「自分づくり」の法則

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：Blissful Life　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

加藤先生の著書はもう何冊も読ませていただいている。
この『「自分づくり」の法則』はその中でも素晴らしい。
個人的に、一番好きな一冊となった。

先生ご自身の体験をふまえた、切実で説得力のある内容は
いつも、悩んでいる人の心にダイレクトに届く。
私自身も、決して健全とは言えない家庭で育ったので
いかに自分の家族が病んでいたか、
そこから死に物狂いで這い出そうとしてきた自分の努力が
決して間違ったものではなかったことを思わせてくれる。

人といると疲れる、なぜか他人に迎合してしまう、自信が持てない、
人と比較して落ち込む、自分の考えが無い、やりたいことが無い、
人を信頼できない、すぐに嫉妬してしまう、嫌われるのが怖いetc・・・
そんな悩みを持って、日々生きている人は意外と多い。

でもそれは、もしかしたら、歪んだ家庭環境で作られた
歪められた視野なのかもしれない。
自分がいかに、信頼する人を見分ける目が無かったか、
自分がいかに依存的で、本当に優れた人に対して敵意を向け、遠ざけていたか。

「本当の自分はこんなもんじゃない」
と、がむしゃらに動いてきたものの、方向性は合っているのか？
世間の人を「敵だ」と感じ、敵から身を守るように、
表面的なもの、権力や地位、外見的魅力、話術、そんなものだけで
自分を作り上げようとしても、結局、心の安寧は得られない。
どんなに武装して「自分探し」をしても、自分は見つからない。

自分の足元を見つめて、自分の本当の望みと気持ちを、
見つめなおすことから始めなくてはならない。

人は誰でも、強い部分と弱い部分を持っている。
優しい人とは、人の弱い部分を受け入れる器のある人である。
ただ、そのものを受け入れるのである。
そういう、本当に信頼できる人と関わっていくことで、人は癒される。
自律性を獲得し、建設的に淡々と、人生を歩んでいる人と出会い、
そういう他者と自ら能動的に、愛を持って関わっていくことで、癒される。

何度失敗しても良い。色んな環境で、色んな人と出会うこと。
自分の依存心や、敵対心、虚栄心を見つめること。
決意した人は必ず、変わっていく。

過剰に意識し過ぎた「自分」を手放すための、
素晴らしい指南書である。