Todosloさんのレビュー一覧
投稿者:Todoslo
紙の本服従
2015/11/25 04:24
さらに優れた小説
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本書が発表された2015年1月17日に、シャルリー・エブドが襲撃されたのは運命的だ。優れた小説は今現在の空気を感じて描かれる。さらに優れた小説はこれからの出来事を鋭い予感で伝える。イスラムに心をとらわれた世界を映し出した本書が、後者に当てはまるのは間違いないだろう。
2015/09/24 04:19
想像力の旅へ
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アラビア半島の遊牧民ベドウィンは全財産を持って砂漠を移動する。一度中継地点を出発すると次のオアシスにたどり着くまで休むことができない。一夜だけのつもりでシャハラザードの話を聞いたシャハリヤールは話の続きが気になって、妻を斬ることをためらう。本書を一度開くと全巻読破するまで止まらなくなるだろう。マルドリュス版の千夜一夜物語は少し堅苦しい。やはりバートン版は自由奔放で読者の空想を掻き立ててくれる。
紙の本14歳からわかる生命倫理
2015/07/22 11:51
命までもが格差社会
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この本の著者は1975年生まれだ。1990年代就職氷河期に社会にでていったいわゆる「ロストジェネレーション」にあたる。新しい価値観や技術がひろがっていくなかで、取り残されたしまった人たちもいるはず。この本のなかには経済的な格差だけではなく、生命の格差にまで苦しめられる人たちが登場する。そんな弱者に光を当てようとすることは、決して無駄ではないだろう。
電子書籍JR上野駅公園口
2020/05/02 23:21
ふたつのオリンピックに挟まれた男
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1964年の東京オリンピック開催時に肉体労働に励んだカズは、戦後の日本そのものです。2020年のオリンピックを見ることなく、上野の人混みに消えていった後ろ姿も忘れられません。
紙の本タロットの宇宙
2017/05/08 05:21
タロットが導く
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19世紀のマルセイユにさかのぼるほどのタロットカードの奥深さを感じた。1枚のカードから鬼才たちが巡り合うところが良かった。
2016/12/20 10:59
子鬼の子供
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スイスのチューリヒを牛耳っていた投資家の息子が、投資のリスクについて語るところは説得力がある。儲けのために危険を顧みないところは、父親譲りかもしれない。
電子書籍きのうの世界 上下合本版
2022/12/02 16:32
雨上がりの空が脳裏に焼き付く
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記憶力抜群男が上司の送別会で失踪する、 ミステリアスな幕開けです。3つの塔と水路に囲まれた町の秘密とリンクしつつ、虹で締めくくるのもお見事です。
紙の本虐殺器官 新版
2020/07/01 10:04
巻き起こる虐殺と忍び寄る監視
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立ち去った後には紛争が吹き荒れる、ひとりの言語学者の姿が不気味です。自由を売り渡して自国の守りを固める、超大国へのメッセージも痛烈でした。
紙の本心は孤独な狩人
2020/04/21 20:21
みんな寂しがりや
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聴覚を失った青年と、彼に魅せられた人たちが織り成す人間模様が美しいです。つかの間の交流の終わりと共に、離れ離れになっていくラストに涙してしまいました。
紙の本一九八四年 新訳版
2017/10/05 05:41
最悪の未来を描くことで
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現実の世界が抱えている矛盾点や問題が浮かび上がってきました。時代の流れが逆行するような今だからこそ、読まれるべき1冊のはずです。
2017/09/10 05:52
虚構と現実が重なる
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「続いている公園」は圧巻です。作られた物語が現実の世界を越えていく様子は、今の時代につながるものがありました。
紙の本パレード
2017/08/25 15:07
行定勲監督映画化原作
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平凡なルームシェアに隠されている思わぬ展開には驚かされました。それぞれの若者たちをスケッチスタイルで描いているところが良かったです。
紙の本唐獅子株式会社
2017/08/15 06:57
帰ってきた組員
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「唐獅子株式会社」と「唐獅子源氏物語」のふたつの本を一度に読むことができるのが嬉しいです。1970年代から80年代にかけての流行が思い浮かんできました。
2017/04/26 04:19
ねこの波間に
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可愛らしいねこの写真が満載されている。文章から貨物輸送船の内部の様子まで伝わってくるところが良かった。
2015/10/07 03:54
失ったものと手に入れたもの
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ユダヤ人の少年フリードリヒとドイツ人の「ぼく」は立場を超えて友情を深めていく。しかしナチスによって支配された時代を下で徐々に引き裂かれてしまう。著者自身も第2次大戦によって左腕をなくした。たくさんの大切なものを失うことによって、初めて本書のようなやさしさ溢れる1冊を残すことができたのではないだろうか。