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あぶない叔父さん、あぶない主人公、あぶない殺人、あぶない物語
2015/09/27 18:54
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投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
何でも屋を営む「叔父さん」を探偵役にすえた連作短編集。
正直、読了直後は、期待したほどではなかったなあと思ってしまいました。
しかし、近年の麻耶雄嵩作品を振り返って本作を位置づけて考えて、少し評価を上方修正。
要するにこの作品は、推理をしない探偵(『貴族探偵』)、全知全能の探偵(『神様ゲーム』)、無謬の論理と究極の自分勝手さを兼ね備えた名探偵(『メルカトルかく語りき』)といった、名探偵とミステリの可能性を追求する試みの一旦なのでしょう。
そう考えると、連作の枠組みを利用した仕掛けが光る「あぶない海」や、叔父さんが危ないというより優しく悲しい(ゆえに、やっぱり危ないとしか言いようがない)「旧友」など、読み応えのある本格ミステリに見えてきました。
しかし、本当に麻耶作品は、飛び道具的にあぶないですねえ(褒めてます)。
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どれも出来がいまいち・・
2017/10/21 10:12
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投稿者:ずんのすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙の影絵の通り、金田一耕介を彷彿とさせる「叔父さん」が街で起こる不可思議な事件に対して、推理を繰り広げる短編集。ただどの話も内容が似通った印象を受け、最後の終わり方も尻切れトンボな内容。本格推理的な、最後にすっきりとした解決を求めると、どちらかというともやもやした終わり方に終始するこの短編集は向かないと思います。自分も本の途中から同じような終わり方に辟易して読み進めるのが少し辛かった。
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深読みしすぎた
2015/10/29 02:29
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投稿者:swing29 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小さな町で次々に起きる事件に、なぜかいつも関わりをもってしまう主人公の叔父さん。
連作短編として書かれているので、このいつも都合良く事件と関わってしまう叔父さんが、終章で何か別の秘密でも明かしてくれるのではないか、と期待して読んだのだが、普通に連作短編だった。
ちょっと期待はずれ。
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麻耶雄嵩の最新作。
主人公の高校生と、明らかに『あの名探偵』を彷彿とさせる『叔父さん』が、町内で起きる事件をひっそりと解決している。因みにこの町も、霧に包まれて何処か不気味な雰囲気が漂っている……。
主人公を取り巻く人間関係がやけに生々しかったり、『叔父さん』の優しさ(?)のベクトルが不思議だったり、トリックがハチャメチャ(※褒め言葉)だったり、『兎に角、論理の整合性さえあれば良し』という方向で突き抜けている(麻耶雄嵩の近年の著作は基本的にみんなそうだw)。
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本日のお前が言うなスレはどこですか!?
いやいや。いやいやいやいや。あぶねぇよ、叔父さん。最悪だよ、おっさん!
六本の短編の入ってる一冊。何でも屋をしている叔父さんと、お寺の次男坊である主人公の話。霧の多いある意味閉鎖的な町が舞台。
人が死んで、それがどういう真相なのか、というお決まりのパターンを踏んでるミステリなんだけどさぁ。
いやいやいや、叔父さん、叔父さん。おかしいおかしい、いろいろおかしい、お前もおかしいが主人公もおかしい。
毎話ラストで「じつはかくかくしかじかなんだ、不幸な事故だったよ」みたいなノリで話してますけどね? 自分がひとを殺してるっていう実感がまるでないね、あんた! 主人公もさ「叔父さんってばほんと優しいんだから」じゃねぇよ。人殺しだろ、そいつ。事故や正当防衛があるとはいえ、犯人、そいつだよ!! そいつさえいなけりゃみんな死ななかったよ! そいつが余計なことさえしなけりゃ、事件はもっと楽に解決してたよ!
っていう感じの話。
どこから突っ込めばいいのか分からないし、主人公は二股かけてふたりの女の子に突っ込んだ股間の棒がもげればいいと思う。
「最後の海」はやっぱりちょっと浮いてるね。どういう意図でこの話を書いて組み込んだのかな。
抜粋。ラストにある「藁をも掴む」より、叔父さんのセリフ。
「自分が起こしたことの責任はキチンと最後まで背負わなければね。それに、どんな理由があろうとも、自分の都合で人の一生を終わらせるというのは、決してやってはいけないことだから。みんなこの世界で頑張って生きているんだよ。それを邪魔する資格は、誰にもないんだから」
お 前 が 言 う な 。
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最後の最後で壮大な仕掛けが待っていると信じながら読んだが、特に何も起こらず&投げっぱなしエンドに暫く呆然。麻耶さんのぶっ飛びぶりが最高に大好きなんだけど、今作は展開があまりに同じ過ぎるのと、叔父さんによって語られる結末に全く重みがないのがしっくりこなかった。未だに自分ごときには想像もつかないような真相が潜んでいるのでは、と思わせるのも麻耶さんの凄さではあるが。
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鬱々とした霧が今日も町を覆っている―。四方を山と海に囲まれ、古い慣習が残る霧ヶ町で、次々と発生する奇妙な殺人事件。その謎に挑む高校生の俺は、寺の小さな離れに独居してなんでも屋を営む、温厚な叔父さんに相談する。毎回、名推理を働かせ、穏やかに真相を解き明かす叔父さんが、最後に口にする「ありえない」犯人とは!常識破りの結末に絶句する「探偵のいない」本格ミステリ誕生!!年間ミステリ・ベスト10常連の奇才が放つ、抱腹と脱力の問題作。
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「失くした御守」 「転校生と放火魔」 「最後の海」 「旧友」 「あかずの扉」 「藁をも摑む」
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叔父さん、一見頼りなく、見た目は怪しげではあるが、ほんとうに穏やかで、なんでも屋の仕事も丁寧にこなし、人の役に立つ好人物である。甥である優斗の相談にもいつも親身になってくれるし。だがそんな折、飛び出してくる叔父さんの打ち明け話が実は怖い。そしてそれが、各物語のオチになっている。いいのかこれで!?という感じではあるが、そこが著者らしい。叔父さん、ある意味疫病神ではないか。くくくと思わず笑ってしまう一冊である。
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またもや、意表を突く短編集。「神様」シリーズでは探偵役が神様で一行目で犯人が分かっている、という奇想天外な設定。「貴族探偵」シリーズでは、安楽椅子探偵かと思えば本当に何もしない探偵、メイドや執事、運転手にすべてを任す自称貴族。しかもこのどちらの短編集も話が進むごとに話がより煮詰められ完成度が高くなる。
そして「あぶない叔父さん」。様々な事件に遭遇する主人公の叔父さんが探偵役・・・でありながら、何と犯人!も兼ねるという推理小説中あまりない探偵役=犯人という最難関の設定で描かれる短編集。さらに一工夫してあり、密室だったりという本格モノのガジェットも詰め込まれている。ホント、この人の奇才ぶりは際限がない。早くも次の作品が楽しみ!
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最近の多作ぶりが返って怖い麻耶雄嵩の新刊です。今回も通例のミステリとは一線を画す趣向が凝らされた一冊となっています。
しかし、今回に限ってはその趣向がミステリ的な驚きを減じさせる結果になっているように思えます。
例えば、とある人物の証言が偽証であった場合、それを読者に悟られてはならず、それが明かされた時に辻褄が合うことでミステリ的な悦びが発生すると思うのです。
それが今作では「どうせこいつ嘘言ってんでしょ」と分かってしまう。よってフーダニットとしては難易度が低い。かといってなぜ偽証するのかというホワイも各編似たり寄ったり。
面白さを感じる部分は、毎回地味に成立している不可能状況を如何に解き明かすかという所でしょう。バカミスすれすれのトリックもあれば、構図の反転が効いた話もあり、そこら辺はやはり流石。
なんだかんだ言っても、全編読み終わってみれば、麻耶のミステリを読んだという充足感に浸れるのですから良しとしましょうか。
これで未収録短編も殆どが単行本になったわけですから、書き下ろしの一つでもお願いしたいところです。
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どうして主人公が高校生なのか、彼女の話とかラノベっぽくなるから要らないし……とか最初思ってたのですけど、なるほどと言う感じヽ(〃Д〃)ノミステリはミステリなのでしょうけど、読みたかったのとはちょっとチガッタ……( ´¬`)かも
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毎回、ミステリーにおける探偵役のあり方に一石を投じる…というより、保守派に喧嘩を売るような作品を届ける、麻耶雄嵩さん。今回は…探偵役が不在???
さほど期待せず読み始めたが、最初の1編で思い切り脱力してしまったよ。以下、このパターンの繰り返しなのかと思うと、読み進める意欲が大きく失せた。読者の意欲を序盤でくじいてしまう手腕(なのか?)は、ある意味すごい。
探偵役はいなくても、事件は起きるし、犠牲者がいる。したがって犯人もいるわけです。ということは…何と説明したらいいんだよ、これ。
手の内を最初にばらすというのは画期的ではあるし、前代未聞ではある。しかし、これをやるならもう一ひねりがほしい。最後の最後に罠が…なんてこともなく、パターン通りに終わりかよっ! さすがに、麻耶雄嵩の名が廃るんじゃないか。
仕掛けの部分が不満だらけな一方、語り部の少年を巡る三角関係とか、鬱々とした舞台の町とか、要らない部分に凝っているんだよなあ。その要らない部分も含め、すべて放棄して読者に投げつけたような印象を受ける。ここまで読者を放り出すなら、いっそのこと真相も一切書かずに終わってしまえばよかったんじゃなかろうか。
実は、1編だけパターンから外れるものがある。もしかして、これが何かの鍵? なんて淡い想像もしてみたけどさ…。そもそも、これが本当かどうかなんてわからない。何しろ相手が…。というか、少年よ、それであっさり引き下がるのはおかしいだろっ!
近年、麻耶さんの刊行ペースは早い。執筆意欲が旺盛なのは誠に結構だが、次も脱力させられるのか。それでも不思議と新刊を手に取ってしまう。癖になる。なぜだ。僕が麻耶雄嵩という作家を真に理解することはあるまい。
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”麻耶”という前情報が無ければ壁に叩きつけてしまったかもしれない。つまりはハーレム状態の甥っ子がひたすら叔父さんへの愛を語る本。全ての事件は叔父さんに通ず、奴は鈴木くんに匹敵するレベルの存在だ……。そこはかとないB級感が楽しめる人は楽しめるかもしれない。『化石少女』が好きなら読んで欲しい。でも一般というか、真っ当なミステリ読みや麻耶未読の人には薦められない。そういう本。僕は好きです。
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連作短編集。タイトル通り、一風変わった叔父さんのお話。
彼の周りで次々と起こる事件を甥である男子高生が語っています。・・・ですが!
最初の章で「これもしかして?」そして次で「やっぱりそうなの?」その次で「違うんかい!」またその次では「え?結局?」・・・
もう翻弄され続けました!叙述?バカミス?やっぱり本格?カテゴライズ不可能(笑)
一言でいうなら「真っ当ではない」ですかね・・・
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やっぱり麻耶さん、またやってくれました。
これも、麻耶雄嵩という作家をある程度読んだ人じゃないと面白さがわかっていただけないのでは。
あぶない?いやいやいや叔父さんではなく甥っ子の優斗くんも結構あぶないですね。
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さよ神→化石少女と同列な作品集。
この2作を読んだあとなら、強烈なラストへ向けての腹黒具合に身構えてしまうかもしれない。
ご心配なく、この作品は、全く違った形で歪みきっている。ミステリのお約束をまさかの切り返し、前代未聞のおバカトリック(褒め言葉)。唖然とさせらる。
あぶない叔父さんの愛されるべき珍行動と名探偵ぶりには、置いてかれないよう読書は注意が必要だ。
ラストの一文に込められた、邪悪とは正反対に位置する毒に溺れた私は麻耶作品がやっぱり大好きです。