紙の本
陰鬱な激情をリアルに描ききる作品
2001/06/28 23:57
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:R4DIOHE4DZ - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公ジュリアン・ソレルの、打算的で野望に満ち満ちたダークな側面と、宗教の儀式や恋にすぐに感動してしまうといった純粋な側面という二つの顔が印象深い。自意識過剰で陰鬱な彼のキャラクターは、今の若者・青年にとっても非常にリアルだ。複雑に転回していくストーリーを背景に、上述の如き二面性に引き裂かれるジュリアンが生きていく様は、読んでいて非常にスリリングである。悲しいくらいにすれ違いつづけるジュリアンと「他者」「世界」。後半の息を呑むような展開は、まさに本を置くことが出来ず、ひたすらページをめくり続けるしかなかった。
名作と聞くと読む前から萎えてしまう事が多いが、本書は一気呵成に読み終えることができる。生島遼一氏の秀逸な訳・解説も必読。もし同じスタンダールの『パルムの僧院』と比べろといわれたら、主人公ジュリアンの陰鬱で分裂症的なキャラクターが気に入ったので本書をお薦めする、と答えよう。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鎮文修 - この投稿者のレビュー一覧を見る
19世紀のフランス小説によくみられる(と思われる)描写の厳密さは、堅苦しくて正直あまり好きになれなかった。主人公の性格を好むかどうかでも評価は分かれるだろう。
しかしながら、フランス文学を代表する作品であることは疑いようがない。
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名作かもしれないけど…
私はあんまり好きじゃないなぁ。
こういうねちねちしたのはあってないかも。
ジュリアンしっかりしろYO〜☆
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『パルムの僧院』と同様、こちらも絶世の美男子の話。しかもこちらの主人公ジュリアンは恐ろしいほど頭がいい。とにかくスタンダールの小説に出てくる人々は極端な性格を持っている。おかげで彼の小説の世界はいきいきとしており、様々なキャラクターのコントラストがきれいに浮かび上がっている。昔の作品は難解そう、読みづらそうと何かと敬遠しがちだけど、なかなか面白いですよ。
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ジュリアン・ソレル。
考えすぎなところや、浅はかなところが妙に共感できる。にくめない。
野心家だけど意外と努力家。
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パルム〜も面白かったけど、もう一回読もうと思わせてくれたのはこっちでしたので。だってジュリアン好きだから!
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高校時代好きだったものその1。最後のシーンでは三日間うなされました。「蜻蛉は朝に生まれ夕方には死ぬ。どうして夜があることを知ろう」このセリフが忘れられない。つまりそれは、それでも夜はある――愛はある、俺が知らなくとも、というジュリアンの言葉だったようなのです。
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ストーリーは忘れたが、ジュリアン・ソレルの独白が面白かった覚えあり。東京大学物語の村上の台詞に近いと思うがどうか。上下巻。
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ジュリアン・ソレルに恋をしました。恋愛における心理描写がすごいです。おもしろくて一気に読んじゃった。
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同作者の『恋愛論』と併せて読むとまた面白い。ジュリアン・ソレルはプライド高すぎるあまり自分で破滅に突っ込んだ。上下巻
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現代作家に慣れた目で読むと一行読むのも苦行に近い。言いたい事は分かるがこれはちょっと・・・と困るくらい文体がねちっこくて息苦しい。
でもそれが内容と妙に合ってるのが面白い。外国文学はどれほど原文の本質に迫れるかが勝負だなあ。
マザコン小説と書いたら冒涜だろうけれど、でもそう思うと理解できないこともない男心。
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ジュリアン・ソレルをどう受け止めるかで好悪の評価は分かれそうだが、仏文学の最高峰と言う評価には納得するしかない。
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ジュリアァァァアン!!!!!!・・・若者の野心あふれるサクセスストーリーかと思いきや、結構政治のかけひきや恋愛なんかもあってどきどきしちゃったんですが。上巻グー。下巻でやや失速したけどラストはやっぱり秀逸。ストーリーになにも関連性はないけどなんとなく「罪と罰」を彷彿とさせました。私には。
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「あなたは、あなたの恋のために、頭がよくなっておいでであると同時に、まためくらにもなっておいでのようです」
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野望に燃え恋に溺れ、激情の中でひたむきに青春を生き急ぐ主人公ジュリアン。その生き様を甘さも酔いもないクリアな語り口で描いていくスタンダールの文章が、彼の愚かなまでの一途さを一層哀れに健気に浮かび上がらせます。登場人物それぞれの個性もリアルで強烈、時代に色褪せない人間心理のドラマです。旧版で読んだので全三巻でしたが、現在の版では全二巻。