読割 50
電子書籍
ギャンブル依存とたたかう(新潮選書)
著者 帚木蓬生
パチンコ、麻雀、競馬、競輪……。「庶民の娯楽」という美名の陰で、急速に増加する依存者の群れ。「少しだけなら」と言い訳しながら、深刻に精神が蝕まれていく。ギャンブル依存は意...
ギャンブル依存とたたかう(新潮選書)
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ギャンブル依存とたたかう (新潮選書)
商品説明
パチンコ、麻雀、競馬、競輪……。「庶民の娯楽」という美名の陰で、急速に増加する依存者の群れ。「少しだけなら」と言い訳しながら、深刻に精神が蝕まれていく。ギャンブル依存は意志の弱さとは無関係。家族や知人を巻き込み、誰しも陥る危険な“病気”の全貌と立ち直りへの道を、作家・精神科医の著者が明らかにする。
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紙の本
自分には無関係だと言い切れる人はどこにもいない
2005/01/24 12:30
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちょも - この投稿者のレビュー一覧を見る
正直に言うと“ギャンブル依存症”は自分には無縁だと思っていた。只自分の好きな作家帚木蓬生氏の作品というだけで手を取ってみた。しかしこの考えが甘いことは本書を開いて一頁目“はじめに”の第一行目からで思い知らされる。
“自分はギャンブルなんか嫌いだ、まったく興味がない一切やるつもりがない、と言う人がいます。しかし忘年会や新年会の集まりで、ビンゴゲームをやると、乗ってこない人はまずいません。(中略)ビンゴゲームもれっきとしたギャンブルなのです。(中略)誰もがギャンブル依存症になる素質を持っているのです。(中略)なぜなら、人間の脳の仕組みがそのようになっているとしか思えないからです。(後略)”
ギャンブル依存症が病気であると認められたのはまだ20年ほど前のことで世間に広く認知されたとは言い難い状況にある。この本は“病い”である“ギャンブル依存症”とはどのようなモノなのか。“病い”であるならば治療しなければならないわけでその為にはどのような方法があるのかを素人にもわかりやすく説いてくれる。公的な統計はまだ無いがアメリカやヨーロッパの統計や日本のアルコール依存症患者数などを勘案し著者は日本には200万人の“ギャンブル依存症”患者がいるという。“ギャンブル依存症”患者は多くの負債を抱えているため、家族友人他患者の周りの人たちに普通の病気の看護、介護以上の負担を強いる。その影響を受ける人数は高齢者とその介護に当たる人の人数と比べても決して少なくない。にもかかわらず国他公共機関の施策は皆無に等しい。さらに日本の特殊な警鐘を鳴らす。あくまでも“遊技”であり“ギャンブル”ではないとされる“パチンコ”“パチスロ”、そして気軽にお金が借りられる消費者金融、闇金融。この環境は予備軍をどんどん依存症に引きずり込み、また治療中の患者を元の依存症に引き戻してしまう。このままでは社会の土台が腐っていくと著者は強く警鐘を鳴らす。自分には無関係だと言い切れる人はどこにもいないと誰もが自覚すべき深刻な問題。一人でも多くの人がこの本を手に取りこの問題を考えるきっかけにしてもらいたい。
紙の本
ギャンブル依存に警鐘を鳴らす
2007/01/09 22:10
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くろさま - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家である著者が、もう1つの顔である医者として、ギャンブル依存の問題を取り上げている。医者としての顔で本書を記したのは、”あえて”ということなのであろうか。
「ギャンブル依存は病気である」。本書の訴えはこの一文に尽きる。それはとりもなおさず、その認識が広まっておらず、第一歩も踏み出していないからである。
事例を取り上げつつ、依存が発生するメカニズム、医学的な対処法、社会的な問題についての概論を知ることができる。本書を読んで最もハッとさせられた部分を取り上げる。
ギャンブル依存になってしまった妻に対して、誓約書を書かせた上で「これで最後だ」と借金は肩代わりすることがよくある。だが、そのような対処法はとらないことが基本である。なぜなら、ギャンブル依存に人に対して、借金をなくすというやり方は、薬物依存の人に薬物を提供するようなものだ。
なるほど。