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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2002.11
- 出版社: 中央公論新社
- サイズ:20cm/478p 図版16p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-12-003328-7
紙の本
現代日本のアニメ 『AKIRA』から『千と千尋の神隠し』まで (中公叢書)
ハーバード大学でアニメを講義するアメリカ人研究者が著した世界初の本格的日本アニメ論。アニメは、その文化的背景により日本独特のものであるが、同時にその魅力は普遍的なものであ...
現代日本のアニメ 『AKIRA』から『千と千尋の神隠し』まで (中公叢書)
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商品説明
ハーバード大学でアニメを講義するアメリカ人研究者が著した世界初の本格的日本アニメ論。アニメは、その文化的背景により日本独特のものであるが、同時にその魅力は普遍的なものであることを論証する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
スーザン・J.ネイピア
- 略歴
- 〈ネイピア〉1955年生まれ。テキサス大学助教授などを経て、現在、テキサス大学三菱日本学科教授。専門は近代日本文学。
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紙の本
こういう見かたもある
2018/06/14 18:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカ人に日本のエロアニメを語られてかなり戸惑ってしまった。ジブリならわかるがエロか!エロから大作まで幅広く扱っているアニメ論はなかなか刺激的。
紙の本
現代日本のアニメを語ることの難しさ
2003/02/20 15:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:通貨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書で提示されている問題はとても明快です。つまり日本のアニメは「日本という国のコンテキストのなかで研究する価値があ」り、「日本の現代社会を映し出すのに役立つ鏡であり、その時代の重要な課題や希望、悪夢についての深い洞察を次々と提示しているのである」(p24)。
それらを検討分析するのが本書の主なテーマであり、それらはおおむね成功しているといっていいんじゃないでしょうか(でもどうでもいい記述も多い。らんまのジェンダー分析ですかよかったですね)。日本のアニメを網羅的に紹介しているのも好感が持てる(もちろんすべてではない。そんなのはもはや不可能だし、する必要もあまりない)。ちなみに著者近影を見ると著者の方はとても美人で萌え萌えです(こういうことを言えばいいんでしょうか)。
著者は、まず日本のアニメを分析するときに鍵概念となる三つのモチーフを提示する。「『終末モード』、『祝祭モード』、『挽歌モード』である」(p30)。これらを日本のアニメに当てはめると見えてくるものがあるんだって。で、ですね、見えてくるものが現代日本における問題と照応しあっていると述べるわけです。
とてもすばらしい。しかしすばらしいことはすばらしいのですが、私には一抹の不安がぬぐえません。それは本書がよい意味で議論の余地を残しているがゆえに、たたき台になりえるということです。もちろんそれはとてもすばらしいことではありますが、他方で、おジャ魔女どれみから現代思想まで語れる自称東浩紀の再来学生くん達が感化されてしまって、箸にも棒にも引っかからないクソ論文を大量生産してしまうのではないか、と思われるからです。
いまもすでにおこなわれているのかもしれませんが、そんなものとは無関係に暮らしていきたいものですし、著者にはさらなる活躍を期待したいものです(日本の連中を押し黙らせるくらいの大論文を書いて欲しいなあと。)
紙の本
日本文化論という以上にアメリカ人の日本観が透かし見えてくる一冊
2003/02/06 16:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:小林浩 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はハーヴァード出身の才媛で、専攻は近現代日本文学。未訳だが『荒野からの逃走——三島由紀夫と大江健三郎の小説におけるロマン主義と写実主義』(1991年)という著書のほか、泉鏡花から小松左京、筒井康隆、倉橋由美子までを論じた幻想文学論(1996年)もある。日本アニメを研究するきっかけになったのは、大友克洋の名作コミック『AKIRA』を学生に見せてもらい、衝撃を受けてからだと言う。それが1989年のことで、爾来、本書がアメリカで刊行される2001年まで、数々の日本アニメを見てきたようだ。本書で取り上げられるのは主に劇場映画である。『AKIRA』『うる星やつら』『攻殻機動隊』『新世紀エヴァンゲリオン』、そして『風の谷のナウシカ』から『千と千尋の神隠し』に至る宮崎駿の映画など、合計23作品にのぼる。当初は女史は、日本アニメを異色な別世界のものと見ていた。しかし、「文化的な背景により、日本独特のもの」でありながら、その魅力は「普遍的なもの」である、と理解するに至るのだ。饒舌な大冊であり、精神分析や社会学、独仏現代思想やフェミニズム思想などを援用した見事なカルチュラル・スタディーズの成果である。特に、宮崎作品における「少女」を論じた諸篇や、ポルノアニメやSF作品における「身体」観を追った数編には見るべきものがある。全体としては間違いなく力作であり、国境を越えた秀逸な同時代論ともなっている。ただし、『はだしのゲン』や『火垂るの墓』を、戦争犠牲者の歴史性という観点から論じた第九章には、どうしても違和感が残るかもしれない。戦勝国に生きる者の視線が、敗戦国のトラウマの内奥にまで到達することはないのだろうか。『火垂るの墓』が見せる絶望の静けさを、実際彼女はもてあましているように見える。この静けさの真下にいかに深い淵が横たわっているか、見通しがたい水底に降りていくことが困難なのは、彼女だけではない。もとより彼女が重視しているのは文化を論じ尽くすことではなく、文化を「経験」することだった。日本のサブカルチャーを扱う研究は国内でも多く存在するが、一「ガイジン」の視線が照らす日本像を、いわゆるオタクたちがどう受け止めるか、興味深いものがある。余談だが、エピグラフに『美少女戦士セーラームーン』の名台詞がクレジットなしで掲げられているのは、日本のというより、海外のオタクたちへのちょっとしたウィンクだろうか。女史は小谷真理・巽孝之夫妻とも旧知の仲だそうだ。
連載書評コラム「小林浩の人文レジ前」2002年12月9日分より。
(小林浩/人文書コーディネーター・「本」のメルマガ編集同人)