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電子書籍
関西人の正体(小学館文庫)
著者 著:井上章一
【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。カニやフグだけが関西ではない! 「...
関西人の正体(小学館文庫)
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関西人の正体 (小学館文庫)
商品説明
【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。
カニやフグだけが関西ではない! 「風俗発祥の地・大阪」はぬれぎぬ! 関西弁でも抽象的思考はできる! 江戸こそ本当の食いだおれの街! 関西人だってナットウは食べる! 日本が低迷期に入る21世紀こそ関西文化圏が再び浮上する! ステレオタイプな関西論の数々を茶化し打ち壊す、京都出身で阪神タイガースを愛してやまない著者による独創的で楽しい関西論。関西を見る眼が変わること間違いなしの、新発見と知的興奮に満ちた一冊!
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紙の本
関西への誤解を解消するのに役立つかも
2011/08/21 10:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
美人論、桂離宮、霊柩車など、ユニークな視点で文化を読み解く井上章一の本としては、かなり軽めの本だ。関西人の正体とは言っても、大まじめに論じているわけではない。著者も言うように、そもそも神戸が抜けている。関西人と何らかの接点のある人が、読んで面白がるような本である。
著者は、関西は没落しつつあるという認識のもとに、本書を書いている。これは、繰り返し出てくる。
例えば、92年の夏に、NHKラジオ大阪放送局が9時間の間、大阪弁だけで放送しようという企画を立てて実行した。NHKは標準語なるものを、全国津々浦々にまで押し広げてきた放送局だから、ここに大阪弁を守ろうという発想が生まれたこと自体、先行きが危ういことを示していると。
大阪の街を宣伝するために、「おおきに」、「まいど」といった大阪弁を大書きしたポスターを制作するなどという行為は、大阪が「辺境」になり始めたことを自覚し始めているからではないかと。
2008年のリーマンショック前、トヨタをはじめとする勢いのある企業が集まる名古屋が元気だと盛んに言われた。そのとき、大阪をはじめとする関西圏は地盤沈下しているという危機感が広がった。本書は最初95年に刊行されたが、著者の指摘後も、その傾向は続いていたことになる。
本書は、関西のあれこれを面白おかしく論じているが、けっこう今後の関西の盛り立てには、本腰を入れてかからないといけないのかもしれない。
「マスコミの作る関西弁」という章が面白い。東京の編集者が、関西弁を誇張して載せるので、ゲラのチェックが大変なのだという。井上章一はふだんから関西弁でコメントするのだが、必要以上におかしな関西弁に仕立て上げられてしまうので、修正しなくてはならない。「こっけいな関西弁を語らせることで、道化的な役割を押しつける」とも解釈する。そういう部分はたぶんにありそうだ。
「大阪の女はケバい」という章もそうだ。著者も言うように、大阪の女性がハデだとう事実はない。東京のキー局が、大阪らしい映像を求めるときに、わざわざミナミを歩くハデな姿の女性を撮らえて、繰り返し放送するからそういうイメージが定着してしまうのである。
京都の「ぶぶづけ」伝説もかなり笑える。暗にお客に帰ることを促す常套句として、理解されているが、いまどき、そんな言い方で客を帰す京都人はいないとする。
ただ、こうした伝説が流布して、力を持っているのも、まだ関西に一定のプレゼンスがあると思われているからだという著者の指摘は妥当だ。誤解が広まりもしないほど、関西の力が落ちてしまってからでは遅い。
ともあれ、むずかしく考えず、ちょっとした空き時間などに、ささっと読んでしまうのがちょうど良い本である。「こういう誤解ってあるある」などと思いながら。