紙の本
混乱せずに読了
2022/04/14 21:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぼちぼち - この投稿者のレビュー一覧を見る
「同姓同名」と言うだけあって混乱するかと思いきや、うまく区別されていてすっきり読むことができた。あらゆる犯罪や偉業の裏には同姓同名で苦しむ人もいることに改めて気付かされた。そしてそれは同じ集団の中にも言えること。その時の比較された苦しみはずっと持ち続けることもあるのだと悟った。とても面白かった。
紙の本
登場人物ほぼ大山正紀
2020/10/22 16:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かき - この投稿者のレビュー一覧を見る
「同姓同名」のタイトル通り、大山正紀が沢山出てきます。
大山正紀だらけのうえ、ストーリーも二転三転するので若干混乱しますが、綿密に作られたストーリーと意外な結末は流石です。
SNSは便利な反面、使い方を間違えるととんでもないことになるがリアルに書かれています。そして、匿名での歪んだ正義や同調圧力の恐ろしさが、コロナ禍の今と重なってなりません。
同じ名前でも性格や生き方など様々。となると、姓名判断ってどうなのだろう?とも思えます。
紙の本
大山正紀
2020/10/16 22:58
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場する人物のほとんどが同姓同名の「大山正紀」という、奇妙な小説。「サッカーをやっていた」とか「野球帽」の、という感じで識別します。
ある事件の犯人が「大山正紀」であったことからストーリーが展開しますが、しかし読みにくい。展開もスッキリしません。
投稿元:
レビューを見る
”大山正紀”を死なせたと自首してきたのは”大山正紀”・・・。
冒頭の新聞記事から始まるこの作品、登場人物すべて”大山正紀”。主たるメンバーだけでも11人。この章はどの大山正紀のことなんだ?最初の1章から気が抜けない。名前という記号の不確かさに踊らされ、メモを取りながら読む私でも、ミスリードに継ぐミスリードの罠にかかり絡まる、絡まる。
女児惨殺事件の犯人”大山正紀”とたまたま同姓同名であったがために、不幸にも人生を変えられた名もなき”大山正紀”たち。彼らは大学の推薦を取り消され、就職内定を破棄され、学校で虐められ、会社でネタにされていた。ネットに溢れる”大山正紀”への罵詈雑言、名前を聞いた途端にぎくしゃくする人間関係、そんなことを分かち合いたいと立ち上げた「”大山正紀”同姓同名被害者の会」。
最初はそれぞれの体験を語るだけだった会に、名前を騙って潜り込んでいた記者がいたために、会は過激に方向性を変えていく・・・・・・。
アクロバティックな設定を見事に操って、最後まで飽きさせずに読ませる手腕は凄い。そんなトリッキーな構成でありながら、訴えかける内容はとても深刻で重い。
ネットに溢れる正義づらして他人を非難、糾弾する匿名の者たちと、それに同調して誹謗中傷をくり返す者たち。人々の”悪意”が充満する社会。
重大事件が起こった時、加害者の家族もさらされ、容赦なく攻撃される現実。被害者家族もまたしかり。そして、今まで思いもよらなかった犯人と同姓同名の者たちの苦悩・・・・・・。
「名前というものは、早い者勝ちの争奪戦なのだ。
悪名だろうと何だろうと、先に有名になった者がその名前を我が物にできるのだ。」という名もなき”大山正紀”のことばが響く。
終盤はまるで神経衰弱をしているような展開。1枚カードを捲れば、ずっと前に出てきた見落としていたエピソードのカードが捲られ、連鎖して次々にカードを取られていくようなやられた感。どんでん返しの波状攻撃に脳が疲れ果てる。
ラストはちょっと爽やかに上手くまとまって・・・と思いきや、エピローグでまた落とされて・・・。
疲れました。
投稿元:
レビューを見る
次をどんどん読みたいというミステリーの読み方は満たされたけど
前評判が高すぎてさいごはごちゃごちゃと説明感が強く減点
コアのネタはまんまと騙されたけど
イニシエーション・ラブの衝撃と比べてはいけないのだろうが
投稿元:
レビューを見る
登場人物がすべて「大山正紀」のミステリ、って。いや、それちょっとどういうこと?
読んでも読んでも出てくる「大山正紀」。こんな小説初めてだ。
自分の名前をネットで検索したことのある人。というか、ない人の方が多いんじゃないか。
ちょっと前に、小学校の授業で親の名前を検索する、というのがあって。これがプライバシーの侵害とかで問題になりすぐに中止になったとか。そりゃ、まぁ、そうでしょう。
けれど、自分と同姓同名の人ってのはやっぱり気になる。どんな人なのか。何をしている人なのか。
その同姓同名の誰かが、犯罪者だったら。しかも猟奇的殺人事件を起こしていたら。
自分とは全く別の人だ、と自分はわかっている。けれど、世間的に見たら別人かどうかなんてわからない。
同じ名前を持つ誰かと自分と、何で見分ける?
住所?年齢?血液型?職業?それもみな同じだったら?ありえないことではない。
殺人犯と同じ名前を持つ人たちへが被る、ネットで情報が簡単に手に入るようになって新しく生まれた被害。
いろんな情報で「その人」を特定し、そして匿名でたたく。攻撃し、追い詰める。それを、「正義」と信じて。
ネット時代だからこそ起こるさまざまな問題と、そこから生じる恐怖を描きつつ、同姓同名ゆえの被害と「闘う人々」のそれぞれの苦しみと思惑。
何度も「え?」と「あー!」を繰り返しつつラストまで一気読み。面白い。これはお勧め。
投稿元:
レビューを見る
登場人物が全員、同姓同名という前代未聞のミステリ。そのアイディアだけで拍手喝采モノかと。
お話の方は、殺人犯と同姓同名ということで、多くの大山正紀がバッシングにあっていくという内容。現実にも同様の事件がありましたし、本作ほど極端じゃなくても、同じ苗字・名前ということでからかわれたりイジられたりした経験がある人は多いんじゃないかと思います。
実際、私も小さいころは何度も名前でからかわれて悔しい思いをしたので、大山正紀たちや質問サイトでの質問(同姓同名で苦しんだ体験談を聞くくだり)への反応の数々には共感するところが多かったです。
ただ、これはあっちの大山正紀で、こっちはあの大山正紀で……と、頭の中を整理しながら読むのは大変だったりもしました。いろいろ二転三転もするので、私の低スペック脳では話についていくのがやっと。正直、話の展開や状況を理解しきれているかどうかは自信がないかも。
投稿元:
レビューを見る
作者本人が発売前から「自信作だ!」と言っていた本書。
登場人物が「大山正紀」だらけのミステリ。
少し気を抜くと誰が誰だか分からなくなるので
一気に読んでしまった方がいい。
『コープスハント』に続き、SNSでの社会問題などを入れ込んである。
事件を起こした大山正紀、それによって人生を変えられた大山正紀たち。
何者にもなれないと言う大山正紀。
何者でもない自分ではダメなのか。
何者でもないあなたで良いんだよ、と言ってくれる誰かが
居ればよかったのに。
飽きてしまったり何だりで総合的に見ると、私は今ひとつな印象。
『闇に香る嘘』がドンピシャ過ぎたなー。
投稿元:
レビューを見る
ミステリーとしての面白さはもちろん 現代社会の危うさや 若さが持っている残酷さへ向けられた視点に引き付けられ 一気に読み終えてしまった
コロナ禍の今 なおさら リアルとリンクする部分も多い
今だからこそ 響く
広い世代に 今 読んでもらいたい
そして どう感じたかを聞いてみたい
投稿元:
レビューを見る
うーん。面白かった!
が、登場人物のほとんどが大山正紀。誰がどの大山正紀??状態にしばしば陥り、混乱した。
中盤、人物の説明が詳しくされるのだがどの人も大山さんだから何が何だか…
しかし!
最後まで侮れない展開なのである!
最後、えーーっ!と思って終わる。(と、書いてしまって良いのか?)
所々、その説明はいらないのでは…とか、記者さんが絡んできたならもう少し最後まで関わるのでは…とか
ちょっと荒い感じもしたけど
コロナもう始まってから書いたんですね。
ネット時代のリアルな闇。
被害と加害の連鎖。など、現代の闇をも描く、フレッシュな感性を感じる。下村さん、サッカー大好きなのかな。と、文章の端々に感じました。
投稿元:
レビューを見る
面白かったが、一気読みがおすすめ。
そうでないと誰が誰かわからなくなる。
未成年の犯罪行為が同姓同名の人たちに与える影響を軸に話が展開し、二転三転し結末が読めなかった。
最近問題になっているネットリテラシーと私刑がよく取り上げられていると思った。
グレーなことも白黒つけたがり、とにかく安全圏から相手を攻撃したい人間の醜いところ、自分の軸がなくただ強い方、力のある方についていく習性が、見事に書かれていて、途中しんどいなと思いながら読み進めた。
特に、上記行動のせいで被害を受けたはずの人々が、同じ行動に走っていく様子は、滑稽で失望させられる。
そして、プロがプロたりえないところなんかも見てられない。
設定がよかった。
読みながら、これは誰のことなのだろうと想像するのもまたよかったけど、これは好き好きあるかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
誰しもが発信できるネット環境がインフラのひとつになったが故の現代社会の新たな問題を平易な文章で見せつけてくれる労作。名前というアイデンティティがユニークでないところから発する問題をネット社会と絡めて上手に組み立てられているのは流石。
だが、同姓同名の登場人物たちを巡るミステリーは、あまりにもどの「大山正紀」のことを指しているのかをぼやかし過ぎで、そりゃ最後の最後までどんでん返しはできるわなという作り、が気になった。
投稿元:
レビューを見る
登場人物ほぼ全員が同姓同名という面白い設定の、下村敦史さんの新作ミステリー。主人公は大山正紀という名前でなおかつ同姓同名人物が10人くらい登場する、身体的特徴で判断するしかないので、中盤からは(これはどの大山正紀だろう?と)混乱してくる。テーマは「人の思い込み」で途中何度も騙されたが、よく考えて読めば真相は途中でなんとなくわかるはず。あと、ネット炎上の描写がすさまじくリアルで怖いくらいだった。映像化したら面白いかも。
投稿元:
レビューを見る
女児惨殺事件の犯人の名前が一部マスコミにより暴露されてしまった。インターネットや人々の記憶に刷り込まれた、同姓同名のその名前を持つ人間たちはそれぞれが辛い運命を抱えることになり…
同じ名前ばかり出てくるので、多少読みづらいとは思ったが、その意図を知った時、感動さえも覚えた。純粋なミステリーとしても楽しめたし、SNSをはじめとするネット社会の暗部を考えるきっかけにもなった。まさに今の時代ならではのミステリーだと思った。
そして、なにより最後の最後まで読まないと真相に辿り着かない、という点が素晴らしかった。エピローグを読まなければ、物凄くいい話で終わったのになあ(笑)
投稿元:
レビューを見る
SNSなど不特定多数の意見が飛び交い都合よく消費される今を描く。一人一人が持つアイデンティティさえも記号の元に他者に定義され、それに翻弄される物語の辿り着く先は。記号により転落するものと救われる者。最後まで目を離せなかった。