紙の本
かっこいい文章が読みたい人に。
2020/01/18 20:39
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投稿者:なまねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
音楽院の受験から始まる物語が、父の捜索、謎の楽器パンドラ、他の受験生との出会いなどで転々としていく。音楽の描写、登場人物の台詞など文章の端々がおさえた表現ながらかっこいい。SFということを意識せず読み終わった。とある場面で「純正律で転調しているんだ」という一文があって、音楽と数学が近しい存在なのだと改めて思う。惜しむらくはこのタイトル。もう少し他にあったんじゃなかろうか。
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音楽に呪われた人々の再生の物語。途中まではハーモニー meets 奇書みたいな感じかと思いきや、軟着陸。あるもう少し風呂敷を大きく広げて欲しかったと思いつつ、音楽に打ち込む人々の描写がとても良かったです。
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宮内悠介はスランプなのか?
第3章以降になってようやく期待する筆致が戻ってきてひと安心はしたものの、そもそもの設定とストーリー展開が最後まで腑に落ちないままで消化不良。謎の音楽学院ってそもそも何だったの?パンドラの力って何だったの?
「虐殺器官」の音楽版をやりたかったのかな?とも思ったけれど、自分なりの「アメリカ」を描きたかっただけなのかな?とも思ったり。思わせぶりな謎は提示されるだけで解消されることはなく、なんとなくなまま物語は終ってしまう。
ハードボイルドな客観描写はうまいが、人が交じわる会話描写は下手。2章までのクオリティはひどかった。
題材と視点の置き方を間違えなければ、またいつか傑作を書いてくれるはず。気長に待とう。
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「盤上の夜」で盤上ゲームの地平を描いた作者が、音楽は一体どこまで行くことが出来るのかというテーマを紡ぐ。
音楽とは理論なのか、その先があるのか。「音楽は、突きつめれば人間に対するハッキングだ」。音楽の不気味の谷。目隠し将棋のようにコードで会話する音楽家。アメリカという国の成り立ち。終盤に「銀と金」神威編。
パンドラ、作れないかな。
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理論と感覚の間のような表現。
ほとんどの登場人物で展開される親と子の物語。
音楽に対してのSF的な視点。
すっきりと読みやすく、マンガのように楽しめる作品でした。
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直木賞候補となった『盤上の夜』『ヨハネスブルグの天使たち』に続いて手に取った3作目の宮内作品です。初出が『yom yom』ということも影響したのでしょうか、これまでの作品と比べるとSF的な要素が薄まったエンタテイメント寄りの内容で、随分と読みやすくなっているように感じました。
本作のメインテーマは「音楽」です。主人公である脩の家族の問題、グレッグ音楽院の試験を通した脩の音楽に向き合う心情の変化、そこで発生した殺人事件、さらにはタイトルである「アメリカ最後の実験」の意味など、「音楽」に関連した出来事が重層的に読者の前に現れます。私、音楽の本質的なところは全然知らなかったのですが、特段問題なく楽しめました。純正律の転調の話などはトリビア的な視点でも興味深く読めましたし。
前述のように様々なものを内包しているにもかかわらず、分量的にみると非常にコンパクトに纏め上げられており、密度の濃い内容の作品に仕上がっています。それでいて読後感は重くありません。このバランスの良さは本作の美点だと思います。
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失踪した父を探してアメリカのグレッグ音楽院を受験しにきた脩。父は一時期、謎の楽器”パンドラ”を使うジャズピアニストとして知られていたことがわかり…
脩や受験する仲間たち、失踪した父やその関係者たちそれぞれの音楽に対する思いが心を打つ。音楽とは何か、音楽は人をどう変えるのか、という重いテーマのわりに読みやすくエンタメ性が高い。登場人物それぞれの背景はそれだけで一冊の本になると思うのだが、ストーリー展開とともにあっさりしすぎでもったいない気がする。
もう少しで大傑作だったかも。
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失踪した父を探しに、ジャズの名門音楽学校を受験する主人公。試験の過程や、楽器「パンドラ」の設定などワクワクする要素もある中、謎の事件やそれぞれの登場人物の抱えるものなどシリアスな面もあり……
色々詰め込まれすぎていて、どんどん視点が変更するのについて行くのがやっとで、個人的には消化不良。(読解力のなさゆえですが)
でも、宮内さんの独特の文章は好きです。
試験での駆け引きや音楽への熱量、脳と音楽の関係など、音楽関連で興味深いトピック満載でした。
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ピアニストの櫻井脩はグレッグ音楽院の試験に挑むが,試験会場でマッシモとザカリーに会う.脩の父俊一もピアニストだったが,アメリカへ遁走して消息不明.ザカリーはシュリンク財閥の子供だが素晴らしい.テクニックを持っている.ザカリーのお目付け役のアルノから俊一の消息を聞き,リザベーションでパンドラと称する俊一が愛用していた楽器を見つける.ジャズ用語がふんだんに出てくるが何とか分かったので,楽しめた.試験の過程で殺人事件が発生し,模倣犯も多数現れる.脩は万一を考えてパンドラの予備器を調達しておいたが,それが功を奏して最終試験に臨んだ.全編にアメリカ西海岸の空気が満ち溢れている感じの描写が多く,楽しく読めた.アドリブを含めた音楽を文章で記述しているにもかかわらず,音が出てくるような感じがした.
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イベントでサインしてもらいました!
カッコよかったな〜
アメリカの音楽学校に入学したピアニストの少年がライバルの同級生と出会い切磋琢磨していくお話。そのうちに事件が起こったり失踪した父との確執も現れて話が壮大になっていく。
なんか青春小説ってかんじでめちゃくちゃ読みやすかったです。これまでの著者のペダンチックな作品より全然。
日系人と日本人の微妙な違いとかお互いにコンプレックスに思っている部分とか、細かいディティールはすごいわかるな。
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音楽。サスペンス。
著者の作品としては読みやすく感じる。SF要素薄め。青春っぽい。
相変わらず知性を感じさせる文章はさすが。
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自分と母を置いて音楽の道を選んだ父の後を追って、渡米し難関音楽専門学校を受験する主人公が、受験仲間やネイティブ・アメリカンの女性らと父の足跡を追っていく話。
音楽SF? 読んでいる最中、凄い話を読んでいる実感はあるんだけれど、音楽に造形が深かったり自分も演奏をする人間だったらきっともっと来るものがあったんじゃないかと思えた。
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宮内氏の小説を何作か読み、どれも面白かったため、新たに手に取るも、今までの作品ほどは心に響かず。そもそも音楽的知識、素養がないため、氏の多くの例えがよく理解できなかった事も一因か。
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失踪したピアニストの父を探すため、父が通っていたアメリカの音楽院に、情報を集めるべく入学試験を受けに渡米した脩。父の残したシンセサイザーの秘密や試験中に起こった殺人事件をからめながら展開される。作品を通して音楽がテーマとなっていて、音楽によって次第に精神を蝕まれる描写が、退廃的でリアルに感じた。脩とリロイの演奏シーンは圧巻だった。
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嫌いじゃないけど、好みじゃない。
出会いの妙で「盤上の夜」「アメリカ最後の実験」という順で読んでいたら宮内悠介はマストバイリストに入らなかったな。