一回ではちょっと理解できなかった。けど、多分かなり分かりやすく書いてあると思います。
私に、専門用語や地理、歴史などの知識があまりにも乏しいため、読み進むとだんだんわからなくなっていくような感じがしました。それでももう一回読んだらよく分かるような気がしています。
今のところ、まだ「なんでそんなに異端扱いされてきたのか」というところがピンと来ていません。
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米国在住のユダヤ人でラビである著者が、ユダヤ人の歴史を、旧約聖書の出エジプトから20世紀の終わりまで概観している。パレスチナだけでなく、中東やヨーロッパを含む世界中のディアスポラ社会の変遷を辿っている。体系的で読み易く、断片的な知識を整理するのに大変役立った。建国後のアラブ諸国との確執についても、変にイスラエルびいきではなく、冷静中立な筆致で好感が持てた。入門書として、教科書としてお勧めできる。ヘブライ語についてのコラムが興味深かった。
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ブルックリンにあるハシディックのユダヤ教徒のツアーに参加し、改めてユダヤ人の歴史を知る必要があると思った。
ツアーの中で何度もトーラ(モーセ五書)が話題になったのだが、自分の勉強不足で知識が追い付かない。
モーセの十戒や旧約聖書のことはおぼろげに理解しているのだが、体系立てて理解ができていない。
本著はユダヤ人の起原から現代まで約三千年以上に亘る通史を入門書的に著したものなのでとても分かりやすい。
ユダヤ人は世界各地に拡散しているのだが、例えば、何故、ロシア東欧にあれだけの移住が起こったか、歴史を追うとその背景がよく理解できる。
ユダヤ人の歴史は迫害の連続で、途中、読むのも辛くなる程の内容なのだが、それを背負ったユダヤ人のアイデンティティは我々には計り知れない強さがあるのだろう。
民族のもつアイデンティとそれ故のコンフリクト、これは単にユダヤ人だけの問題でなく、現在も世界中で起こっていることである。ユダヤ人の歴史を学ぶことは、それらの問題に向う意識の基礎を学ぶことなのかもしれない。
以下引用~
・(「トーラー」に関して)ある部分民族的アイデンティそのものを宗教にしてしまったのである。この創作こそ、今日に至るまで、ユダヤ人のアイデンティティとユダヤ人の宗教の大きな特徴となっている。
・封建制度のもとユダヤ人が土地を所有することはめったになく、仮にあったとしてもやがては奪われる運命にあった。この特異な地位は、ヨーロッパの民衆とユダヤ人の社会的、経済的な立場の違いの根幹をなすものであった。そして、それに宗教的異質性が加わり、一般民衆が安定した生活を送れた良い時代においては嫌悪、悪い時代においては憎しみの対象となった。
・十字軍の活動とともに始まったユダヤ人迫害の波は中央ヨーロッパのユダヤ人を東のポーランドやリトアニアのほうへ追い立てた。東の国々の支配者たちがユダヤ人を喜んで迎え入れた事実も見逃せない。オスマン帝国のスルタンがセファルディムの持つ高度な知識と技能、国際的なビジネスネットワークに目を付け、自国の領土に移住することを奨めたのと同じような理由で、ポーランドの王や貴族はアシュケナジムを彼らの領土に招いた。
・ドイツにいたときからユダヤ人の話すドイツ語にはヘブライ語の要素が交じっていたが、東ヨーロッパに来てからはそれにスラブ語の要素が加わり、元のドイツ語とはかなり異なるものになってきた。これがイディシュと呼ばれる言葉である。
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少数民族は、国家において、景気・環境が良い時は人権が確保される。一方で、景気・環境が悪くなったときは、嫌悪の対象となり差別的な扱いを受けることを大原則として話を読み解く。
ユダヤ国家誕生の地はイスラエル。エジプト文明とメソポタミア文明という二つの大きな勢力に挟まれた小国であった。国として成り立っていたのは、BC1000ダビデ王が国家統一し、BC500頃にバビロニア人に滅ぼされるまでの間のみである。その後は、ギリシャ、ローマ、ペルシャ帝国、イスラム教、キリスト教、オスマントルコ帝国など大国の盛衰に多大な影響を受けながら、世界各地に分散して定住する。
世界各地で少数派、異教徒であったユダヤ人は土地を所有する権利がなかった。そのため、農業以外で稼ぐ術を考えなければならず、金融、貿易などに強くなったと考えられる。
ユダヤ教にとって良かった出来事、悪かった出来事を以下に列挙する。
良かった出来事
神学中心→資本主義(知的活動)への社会の流れ
自由の国アメリカ
30年戦争、、独立戦争(戦費調達で活躍)
ナポレオン
オスマン帝国(繁栄期)
イスラム教(繁栄期)
ペルシャ帝国(繁栄期)
悪かった出来事(基本的には、環境悪化→市民の心底にある差別意識が爆発の流れ)
ドイツWWIの敗北
赤色恐慌
ペストの流行
ナポレオンの死
バビロニア人の侵略
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ふとしたことからユダヤ人とは?と思い購入した一冊。3000年の歴史を一冊で読もうというのだから無謀な話です。キリスト教と世界史がわかっていないとなかなか理解が出来ません。島国に生まれ育って国籍と人種が同一だとぼんやり思っていたので流浪の民の今日までの道のり複雑さに胸が打たれた。今、世界を動かしているのはユダヤ人だとも聞いた。土地はないけど賢い頭脳とマネーがありユダヤ教を信じて歩んできた結果なのか。おぼろげながら何かがわかったような気がして今後のパレスチナやエルサレムの問題を見守っていこうと思う。
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人とは何か、世界とは何か、という二つの問いへの探求が、つまり自分の中への疑問と、外への疑問が、あらゆるモチベーションであり、芸術や運動や科学であるし、どちらの問いに依存するか、というのが、理系か文系か、というような糞脳野郎の分類よりも、正しい選り分けに思うのだけど、僕はそのどちらにも興味が尽きず、で、じゃあ、人への問いへの探求の、究極は、詩と歴史とのあたりにありそうだというのが、最近勝手に思ってることで。
民族の共有する物語を宗教とするなら、イスラエル建国に、大政奉還を重ねて考えてみたりしたくなるのだけど。
まぁ、とにかく、今の世界情勢のひとつがわかりやすくなる本でした。
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[関連リンク]
「ユダヤ」を知るならこの一冊 『ユダヤ人の歴史』 - HONZ: http://honz.jp/17512
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アウシュビッツに行き、ユダヤ人に興味が出て読んだ本。何千年もの大きな歴史が一つのうねりとして書かれているので分かりやすい。
キリスト、イスラム、ユダヤの関係もどういった経緯で現在のようになっているのかがわかってスッキリした。
ユダヤ人が歴史の中で様々な要因で迫害されているが、どういった要素、社会的状況や文化の違いなどが人間に迫害や差別を引き起こすのかも興味深かった。
迫害の歴史の中でのユダヤ人の言葉「財産や、土地、社会的地位、を奪われても知識だけは奪えない」という言葉がかっこいい。
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シェイクスピアのヴェニスの商人を読んだことがきっかけで、なぜユダヤ人がその歴史の中で迫害され続けてきたのか興味を持ち本書を手に取った。
ユダヤ人は3000年の歴史の中、世界中で迫害され続けてきた。時に多少の信仰の自由を謳歌できたこともあったが、基本的に迫害されてきたことは一貫している。
そのように迫害されてきた民族の一部が、イスラエル建国を望むようになったのは理解できるし、3000年の時を経てそれが実現されたのは驚異的なことだと思う。
しかしイスラエル建国後に、今度はイスラエル人(ユダヤ人)がパレスチナ人を迫害するようになったことはある種の皮肉である。迫害されてきたマイノリティも、マジョリティになった途端にマイノリティを迫害する側になるというのは、歴史が物語る悲しい事実である。