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電子書籍
獅子渡り鼻
著者 小野正嗣
小さな入り江と低い山並みに挟まれた土地に十歳の尊は連れて来られた。言葉が話せず体も動かせない兄と尊を、都会の狭い部屋に残していなくなった母があれほど嫌っていた田舎。豊かな...
獅子渡り鼻
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獅子渡り鼻 (講談社文庫)
商品説明
小さな入り江と低い山並みに挟まれた土地に十歳の尊は連れて来られた。言葉が話せず体も動かせない兄と尊を、都会の狭い部屋に残していなくなった母があれほど嫌っていた田舎。豊かな自然と大人たち、霊的なるものに慈しまれ、尊は癒されていく。芥川賞受賞作「九年前の祈り」に連なる<希望と再生>の物語。
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紙の本
文体と雰囲気に不思議な味わいの感じられる小説。
2015/09/04 16:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
母に捨てられた子どもが母の嫌っていた故郷を訪れ、そこに暮らす人たちの暖かさに包まれる…という、それだけをとれば比較的平凡だな設定だが、現実と幻が交錯するようなところがある。もう死んだらしい兄にそっくりの「文治さん」なる人の幻が主人公に語りかけてくるのがその最たるものだが、それ以外にも(主人公の記憶にはない)過去の情景が差し挟まれてきたりする。戸惑うことは戸惑うが、悪くない雰囲気。
途中で書き方が変わって、主人公が海辺の町へ来る前、母親に捨てられた頃の話になるのだが、その中にしばしば「後に○○して~だろう」というような、既に現実となっていることが予測の形で語られるのが変わっていて、個性的。ただ、最後は何となく曖昧で、尻切れトンボのようにも感じた。