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カラクリ荘の異人たち3 ~帰り花と忘れ音の時~

著者 霜島ケイ , ミギー

捜し物を見つけて欲しいと頼みにくる不思議な紳士や、身体が溶けてしまって、おもわず太一に取り憑いてしまった雪女。あいかわらず、色々なことが巻き起こるカラクリ荘だったが、太一...

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カラクリ荘の異人たち3 ~帰り花と忘れ音の時~

税込 671 6pt

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カラクリ荘の異人たち 3 帰り花と忘れ音の時 (GA文庫)

税込 671 6pt

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捜し物を見つけて欲しいと頼みにくる不思議な紳士や、身体が溶けてしまって、おもわず太一に取り憑いてしまった雪女。あいかわらず、色々なことが巻き起こるカラクリ荘だったが、太一には別に悩みがあった。それは、正月休みに自宅へ帰るべきかどうか――である。自宅には、義母・鈴子がいて、会えばまたギクシャクすると思うと、どうも乗り気になれない。カラクリ荘の面々はそのまま年末年始を過ごすと知った太一は、それならば自分も――と考えた。しかし意外にもレンからの反発にあってしまうのだった。「君は家に帰るべき」だと、そう強く太一を諭すレン。その言葉に、珍しく大きく動揺しおもわず怒りをレンにぶつけてしまった太一だったが……。ご町内妖怪奇譚第3巻登場! ※電子版は文庫版と一部異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください

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評価内訳

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  • 星 3 (3件)
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  • 星 1 (0件)

紙の本

あと一冊で終わるのが、もったいないです。

2009/04/29 22:13

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:紅葉雪 - この投稿者のレビュー一覧を見る

カラクリ荘の異人たち、シリーズ3作目。

あいもかわらず「人外のモノ」たちと不思議な接点を持ち続ける、カラクリ荘。

今回は中編が3作。
そのうち2作が、傷ついた心を持ち、どこか他人を拒絶する太一の内面に深く関わっていくことになる。

季節は冬。


「人間でないモノ」と顔を突き合わせる毎日にもすっかり慣れた太一の元に、義母の「鈴子さん」から手作りクッキーが送られてきたことから、彼はさまざまな心の葛藤を抱くことに。

なにより太一は「鈴子さん」が苦手。
もちろん彼女だけでなく、「人間」が苦手なのは変わりがないのだが……。


まず一作目(第1章)。
「探している『本』を見つけてほしい」と、ヒトではない『モノ』に頼まれたカラクリ荘の大家。
その『モノ』を、うっかりカラクリ荘に招き入れてしまったのが太一だったため、彼もその『本探し』に関わる事に。

太一と大家が見つけた『本』とは。
そしてその『本探し』を依頼してきた『モノ』の正体とは。

それが、鈴子さんからのクッキーと同様、太一の心を揺らす、小さな伏線になっていく。


そして第二作(第2章)。
冬休みを控え、太一が頭を痛めているのが、『正月に里帰りするべきか』という問題。
正直、彼は帰ることに乗り気でないのだ。
カラクリ荘の面々が正月も残ることをこれ幸い、自分もそうしようとするが。

普段は穏やかな、同じ下宿人のレンから、「家に帰るべきだ」と言われ、動揺する太一。彼はレンからきつい言葉を投げつけられる。

「なんか言い訳してたけど、本当は君は、ここに逃げていたいだけだから」

さらに。
「君は他の人の事なんか、何も見てないよ。見てないくせに、都合のいいようにばかり考えている。それで何かうまくいかなくなると、全然考えようともしないで仕方がないどうでもいいって投げだすんだ。(……略)」
それは太一に対して真摯に向き合おうとしている人々に対して、すごく失礼だと。


ちなみに補足するなら、レンは植物と意思疎通を図ることが出来る。それだけでなく、他人の心の痛みまでもダイレクトに感じてしまい、だからこそ太一とは違う意味で人ごみにはいられない。カラクリ荘の大家にかけられた「暗示」で、かろうじて今の生活をしていられるのだ。

そのレンに対し猛反発する太一。

そんなとき、太一は「ろくろっ首」から「決して開けてはいけない」と念をおされて、蓋をした徳利を預かることに。
カラクリ荘の大家へ渡して欲しいと頼まれたのだが、ひょんなことから徳利が壊れてしまい、さらにその中に閉じ込められていた「身体が溶けてしまった雪女」に取りつかれてしまう。

だが逆にその雪女「六花」と会話する内に、太一は自分に欠けていたものや、レンが言いたかった事に気付いていく。そして正月に家に戻ることを決心して……。


その後にも一波乱というか、もう一捻りを加えた展開を迎えるのが、この作者の巧いところだと思う。太一が里帰りする第3章は、それこそ太一でなくとも「目が点」状態になってしまうだろう。
実際に自分も「おっと!」だった。

登場人物の心の内を丹念に、だが冷静に綴っていく筆力には脱帽。そしてそれに合わせた登場人物たちの設定も見事だと思う。
この作者の別のシリーズ(そちらもライトノベルだったが)でも感心していたのだが、本当に読み応えがあり、ライトノベルは敬遠しがちと言う方たちにも、自信を持ってお勧めできる。

あとがきによると、あと一作でシリーズは完結予定だとか。
もう少しカラクリ荘の話を楽しみたかったのも本音なのだが。

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2009/04/21 19:46

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2009/12/07 10:08

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2010/08/22 23:27

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2018/12/09 18:10

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