読割 50
電子書籍
怪奇小説集
著者 遠藤周作
深夜、胸をしめつけられるような息苦しさに襲われたルーアンのホテル、真夜中の階段を上がっていく何者かの足音を耳にしたリヨンの学生寮、うなだれている人影を夜具の足許に目撃した...
怪奇小説集
怪奇小説集 (講談社文庫)
商品説明
深夜、胸をしめつけられるような息苦しさに襲われたルーアンのホテル、真夜中の階段を上がっていく何者かの足音を耳にしたリヨンの学生寮、うなだれている人影を夜具の足許に目撃した熱海の旅館――「三つの幽霊」ほか、身の毛もよだつ恐怖譚15編を収録。
目次
- 三つの幽霊
- 蜘蛛
- 黒痣
- 私は見た
- 月光の男
- あなたの妻も
- 時計は十二時にとまる
- 針
- 初年兵
- ジプシーの呪
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紙の本
4度目の再読
2017/05/24 21:19
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、週刊新潮に連載していたようで、遠藤氏の霊体験実話、幽霊屋敷突撃ルポ、妖怪話、呪い、予知夢、人間の業(強欲、弱さ等)等の様々な作品を集めた15編の短編集です。
文豪の遠藤周作氏が怪談を書いていること自体が意外でしたし、中でも幽霊屋敷ルポ企画は昭和40年代当時としては画期的な企画だったのではないでしょうか。また冒頭の「三つの幽霊」では吉行淳之介、柴田錬三郎、三浦朱門、曽野綾子が登場します。錚々たる顔ぶれで、遠藤氏の文筆家仲間との交流が垣間見ることができたのも面白かったです。
実は、今回、4度目の再読です。初読は高校生の時で、年齢とともに、印象に残る話が変わっていくのが再読の醍醐味です。
高校生の時は、霊体験実話と幽霊屋敷ルポが最も印象に残りました。今回は、予知夢に悩む主婦が、意外な形で予知夢どおりの悲しい結末を迎える「霧の中の声」です。こんな悲劇が起きないように、私も妻を大事にしなければと自戒しました。
怪奇小説とはいえ、単なる恐怖譚ではなく、人間の深い業や因縁話等を活写するのが遠藤氏の小説の深さです。10年後、60代でまた再読しようと思います。