紙の本
作者の渾身のメッセージ
2021/09/18 09:26
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投稿者:ununknown - この投稿者のレビュー一覧を見る
高橋源一郎のデビュー作「さようならギャングたち」を読みたいと思い本屋にいったものの、「ギャング」はなく、代わりにこの「ジョン・レノン対火星人」が置いてありました。
これが彼の真の処女作です。
最初は買うつもりはなかったものの、ふと立ち読みしてみると、巻末に評論家の解説と並んで、『「文学」など一かけらもない』という高橋源一郎自身の短い解説がついていました。
とにかくその著者の解説がかっこよすぎてついつい買ってしまいました。
この作品は著者自身の言葉通り、「奇妙」で「バカバカしいもの」で「最低」で「唾棄されるようなもの」で「いい加減」で「顰蹙をかうような」もので「グロテスク」で「ナンセンス」で「子供じみて」いて「お上品な文学者全員から嘲られる」ような作品です。
ストーリーを楽しむような作品ではありませんが、作品全体を通して、作者の力強いメッセージが怒涛のように伝わる作品です。
紙の本
更なる挑戦は続く
2020/04/15 13:01
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分の小説にさえうんざりしてしまう、冴えない作家の「わたし」に笑わされます。突然の侵入者から理不尽な暴力まで、これまでの日本文学をぶち壊すようなエネルギーです。
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▼高橋源一郎初期三部作の最終巻。ギャングたちの底に流れる優しさもいいけれど、当時の僕にはコレが一番しっくり来ました。▼冒頭の東京拘置所でのオナニーの記述から、とにかくリズムがいい。そしてエンディングの壊れ方がまたまた素晴らしい。▼他の2作もそうだけど、アメリカンニューシネマのエンディングにも繋がるものがある気がします。
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はじめて個人売買を利用して手に入れた本がこれ。購入したのは新潮社刊の文庫ですが、画像がなかったので現在の版元である講談社のをUP。
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高橋源一郎、幻のデビュー作。おもしろい以外の何者でもない。けれど、僕は「さようなら、ギャングたち」の方が好き。(06/10/31)
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何度読んでも泣けます。
ボリス・ヴィアンの「うたかたの日々」と読後感が似てるけど、
こっちの方が更にせつない。。。
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いままで読んだ高橋源一郎の小説の中で、
2番目に面白かった本。
68ページの
「ヘーゲルの大論理学」なる人物が
「突発性小林秀雄地獄」なる病気を
発症させる部分が好き。
こういう文章が出版されている事実に
とても自由を感じる。
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入手方法:池袋のJUNNKU堂。「虹の彼方に」勉強会に備えて。
露悪趣味、で片付けてしまう人は多いでしょう。
しかしではなぜわざわざ露悪をするのか。
数々の名前を持つ「手淫」をわざわざ「手淫」と表記する作者は、まさに独房の前の住人に死体の描写を送りつけ続ける「すばらしい日本の戦争」そのものです。
そのものは、悲しみでできています。
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このころの作品は好き。ジョン・レノン対火星人。狂気なんだか、マジメなんだか。あのころの空気が詰まった世界で突き進む物語。馬鹿騒ぎの中での静謐のような寂しさを感じます。
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理解不能な「ジョン・レノン対火星人」というブロックサイン。相手チームにそのサインが読まれることは無い。だけど仲間にもそのサインは解読することができない。サインが読めないうちに対戦相手の左ピッチャーは苦手な「肩口から入ってくるカーブ」を投げ込んでくる。僕らはどうすればいいのか?同じように死体を描写した手紙ばかりよこす「すばらしい日本の戦争」と僕らはどう向き合えばいいのか。義人は自らの受難をもって救済をなす。
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高橋源一郎、幻のデビュー作。
第一作として群像新人文学賞に応募して落選した『すばらしい日本の戦争』を少し書きかえて発表したもの。
僕個人的には『さようなら、ギャングたち』の方が完成度が高い気がするが、この作品も充分に素晴らしい。
『さようなら、ギャングたち』に劣るとは言えど、これは彼のデビュー作だ。
それを考えると、こんな作品をデビュー作でかける高橋源一郎はやっぱり天才だと思う。
『ギャングたち』にせよ、この作品にせよ、一度読んだだけでは完全に理解することは出来ないし、味わうことも出来ない。
『ギャングたち』の場合は、読み進めながら、加藤典洋の解説を読んで、読み進めて、理解して、味わって、もう一回解説を読んで、もう一回読み直す。それでもまだ足りないし、味わいきれない。
今回は内田樹が解説を書いているが、今回も同様に、本文読んで、解説読んで、本文読む。
それによって、面白さも、感動も、美しさも倍になる。
『ギャングたち』にせよ、『ジョンレノン対火星人』にせよ、アレゴリーっぷりが半端なく、そのアレゴリーっぷりを少しずつ理解し、紐解いていくとやっぱり、どう考えても、究極の私小説だなって思う。
内田樹も書いているが、学生運動(全共闘)のリアルな生き残り(実際高橋は学生運動で逮捕され、拘留中され、その時に失語症に陥っている)としての高橋源一郎による、もはや宿命的な作品であると言える。
彼がいかに小説(文学)を愛し、言葉を愛し、そして、愛するがゆえに苦悩し、苦闘して出来上がった『さようなら、ギャングたち』と『ジョン・レノン対火星人』。
これを読まずして、「小説を読んだ」とは言えない。
てか、言わせない。
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高橋源一郎の幻のデビュー作らすぃ。描写から鼻のつく強い腐臭を感じるのはこのひとか村上龍ですな。若さがあふれてなんかイテテテテってなります。ポストモダンっていわれてるけど、彼の描くテーマは普遍的な気がするし、哀愁を感じる文体は19世紀のレトロな印象も。。。とにかくすごい。「すばらしい日本の戦争」を癒す?話なのだが、すべてがばかばかしくって支離滅裂。でもそれがいいたいことなのかもって思ったらうまく術中にはめられた気がして気持ちよかったです。
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20080311
一月もたってしまった。。それもこれもオースターの原書のせい。しかも読み終わってないし。
やっと読破!このひとの日本語のつよさはなんなんだろうか?詩?わたしの名前は「リボンの騎士」初版本です。それにしても内田樹の解説がキレがよすぎて感心した。あたまいいなー。しょうせつってこうやってよむんですね。
色々考えないうちに解説よんでしまった。読み返したい。
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この作者が私の大学に特別講義に来ていた時、私は食堂でパイタンラーメンを食べていた。
パイタンラーメンを食べながら「なぜにパイタンラーメンは夏の間はお休みなのであろうか、こんなに旨いのに」と考えていた。
パイタンラーメンのスープは豚骨ベースなので別メニューの「豚骨醤油ラーメン」に似通った味ではあるのだが、パイタンラーメンにはそれとは異なる謎のこってり感があり、ラー油をたらした時にはもうとても旨いんです。その謎のこってり感の正体が夏には向かない素材なのだろうか、一体何なんだろうかと考えていた。私はその頃高橋源一郎は名前しか知らなかったので、講義よりもパイタンラーメンの謎に夢中であった。後日講義に集積した友人に聞いた所、「文学以外何でも」と銘打たれたその特別講義の後半30分は、高橋氏のお気に入りラーメン屋の話だけが展開されたらしい。その数日後、この本を読み、件の講義に出なかった事を悔やんだ。
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作者の若い頃の過激的感情が描かれております。
こちらの作品にも「時代性」を感じます。
何だか面白かったです。