紙の本
おもしろい。
2020/08/11 10:08
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投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
身体とつながっている心。病気と健康の境目のないさ。そういう曖昧な部分をすっきりさせずに、うまく表現しています。カルテじゃなく、小説だから、これでいいんですね。
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今までにない医学書。小説の形だからこそ伝わるものがあるんだと感激しました。著者の臨床医としての観察の鋭さと考察が素晴らしく、エピソードの間にグサッとささる名言やタメになる文言が散りばめられています。エピソード内の表現も豊かであり、純粋に読み物として楽しめます。黃マーカーと付箋だらけになりました。
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仮病とは病気がないのに病気のふりをすること。という意味以上の深みを10のエピソードを通して体感した。
小説風になっていて感情移入しやすくあっという間に読み終えてしまい、もっと読みたい欲求にかられたくらいだった。
学校を休みたい。仕事を休みたい。という単なる疾病利得だけではない患者の苦しみをここまで巧みに描写されていた。
ことばには表しきれないからこその小説という形式なのだろう。
國松先生はこの本以外にも多数医学書を出されており、いずれも単なる知識書ではなく思考プロセスや感情を含めた、学ぶ楽しさを教えてくれる先生なので、オススメです。
<メモ>
・仮病は患者が意図的に作っているものではない
・当の本人も困っている
・仮病は何らかのストレスから逃れるための一表現形にすぎない
・病気でないと告げることで返って症状が悪化することがある
・仮病と見抜いてからの行動が大切だ
・見抜くためには言葉だけに惑わされない。言葉の裏にある思いや行動にも注意
・意識的でない、無意識に出る何気ない行動・言動が見抜くポイント
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ストレスは自然消滅しない。一方で放置されたままだと心身を蝕む。だから何か別のものに変えられる必要がある。
身体症状という形で表彰化させたことで不安を軽減させたのだ
仮病を見抜く良い方法は、患者の全く意識が働いてないところを見ることである。要は無意識でいるところを垣間見るのである
相手の気持ちがわかるなんで傲慢だ。人は辛いことほど、言葉に出して言えないものなのだから。事実、ご婦人は自分の辛さを行動で示していた
漢方 肝臓 アルドステロンと似たような作用をする 低カリウム血症
臨床医は、病気を持つ者の人生や人生観に触れられる、相変わらず奇異な職業だなあとあらためて思った
一般に患者の怒りというのは、何らかの裏返しであることがほとんどである。
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某テレビ局の「総合診療医ドクターX」という番組が好きで、放送されるときは毎回録画して観ている。最初にドラマ形式で症例が示され、その後スタジオの研修医たちがベテラン総合診療医に導かれカンファレンス形式で病名を探り、最後に確定診断に至るという構成が、探偵が事件の真犯人を突き止める過程を思わせて堪らない。
この場合真犯人は病気、証拠は検査データ、証言は問診と置き換えられる。診断はまさにミステリーなのだ。
この本は現役の総合診療医である筆者が、症例をエピソード1~10までの短編小説形式で描き、医学的な解説を挟んで最後にオチ的なエピローグを配した異色の医学解説書になっている。
そして、その症例はどれも一筋縄ではいかないものばかりで、電子カルテだけを見て患者を検査漬けにするだけでは探り当てられない病気の数々。
「仮病を見抜く」というと、嘘をついて騙そうとする患者を暴くということかと思ったらそうではなくて、症状は確かにあるのに検査数値上は何の問題もないとか、本人も気が付いていない本当の症状というものまで含む広義の言葉である。
総合診療医は患者の発する言葉からだけではなく、それ以上に雄弁な表情、声色、服装、姿勢、動作などから患者の問題を知ろうとしている。そして患者本人さえも気づかずにいた問題をちょっとしたヒントから探り当てる職人技には「ほぉ~」と恐れ入るしかない。
本の冒頭に書かれた言葉が全てを表している
――伝えようとした瞬間に伝わらなくなり
隠そうとした瞬間から伝わってしまう――
隠された事実を探る総合診療医たちの闘いは続く。
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仮病なんかない、とまでは言わないけど、突き詰めていけば、病名はあくまで病名で…みたいな禅問答というか、哲学的な問題に、ある程度の指針が示されるかのような良書。レアな病気の病態紹介としても、物語形式で分かり易くて面白かった。直接的に間接的に、生活環境や人間関係が、少なからず病態の形成に寄与しているのも興味深い。病は気から。医療従事者のみならず、病名がつかずに悩んだ経験があるなら、とりあえず一読の価値はあり。
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https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB28291137
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自室に置いておきたい本だ。
結局、医師がすることは診断を下すことそのものにはない。
患者の悩みを見抜いて快方へ導くことである。
というのがこの本の趣旨であったと思う。
そのとっかかりとして頻回したのが「ゲシュタルト」という概念である。断片ではなく総体を見ること。
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同じ臨床医として、示唆に富む症例が多い
最後の症例が特に印象的だった
ダウン症候群に限らず、何らかの障害を抱えた児と家族の絆が強いというのは確かに印象としてある
良い意味でも、時に悪い意味でも関係が近い
(乱暴な物言いかもしれないが)障害があることで、ある意味で他の雑多なあれこれが徐々に取り除かれ、ピュアな関係になりやすいのだろうか
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タイトルから受ける印象とは異なり、冒頭にも書いてありますが、患者との向き合い方で、ズバッと解決するのではなく、こう全体的に包みこむような感じがとても読後感が良い本でした。
心因性は、心因が大いに関与する内科的な身体疾患
の後に「症状がなくなってしまったら困ってしまう事情があるかもしれないのだ」には、本当に唸ってしまった。
最大級の皮肉とも書いてありましたが、患者の嘘を見抜いた所で即解決とはならないのが「仮病」の難しいところで、患者の嘘は見抜いていけないのである、という感覚の医師に診てもらえた患者は幸せだな、と思いました。
医療に関連した職業の人だけでなく、むしろ一般の方に読んで欲しいと思います。
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臨床医クニマツと病理医ヤンデルの 「診断ってなんですか?」 國松 淳和さん×市原 真さん対談に関する記事一覧 - ログミー
https://logmi.jp/events/2232
本は半分くらいまで読んだ
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『あえて見抜けないフリをする、という選択肢』
仮病という、まぁ、ある種のウソを見抜く方法ということにシンプルに興味があって手に取った。
心理学などの学問分野からではない、医師という職業を通しての実体験から得られた洞察に本書の価値があると思う。
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患者さんと医療者の間で起きていることが、医療者の側から描かれていて、とてもおもしろかったです。
エピソード、解説、エピローグという構成も、各章ごとの扉のことばも、もちろん内容も、興味深く読みました。
医療者ではない、ひとりの支援者としての私にも、響くところ、思わず頷くところがありました。
誰が何に困っていて、そして何を求めているのか。
誰に、どのようにアプローチしていくことが、患者さんの改善につながるのか。
味わい深いお話でした。
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めちゃくちゃ面白かった!見抜いていく過程のかっこよさでは足りず、考えの根本となっている哲学的なことも垣間見れて、本当に好奇心が揺さぶられまくりながらあっという間に読了。
まさか、同い年の先生とは〜〜〜
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「仮病」
人生で一度はこの言葉に遭遇したことはあるだろうが、果たして、そうした仮病に対して、医師がどのように対応しているのかは知らなかった。
私たちが「仮病」と考えているものは、医学的には全て「仮病」というわけではなく、心因性疾患や虚偽性疾患、といった基準のある診断もありうるのだそう。
10の短いエピソードを通してでてくる、さまざまな特徴的な患者。多くの医者が匙を投げたり、診断ができない中、どうアプローチするのかを、謎解きのように進めていく。
当事者でなく、これらがフィクションであると知っているから面白い。しかし、実際そうした場面に遭遇したときに、基質性と心因性をどうやって見抜くか、すごく悩まされるだろうことが、文の中からひしひしと伝わってくる。
『語らないなら患者のなすことを情報として収集する。その方が身の困りごとを見抜ける。あることないことといい、ないことをあると言うのが人間である。(P26)』
医学においても、五感をフル活用した観察は役に立つ。細かい分析が必要であるからこそ、より研ぎ澄まさなければならない。
「仮病」である、と診断する以上に、なぜ「仮病」を患者が作らなければならなかったのか、そこに利得があるのか、あるとすればそれは何か。そこまで踏み込んで考える必要がある。
とはいえ、多忙を極め、命を救うことに力を注ぐ医師にとっては、どう優先順位をつけるかは難しい。