紙の本
時代を感じる
2019/11/23 13:24
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投稿者:りー - この投稿者のレビュー一覧を見る
メロメロのラブロマンスと思って読んでみたら、中身は結構なんというか…理系丸出し!みたいな描写とかオタク思考なタイムトラベルの方法とか、やっぱりマシスン!っていう感じで思わずクスクス笑いが漏れました。内容としては、この長さにもかかわらずクライマックスが詰まりに詰まっていて、もうこれしかページ残ってないけどどうすんの!と別な意味でハラハラさせられたけれども個人的には余韻の残る好きな終わり方。タイムリープものの入り口には向かないけれども一生に一回くらいは読んでおいて損はないかなという時代を感じる名作でした。
紙の本
切ないラブストーリー
2002/04/20 13:37
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投稿者:しょこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公リチャードは脳腫瘍であとわずかの命の宣告を受けます。失意のうちに当てのない旅にでたリチャードがたどりついたのは、古式豊かで美しいサンディエゴのホテル・デル・コロナード。そこで出会ったのは美しい女性エリーズ。しかし、彼女がいたのは75年前に撮られた肖像写真の中でした。
リチャードは彼女に会うために時間旅行に出かけます。
この本は映画化され、そちらは日本に紹介されていたのですが、原作である本書は今回が初邦訳となります。
リチャードの覚え書きとして書かれているこの本は、センテンスも短く、彼の切迫した切ない気持ちが伝わってきます。
しかし、すべて一人称で書かれているため、ヒロインであるエリーズの心情が唐突でわかりにくく感じました。
私にとって同性であるヒロインに感情移入しにくいことが、このラブストーリーを読むにあたってすこし残念でした。
でも、海辺の美しいホテル(実在するそうです)を舞台として繰り広げられる時間を超えたファンタジーは胸に迫るものがあります。
紙の本
内容紹介
2003/09/04 23:20
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
半年足らずの命と診断された脚本家のリチャードは、旅の途中、サンディエゴの
ホテルで、女優エリーズの色褪せたポートレイトを目にした。恋に落ちた彼は、
彼女にひとめ会おうと、1896年への時間旅行を試みる。映画化・舞台化され、い
まもなお熱狂的な人気を博する傑作ファンタジイ。世界幻想文学大賞受賞作。解
説=瀬名秀明。
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ただの恋愛小説ではありません。
本を先に読むのか映画が先か・・・
そんなことは問題ではありません。
泣けます!
泣いて欲しいから薦めるわけではありませんが、こんなに切なくて美しいお話があるんですね。
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ずいぶん昔、深夜にこの映画をTVで見た時にはすっごい感動したけど、今こうして原作を読んだら、「この主人公、鬱陶しい!」と思ってしまった。きっと昔はまだ恋に恋するお年頃だったんだろうなあ。DVDで見直してもやっぱり主人公鬱陶しい!と思ってしまったし・・・まあそうは言いながらもこんな風に想い想われてっていうのは理想だけど。
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余命わずかと診断されたリチャードは、とあるホテルで見つけたポートレイトに写る女優に一目惚れし、彼女に会うために時間旅行を試みるが…。美しくも哀しい
SFラブストーリー。リチャードの兄が出版した、リチャードの手記という形式を取っている。ラストは…切ないですねぇ。
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運命の恋人はきっとどこかにいると信じたくなる作品です。
ラフマニノフの『パガニーニの主題による狂詩曲』を聴きながら是非じっくりと読んでみてください。
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下記に紹介した映画の原作です。
待ちわびました。
リチャード・マシスンの文章の魔術に惑わされる心地よさ、というと、良いファンタジー表現になってしまいますが、少し精神的に怖いところがあります。
そこがまた、いいです。
読んでいる方が多いので、内容はあえておいておきます。
できましたら、原作と映画、どちらも拝見して頂きたいのが、ファン心理でございます。
この作品の(映画のですが)ファンサイトがございます。
http://www.ueda.ne.jp/~peg/
私の夢は、グランドホテルに一度でいいから伺うことです。
愛しのクリストファー・リーブ様のご冥福を切に願います。
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出版社/著者からの内容紹介
【世界幻想文学大賞受賞作】
あと半年足らずの命と診断された脚本家リチャードは、旅の途中、サンディエゴのホテルで、女優エリーズの色あせたポートレイトを目にした。恋におちた彼は、彼女に一目会おうと1896年への時間旅行を試みる。映画化・舞台化され、今もなお熱狂的な人気を博する傑作ファンタジイ。解説=瀬名秀明
内容(「BOOK」データベースより)
脳腫瘍であと半年足らずの命と診断された脚本家リチャードは、旅の途中、サンディエゴのホテル・デル・コロナードでひとりの女性を目にする。女優エリーズ・マッケナ。1896年の色あせたポートレイトからほほえみかける彼女に会おうと、彼は時間旅行を試みるが…時を隔てた恋の行方は?映画化され熱狂的な人気を博する傑作ファンタジイ。世界幻想文学大賞受賞作。
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ジェーン・シーモアが出てくる映画がよかった。
これも時を越える純愛です。
いつかどこかで二人は幸せに…… と願ってしまいます。
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内容
脳腫瘍であと半年足らずの命と診断された脚本家リチャードは、
旅の途中、サンディエゴのホテル・デル・コロナードでひとりの女性を目にする。
女優エリーズ・マッケナ。
1896年の色あせたポートレイトからほほえみかける彼女に会おうと、彼は時間旅行を試みるが…
時を隔てた恋の行方は?
映画化・舞台化され、今もなお熱狂的な人気を博する傑作ファンタジイ
世界幻想文学大賞受賞作。
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これも脳内積読状態が長かったですがようやく。タイムスリップがこんなふうになされるもんだとは、意外。ロマンチックな話です、すっごく。
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ここまで偏執的に彼女を求めたのは
デッドゾーンのように脳腫瘍の影響と思うこともできる。
しかし、恋焦がれ、求め、実現したのは
避けられない「運命」ということもできるのでは。
出会うことも運命
受け入れることも運命
逃れられないことも運命
変えようがなかったことも運命
願わくば、別の世界で、時をこえてもういちど
第2部に入った当初は暴走的なところが少々気なるが
人生をかけた狂おしいほどのラブロマンス
読み終わればリチャードへの彼女の最後にして
最初の一言に含まれる愛情が切ない
リチャード・ネイサンの「それゆえに愛は戻る」
とあわせて読むと、永遠の愛と
どうしようもない離別のかなしみと
とどまりたいと思うこころの疼きを感じるのでは。
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古きよき時代のタイムトラベラーもの。リゾートホテルに宿泊中の主人公が、数十年前に同じホテルにいた女優のポートレイトを見て一目惚れし、時を越えて恋に落ちる……という、ある意味で王道の純愛ストーリー。
SF的な設定が常識になる以前の時代に書かれたものなので、タイムパラドックスやら時代の超え方など、もどかしいような工夫がある。確か、映画スーパーマンのクラーク・ケント役の人が主人公で映画化されていたはず。
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ホラーとサスペンスの大家として知られるリチャード・マシスンが突如世に送り出した、ストロベリー全開のラブファンタジー。
主人公は脳腫瘍で余命幾許もない脚本家・リチャード。残された人生をエンジョイすべく旅に出た彼は、道中のホテルでひとりの女優の古い写真を目にする。エリーズ・マッケナというその女性に一目惚れした彼は、彼女に逢うべくタイムスリップを試みる…。
時間旅行というマシスン的なSF要素は入っているものの、本筋は紛れもない正統派ラブ・ロマンスである。美しいエリーズの姿に心を丸ごと奪われたリチャードは彼女の人生を徹底的に調べ上げるが、その過程で彼は以前年老いた彼女と会っていたこと、その時に謎めいた視線を向けられていたことを思い出す。そして、ホテルの古い台帳に、エリーズが当ホテルに滞在していた70年前のその日にリチャードの名が記されていたことを知り、自身が時間旅行を成功させてエリーズと出逢うことが必然である、と信じるに至る。かくして、彼は複雑なマシンなど一切使わず、自らの意志一つで時空を越えることに成功するのである。更に、過去のホテルで出逢ったエリーズもまたリチャードに運命的に惹かれ、様々な出来事を経て、僅か2日間で二人は結ばれるのである。正に「こまけえことはいいんだよ!」。ロマンス以外の何者でもない。
ところで、この物語はストレートに「時空を超えたラブストーリー」として読む以外に、もうひとつの読み方が可能となっている。この物語自体がリチャードの生前残した手記を弟が紹介するという形式を取っているのだが、その弟が「これは兄の妄想である」と明言しており、これこそがこの物語のもうひとつの可能性である。そして、私はこの物語を後者として受け取り、ひとつの妄想譚として大層心を動かされたのである。
いや、この物語に触れた99%の人は前者として読むであろうことは分かっている。また、別に「時間旅行の非現実性が気に入らない」とかそういう問題ではない。私がこの物語を妄想譚と受け取った理由は、全編に通底する「いちいち徹底的にリチャードへ都合の良い展開」であり、それを創り上げたリチャードが、そしてこの物語を彼に語らせたマシスン自身が、たまらなく愛おしいのだ。言い換えれば、私は彼らに「それなんてエロゲ?」的な清々しいほどの厨二病的妄想力を見る。
大体一目惚れしたエリーズに過去逢ったことがあった、は実際のところ「たまたま」の範疇である。そして、昔の台帳に記載された自分の名前にしても、同名の人物なんて幾らでもいる。それをして「よし、つまり俺は時間旅行に成功するんだな!」という発想のコペルニクス的転回が素晴らしい。
そして、正直時間旅行に成功すること以上に非現実的なのが過去でのラブ展開。明らかな不審者である筈のリチャードは、外したら一発アウトなフラグを次々と乗り越え、エリーズを短時間で彼の虜にしてしまう。この都合の良すぎる本ルート、もう完全にエロゲである。最後にHシーンもあるし。
いや、私は決してエロゲを馬鹿にしているわけではない。むしろ、私は創作における「ジャンルによるクオリティの貴賎」を原則認めない。エロゲでも「何度も繰り返し味わいたくなる」文学性を持ったストーリー作品はあるだろうし、純文学を冠した作品でも、読んだ時間を返せと言いたくなるような駄作もごまんとある。私が言いたいのは、マシスンという世界に誇る才能が本気でエロゲ脚本を書いたら超名作となり全世界が泣いた、ということの重要性である。
瀬名秀明氏による文庫版の解説によると、マシスン自身も滞在先のホテルである女優の写真に惹かれたのが、この物語を書くきっかけだったそうだ。その意味で、リチャード以上に純粋に、マシスンは妄想力でこの物語を書き上げたことになる。彼は、そしてリチャードも、これを書き上げる事でエリーズとの運命的な恋愛を味わい、幸福な時間を過ごすことができた。時間旅行が本当であったか、など問題ではない。この話はリチャードが自身の力で自らを救った人間賛歌であり、ひいてはエロゲ等で妄想恋愛に興じる「恋愛弱者」への勇気の書なのである。
「真に運命的な恋愛」など、この世に一欠片しか存在しない。それでも、妄想力は誰にだって鍛えることができるし、究めればその妄想で「真に運命的な恋愛」を創り出し、世界を感動に包むこともできる。我々はこの物語を通じて、己のエロ妄想に宿る無限の可能性に気付かされるのである。