「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
人間に最も身近な野鳥スズメ。その魅力あふれる生態を、食、子育て、天敵と安全対策、進化と分布、人との共生の歴史など、あらゆる角度から観察。日本人のスズメ観を通してよりよい共生の道を模索する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
大田 眞也
- 略歴
- 〈大田眞也〉1941年熊本市生まれ。長年にわたりさまざまな野鳥の生態観察と文化誌研究を続けている。日本鳥類保護連盟専門委員。「スズメ百態面白帳」で熊日出版文化賞受賞。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
書店員レビュー
最近スズメを見ない。...
ジュンク堂書店新潟店さん
最近スズメを見ない。以前は朝になれば電線に鈴なりだったが、今はカラスが目につく。
生息数は50年前の約1割と相当減っており、外来種と生息地を奪い合う状況にまできているそうだ。
それでも彼らはしぶとく生き抜いている。信号機のメガホンの中に巣を作ったり煙突で暖をとったりと、都市に順応している。
彼らと人との関わりは多岐に及ぶ。童謡やおとぎ話、家紋、民芸品、さらには飲み屋の一品(!)としても我々の生活に根付いている。改めて身近な鳥を知るのはいかがだろうか。
理工書担当 杉山
紙の本
スズメの世界も「男はつらいよ」、なのか。
2010/10/29 09:55
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
近頃のニュースでは人里や街中にクマが出没し、人間に危害を加えたことに耳目が集まっている。森の食物が気候変動で減少しているからとも言われるが、シカ、イノシシに次いでクマまでも人間界に登場したことに驚く。そんななかで手にしたのが本書だが、タイトルにあるように野生の動物であるスズメが人間の住むエリアにいるのは不思議である。『舌切りスズメ』だの小林一茶の俳句で親しんできた小鳥だけに、あらためて振り返ると、なぜ、クマと同じ野生動物でありながら人里にスズメがいるのかわからない。
そのスズメの不思議を著者が解説してくれるが、長年、根気よく撮影してきたスズメの写真に感嘆の声をあげ、語られる話に驚いたり、だった。読み進むうちに自然界の掟の中で生活するスズメでありながら、結構、人間にも似た行動をとっていることに笑ってしまう。一般に、一羽の雄のスズメは二羽の雌のスズメとカップルになるそうだが、その雌のスズメは雄の目を盗んで不倫をするという。その雌の不倫を防止するために雄のスズメは懸命になり、その様はまるで人間と同じで、わがままな男に自由気ままな女の関係を見ているようでもある。
そして、その人間の生態にも似たスズメだが、日本では稲を食い荒らす害鳥と見られている。ツバメは水田を低く飛びながら稲の害虫を食べるので益鳥と思われ、スズメは実った稲穂をついばむので害鳥との認識が固定している。しかしながら、これは人間の大きな判断ミスで、実のところ、スズメも害虫駆除に大きく貢献しているという。
さらには、アメリカではわざわざ害虫駆除のためにイギリスからスズメを輸入して放鳥したというが、スズメがアメリカ開拓に貢献していたことに驚くものの、ここにも人間の歴史と同じことに感心するが、インディアンに似た原住鳥を駆逐してはおるまいなと心配した。
スズメが人里に住んでいる理由は、生物の世界で最も強権を有する人間と共生することで、もっとも安全な種の保存が可能だと言う事だが、先述のクマ、シカ、イノシシが人里に下りてくるのは野生種が人間との共生を希望しているからだろうか。それとも、親殺し、子殺しの畜生道に落ちた人間界を察知して、野生動物が同じレベルになり下がった人間に格闘を挑みにきたのだろうか。
いずれにしても、スズメのシナントロープ(人類同調種)を研究することで、野生動物が人里に下りてくる原因が究明できるかもしれない。そう考えると、著者が長年に渡って一定地域でスズメの生態を観察した本書はその参考になるのではと思った。
ただ、動物の弱肉強食の世界は苦手という方は避けた方が賢明かもしれない。それほど、肉迫する内容となっている。