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国家と神話 下 (岩波文庫)
20世紀の大思想家カッシーラーが、国家と神話との結合、理性がそれに抗する闘争の歴史を、壮大なスケールで跡づけた書。下では、マキャヴェリ以降の政治思想を検討する。【「TRC...
国家と神話 下 (岩波文庫)
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商品説明
20世紀の大思想家カッシーラーが、国家と神話との結合、理性がそれに抗する闘争の歴史を、壮大なスケールで跡づけた書。下では、マキャヴェリ以降の政治思想を検討する。【「TRC MARC」の商品解説】
国家と神話との結びつきを論じたカッシーラーの遺著。下巻では、マキャヴェリ後の政治思想を検討。啓蒙思想・ロマン主義を経て、英雄崇拝・人種主義・ヘーゲルの国家理論が登場、それらが路を拓いたファシズム国家では、技術が国家の神話化に動員される。著者の強烈な危機意識と理性への信頼は、現代にも通じる一つの指標。【商品解説】
目次
- 凡 例
- 第Ⅱ部 政治理論の歴史における神話との闘争(承前)
- XIII ストア主義の再生ルネサンスと国家にかんする「自然法」理論
- 社会契約の理論
- XIV 啓蒙と、そのロマン主義的批判者たち
- 第Ⅲ部 二十世紀の神話
- XV 準備 カーライル
- 英雄崇拝にかんするカーライルの講演
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神話の時代が終わろうとしていたはずだった。
2022/09/14 17:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:L療法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
かなり長めの解説がついており、カッシーラーの生涯が綴られている。
密度が高く本文よりも読みづらい。
これは『国家と神話』の解説ではなく、カッシーラーについての解説である。
太陽が中心であり、地球はその周りを回るもの。
この事実の確認もしくは再発見が、キリスト教世界に及ぼした影響は大きかったようで、キリスト教の正統性や、普遍性を揺るがすものであったらしい。
神話の時代が終わろうとしていたはずだった。
この頃、国家はまだ曖昧なものだった。
領主たちは、国土とは別の領域の住人であり、教会と別の形の権力を保持していた。
科学精神が動き出し、世界を理詰めに考え始めると、それに対する反動も動き出す。
国家主義と人種主義、この二つが蠢き出し表舞台に現れたのは、19世紀の始まりあたりのことである。
完璧な国家とは静止した状態であろう。
静止は死を意味する。
理想に向かって動きが静止していくならば、世界はそれに耐え切れず、ひび割れを生じ、古いものが溢れ出し、世界を覆う。
貴族であるゴビノーは血統の、人種の絶対を夢見る。
それは個人という概念の放棄でもある。
誰かが優れたことを行うのは、その人種が優れているからであり、英雄は指導者ではなく、民族の誇りとなる。
何かこう言った考えを、日本のテレビでよく見かけるような気がする。
未開社会において、神話や迷信が姿を表すのは、天候などの手に負えない事態に対してである。
日常生活は、至って科学的、機能的な手順で行われる。
生きていくことに無駄なことなど、人はしたがらないものである。
同時代にユングが述べていたように、第一次世界大戦のあと、欧州では、神話が息を吹き返してくる。
人が神話に頼るのは、無力感であり、自由を捧げる行為だ。
これによって人は責任というものを殺してしまう。
今また世界はそのように傾いている。
オカルトと政治は切り離せないようだ。