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白銀を踏み荒らせ
著者 雫井脩介
日本人選手を妨害するのは誰だ!? 栄光とは無縁の日本アルペンスキー界だったが、天才・石野兄弟の出現で表彰台を狙えるところまでやってきた。しかし兄の石野ケビンが競技中に事故...
白銀を踏み荒らせ
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白銀を踏み荒らせ (幻冬舎文庫)
商品説明
日本人選手を妨害するのは誰だ!? 栄光とは無縁の日本アルペンスキー界だったが、天才・石野兄弟の出現で表彰台を狙えるところまでやってきた。しかし兄の石野ケビンが競技中に事故死。弟マークはそのショックからスランプに陥った。メンタルコーチに雇われた元柔道金メダリスト望月篠子は、マークの不安を取り去るため、ケビンの事故の真相を調べるが……。アルペンスキー界の底知れぬ闇にメンタルコーチ望月篠子が挑む。スポーツミステリーの傑作。
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紙の本
スポーツの世界ってえのは、実に卑劣なんです。心理戦で留まっていればいいのに、実際に暴力だってあります。世界が舞台になれば、それはもっと酷くなる。ディープインパクトだって、はめられたんだから
2006/10/23 20:28
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「友人のミッシェルとアルプスのリゾートでスキーを楽しむ望月篠子。彼女の前に現れた五十嵐と名乗る男は、彼女にスキーレーサーの石野マークのメンタルトレーナーになることを依頼する」サスペンス。
私にとって雫井 脩介といえば『栄光一途』と『犯人に告ぐ』の二つなんですね。特に『栄光』で登場した薩摩示現流の剣士・佐々木深紅は、なんていうか森博嗣の『Vシリーズ』に出てくる小鳥遊練無を思わせるんですね。で、今回も柔道界のチャンピオン望月篠子が登場するシリーズ。勿論、深紅も出てきます。
女子柔道で世界の頂点にたったこともある望月篠子は、その後、柔道のコーチの道を選び、留学もするなど将来を嘱望されていました。しかし柔道をめぐるドーピング事件に巻き込まれ、柔道界を去ったのです。そして今は、友人のミッシェルとリゾートでのクルーズやスキーをして傷ついたこころを癒しているところです。
そんな彼女の前に現れた五十嵐は、篠子の友人で多摩学院大学で研究助手をしている佐々木深紅の名前を持ち出し、アルペンスキーのチームのメンタルトレーナーになって欲しいというのです。中でも、昨年の富良野の大会で優勝一歩手前までいった兄ケビンを事故で亡くし、以来不調である弟のマークを担当して欲しいと。
スタート台で立ちすくむマークは、篠子の前でスタートを切ることが出来ずに失格をしてしまいます。そして彼女のメンタルトレーニングが始まりました。兄の事故のビデオを繰り返し見せることで、それを乗り越えさせようとする試みは成功するのでしょうか。そして、マークは恐怖を克服できるのでしょうか。
彼らの前に現れる怪しい男たち。はたしてマークの兄の転倒事故は、単なるミスの結果なのか、それとも人為的なものなのか。雪のガーラ湯沢で起きる事件。そうです、薩摩示現流の剣士・チェストの掛け声も勇ましい佐々木深紅も、チームの息抜きの場に参加しての犯人探しが始まります。
世界的な競技を見ると、突然ルールが変わり、今まで強かったチームが首位の座を転落することがよくあります。水泳では鈴木大地のバサロ泳法が標的にされたことがありましたが、スキーの複合でもジャンプ競技の規定が変わって、日本チームは王座を奪われたのはつい最近のこと。特に、欧米人の日本憎しの感情は根強く、日本人が優勝するような競技の多くがルールの変更を余儀なくされています。
それは、凱旋門賞におけるディープインパクトのドーピングを巡る疑惑にもいえます。ま、あれなどは、もっと日本人がディック・フランシスの競馬小説を読んでいれば、当然、対策をうてるはずのものなんです。それと似たことが、オリンピックなどの柔道の判定などにもあります。そろそろ、望月篠子と佐々木深紅のコンビの新作が読みたくなってきました。