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商品説明
SF専門誌『S−Fマガジン』で長期連載された「鳥人大系」を、初出のページ構成&2色印刷版面を再現し復刻。各話に対する詳細な註釈、星新一の解説、著者あとがきなども収録する。【「TRC MARC」の商品解説】
戦後日本に、自由で深遠な「想像力」をもたらした「S-Fマガジン」。
手塚治虫によって描かれた本気のSF寓話が、雑誌掲載時の特色2色印刷を完全再現したオリジナル仕様で初単行本化!
■足掛け5年にわたる長期連載
『鳥人大系』について、特筆すべき点は、通常の漫画雑誌ではなく、SF専門誌である「S-Fマガジン」で、足掛け5年にわたって連載されたことです。
*1971年3月号から1975年2月号まで、途中休載を挟んでの全45回。
進化した鳥たちが社会を築き、人間が奴隷の位置にいる未来を舞台にした、風刺と思考実験に満ちた連作短編SFシリーズである『鳥人大系』は、動物ものというメルヘンチックな素材に、肉を食べる種族と虫や穀物を食べる種族の対立と共存などの深遠な相互理解の問題をストーリーに織り込んだ寓意的傑作で、近年人気の漫画・板垣巴留『ビースターズ』や映画『ズートピア』を通底させています。
■特殊な印刷形式とページ構成、そして増補
特殊な発表媒体であったため、『鳥人大系』は通常の漫画誌とは異なった連載形態をとっていました。小説ページとは異なるコート紙上に、墨と毎号変化する特色インクによる2色印刷。毎回のページ数はタイトル込みで7ページという構成です。
その変則さゆえ、過去の単行本ではその形式に準じたものはひとつもなく、すべてが墨1色。さらに、各話が左(奇数)ページで終わり始まるため、空きとなっている8ページ目(雑誌では翻訳SF書の書評ページでした)は詰めて収録されており、見開きなどは雑誌掲載時とはまったく変化してしまっていました。
本書では、それらの相違点をすべて解消します。漫画ページは初出時の色調で再生し、構成も7ページごとに区切り、8ページ目には詳細な「注釈」もしくは、当時の「S-Fマガジン」編集長・森優氏のインタビューを収録予定。連載時の手塚治虫&日本SFを理解するための増補版といたします。
旧版(大都社版)にも収録された星新一氏による解説、全集での著者あとがきをも再録する、まさに超豪華『鳥人大系 雑誌初出カラー完全版』。特別刊行される本商品、唯一の《雑誌初出カラー完全版》での初編集・刊行は、復刊ドットコムだけのもの。「初版完全限定」生産につき、再版はいたしません。この貴重なチャンスをどうぞお見逃しなく!
(c)手塚プロダクション 2020【商品解説】
「S-Fマガジン」に連載されていた本気のSF寓話。雑誌掲載時の特色2色印刷を完全再現した“オリジナル仕様”で初単行本化!【本の内容】
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『鳥人大系』が初出時の体裁で蘇った。もうそれだけで興奮!
2020/10/04 23:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
1971年3月号から1975年2月号にかけてSF専門誌『SFマガジン』に長期連載された、手塚治虫の隠れた代表作というか、異色作というか。手塚治虫について語られる時にはあまり出てこない作品ではある。
その作品が、初出のページ構成と特殊印刷という凝った編集で、雑誌初出時の体裁で読めるようになった完全版がこの単行本だ。
『鳥人大系』というタイトルのとおり、鳥種族が人間に替わって地球の生物の頂点に上り詰めていき、滅びていくというとてつもない話で、きっと読む人によって感じるものが様々あるのではないだろうか。
個人的には、おそらく雑誌連載時に時々読んだことがあり、その時はまだ小学生から中学生の時だった。全編を読んだのは手塚治虫漫画全集版で、すでに10代後半か20代になったばかりの頃だった。初めて読んだ時も、その後全編を読んだ時もなんだかすごい一大クロニクルを読んだような記憶がいつまでも残っていた。
それが、雑誌初出時の体裁で読めるのだから、これはもうなにをか況んや。
だが、読み直してみてどこか拍子抜けしたところもあった。
鳥種族が人間に替わって支配するようになっていくところから、栄華を極め、やがて堕落して滅びていくところが逐一仔細に描かれているものと記憶していたのだが、そうでもなかった。ところどころ、時系列がいきなり飛んでしまって話が展開するところがあったり、伏線とおぼしきものが回収されたのかどうかわからなくなったりするところがあったのだ。
この『鳥人大系』が描かれた頃というのは、いわゆる手塚の冬の時代と言われた人気が低迷していた頃であったからどこか投げやりでシニカルな感じが強かったと言えるのかもしれず、それゆえに「大系」と呼ぶにはいささか拍子抜けした感があるのかもしれない。
その一方で、発表媒体が単なる雑誌(マンガ雑誌でもなく、単なる大衆誌でもない)ではなく、老舗SF専門誌であったというところから、SFを得意とし愛してもいた手塚に期するところがあったのだろう。だから、他の多くの手塚SFとは異なる雰囲気を感じさせるのだと思う。
そういったことを改めて教えてくれたのが、本書の各エピソードの間に挟まれている、この本の編者による脚注や解説(?)だった。だが、この解説が少々編者の思い入れが大きすぎるのではないかと思えてしまう内容で、手塚作品そのものを楽しむのにはわずらわしく思えるところも少なくなかった。
まあ、この作品そのものやその背景について何か語りたくなってしまうくらい、手塚治虫の絵とストーリーが素晴らしく、我々に迫ってくるものが多々あるという証拠なのかも知れないが。