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異説 数学者列伝
著者 森毅
数学の歴史をつくった大数学者30人の生涯。しかし、そこは森先生、エライ人ばかり登場する「数学主義史観」の本は大きらい、「ボロボロ史観」で迎え撃つ。彼らはみな、悲劇的で喜劇...
異説 数学者列伝
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異説数学者列伝 (ちくま学芸文庫)
商品説明
数学の歴史をつくった大数学者30人の生涯。しかし、そこは森先生、エライ人ばかり登場する「数学主義史観」の本は大きらい、「ボロボロ史観」で迎え撃つ。彼らはみな、悲劇的で喜劇的なのである。数学者を序列化して30番までを選ぼうなどという趣味はないので、その選択はかなり恣意的である。各篇はまったく独立で、関心は数学者たちの“数学”にではなく“人間”のほうにある。数式は出てこないから、ご安心。昨今の理科ばなれ、学力低下を嘆くあなたには、きっとキツイ一服に。そんな異色の数学者列伝。
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紙の本
このカッコ良さを味わうのは結構大変
2003/11/26 20:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GG - この投稿者のレビュー一覧を見る
数学者といえば、浮世離れした存在の代表格である。世間と隔絶した世界に遊ぶ変人というイメージが流布している。こんな小話をご存知だろうか。
3人の学者が国際会議参加のため、列車で旅をした。
車窓から見えた二頭の黒い羊について、一人目の天文学者が発言した。
「あれを見たまえ、この土地の羊は黒い。」
二人目の物理学者は、天文学者の安易な一般化を揶揄した。
「そうではない。この土地の羊の少なくとも二頭は黒い、としか言えないね。」
しばしの沈黙の後、三人目の数学者が口を開いた。
「あなた方のおっしゃることは正確さを欠きます。正しくは次の通りです。この土地の羊の少なくとも二頭は、少なくとも見えている片側は黒い。そうですよね」
信じられないような数感覚を持ち、それを厳密に展開することに何よりの喜びを見出す人びと、そんな風に数学者は考えられている。しかし、と著者の森毅センセイは語り始める。数学者とて、時代の子であり、彼らは数学能力が人並み外れて優れていた分、その存在は崇高であると同時に「悲劇的で喜劇的」なのである。だから数学者の物語は、その<数学>に重点をおいて語られるのではなく、その<人間>において語られなければならない、と。
ところが。
森センセイの本は一筋縄でいかない。
上に紹介した小話のようなエピソードも満載された数学者小伝集だが、スカスカのようで実は結構骨っぽい記述がなされている。沢山勉強して、それをわざと雑に示すという旧制高校型(?)美学に貫かれた本なので、一読しただけで味わいきれるのは相当な手練れ(数学および数学史的教養の持ち主)といってよいだろう。
数学の好きな大学受験生・及び大学新入生たちに読んで欲しい本だが、全共闘テイストの数学本など00年代の高校生・大学生にはもう読めないのかもしれない。