紙の本
情熱を感じる
2021/06/12 23:29
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投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る
長めの詩も収録されていて、詩というのはこういう長いものもあるのかと思わせられる。
言葉の随所に情熱を感じる文。
古典的な題材にも触れていて感性の高さを感じる。
特に注釈が必要そうな単語には巻末の方に解説が載っているので、気になる人はそこも見てみるといいかも。
紙の本
貧乏の究極、そして、ただ、「ひとりぽっち」。
2003/10/07 18:27
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投稿者:しゃくとり - この投稿者のレビュー一覧を見る
リルケという人は、20世紀初頭を生きたドイツの詩人ですが、そのリルケの詩を富士川英郎先生の訳で、コンパクトに文庫本にまとめています。生年は1875-1926年ということですが、ある意味、平成の日本にも相通じる世界観だなぁ、と思いました。
まず、『時祷集』(1899-1903)の『「貧困と死の巻」(1903)から』を読むと、平成ニッポンの負け組サラリーマン世界を描いているかの錯覚に陥ります。そこには、貧乏ということの究極が表現され、「ただ富んでいないのにすぎない」という真理が書いてあります。リルケ自身が貧乏であったかどうかは、『クルティザーネ』と懇意にしていたことを匂わす詩があったりするので、果たして謎なのですが、これからの世の中は、勝ち組と負け組にはっきり分かれるという予想がある中、貧乏ということの本質を考えられる詩だと思いました。
『形象集』(1902-1906)の『孤独』を読むと、いつの世も孤独でいっぱいだったんだな、と思うと同時に、昨今のテレビの法律番組なんかも思い起こされたりしました。富士川先生の訳では、「ひとりぽっち」という言葉がよくでてきます。リルケの孤独は、ただひとりであるということでしょうか? この人の孤独は『幼年時代』の記憶からなされているように思います。
『ベンヴェヌータに』という詩や『エロス』という詩でわかるように、この人はロマンスには不自由しなかったようですが、『立像の歌』、『別離』、『予め失われている恋びとよ』、『涙の壷』などの一連の詩でわかるように、いつも愛を求めながら、心はひとりぽっちだったんだ、ということがわかります。結局、みんな、そうなのかな? なんて思ったりしませんか?
『噴水』や『鳥たちが横ぎって飛ぶ空間は』などを読みながら、『秋の日』を感じたいですね。ある詩人のかたがおっしゃられていたのですが、詩というものは、繰り返し味わうものだそうです。その度ごとに色彩が微妙に変化するもの、それが詩だそうです。また、何年かしたら、そんな『秋』が感じられたらいいな、と思いました。いろんな『秋』を感じてみて下さいね。
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文庫なので手軽なのが嬉しい一冊。しかも収録数が多い。私が一番好きな時トウ詩集からも、他の詩集ではあまりないものまで収められている。ネックは訳が微妙なこと。形象集や新詩集はそこそこ上手いのにー。
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「もろもろの事物のうえに張られている
成長する輪のなかで私は私の生を生きている
たぶん私は最後の輪を完成することはないだろう
でも わたしはそれを試みたいと思っている
私は神を 太古の塔をめぐり
もう千年もめぐっているが
まだ知らない 私が鷹なのか 嵐なのか
それとも大いなる歌なのかを」
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うーん、詩集とか初めてだしよく分からんのですが。
まぁいいんじゃないでしょーか。
前に読んだ総統の子らっていう本にリルケの詩が引用されてて触発され買ったのですが、引用されている詩は載ってませんでした。
モルグ(死体公示所)っていうのが結構好きかも。
こういう本全く読まない私の感想は当てになりませんがね。
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最初に買ったリルケの詩集。
その前にはランボーを読んでいたのだがあまり感銘を受けず。
んでこっち読んだら…見事に魂持ってかれましたよ(笑)
以降はリルケにすっかりメロメロ。
独特の宗教感、内的世界。暗過ぎて読めないという人も居るそうだが、
私はこの本がとっても心に『しっくり』来ます。
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優しさが前面に伝わってくるリルケの詩。旧文語は全く無く、すべて現代語なので読みやすい。
色恋を詠ったものもあれば、風景を綴ったものもある。
すべてどこか”眩しく明るくてやわらかい”。
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リルケはプラハ生まれの20世紀前半のドイツ最大の詩人。力強く哲学的な内容が多い。神に問いかけているものも多い。
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受験勉強の合間に読んでいた作品。
普段はあまり詩を読む機会はないのですが、読んでみると素直に心に響くものが多く、すっごく好きな作品です。
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昭和43年新潮社発行の世界詩人全集13リルケを父の書斎から抜き取ったのはもう4年も前。赤い装丁が美しく、何気なく手にしたら当時の自分が心酔するほどよかった。持ち運び用に文庫本も欲しいなあ。
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リルケは、やはり詩人と言ってよいのでしょうね。愛の詩人、あるいは薔薇の詩人。この詩集は、最初の詩集から晩年のものまで、年代を追って編訳されています、1冊で「リルケ詩集」と銘打つにはじゅうぶんでしょう。「詩の味わい方」がよくわからなかった時期もありました。「物語の筋を追う」ことに慣れすぎていたからかもしれません。詩を、一気に読み飛ばしてはもったいないし、でも、ある程度まとまった数のもの(たとえばひとつの詩集として出されたものなど)を読まなければ感じられないことも多いし。だけど、なぜか「○○詩集」は色々と私の本棚にあるのです。理由ははっきりしています。新潮文庫にせよ岩波文庫にせよ、詩集は小体なものが多くて、そのぶん安価だったからです。お昼休みに、昼食代を削って「今日読む本」を探すのに、なるべく安い本を選んでいた頃もあったのでした。誰にでも、同じような経験があるのでは?さて、このリルケの詩、あらためて一瞥して、私は「好き」だ、と言おうと思います。詩の翻訳は、訳者に依存するものが大きいし、それだけ翻訳が難しいということは、ようやく感じられるようになりましたけれど。「翻訳の成立可能性」について、夜を徹して語り合ったこともありましたっけ。ずいぶんと雑駁な議論をしたものだ、とも思いますが、私の基本は、今でも変わりません。翻訳ものであろうとなかろうと、感じる人は何か感じる、分からん奴には分からん。むしろ、「感じる」「読み取る」側の感じ方・読み取り方に依存するもこそが大きいはずだ。よって私は、「普遍的なもの」を信じるという意味で「翻訳の成立可能性」を信じる、と。けれど、だからこそ、そこに「良い翻訳者」が介在したほうがいい。そして、受け取る者である私自身が、能う限り豊かで敏感であるほうがいい。「豊かで敏感である」ということは、つまりそれに応じて如何様にも鷹揚になれるということです。遅かったかもしれませんが、やっとこの頃、実感として得心します。
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内容(「BOOK」データベースより)
生の不安を繊細な神経のふるえをもって歌った二十世紀前半ドイツ最大の詩人リルケの詩から、特にリルケ的特徴の著しいものを選んだ。
その独自の風格を現わしはじめた最初の詩集『時祷集』から、『形象集』『新詩集』を経て、実存の危機と深淵を踏みこえて変身してゆく人間の理想像を歌って現代抒情詩の金字塔といわれる『オルフォイスへのソネット』ならびに死の直前の詩までを収める。
内容
「大きな世界が、自分の衷に入って来ると、世界は海のように深くなる」 近代文学の空を不思議な力で飛びめぐる詩の鳥、リルケの作品の中から、生を肯定するポジティブな作品を中心に選び、訳出。
1962年刊の新装版。
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年代順に掲載されているので、リルケの変化が感じられるのが良かった。
個人的に、後半の作品に好きな詩が多い。
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いつひとりの人間が、は結構好き。
詩や物語を読むといつも自分の情緒性の低さを認識する。そんな感じが逆にいい。
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安部公房が好きな詩人ということで。構築的でかつ情緒的。冷静でかつ情熱的。キリスト教に馴染みがないと理解できない所も多いが、感覚は伝わってきて、わりと好きだと思った。