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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2006.11
- 出版社: 高文研
- サイズ:19cm/239p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-87498-373-1
紙の本
シマが揺れる 沖縄・海辺のムラの物語
普天間基地を返還し、沖縄県内のどこかへ移設すると発表され、辺野古のサンゴ礁の海に海上ヘリポート基地建設計画の話が持ち込まれてから10年。怒りと歓迎、反発と期待の間で揺れ動...
シマが揺れる 沖縄・海辺のムラの物語
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商品説明
普天間基地を返還し、沖縄県内のどこかへ移設すると発表され、辺野古のサンゴ礁の海に海上ヘリポート基地建設計画の話が持ち込まれてから10年。怒りと歓迎、反発と期待の間で揺れ動く人々の姿をそのただ中から伝える。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
浦島 悦子
- 略歴
- 〈浦島悦子〉1948年鹿児島県生まれ。沖縄に住み文筆活動を続ける。「羽地大川は死んだ」で週刊金曜日ルポルタージュ大賞報告文学賞を受賞。
〈石川真生〉1953年沖縄県生まれ。著書に「沖縄ソウル」など。
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紙の本
複雑な沖縄の基地問題を分かり易く描いた大人の絵本
2006/11/22 11:57
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:24wacky - この投稿者のレビュー一覧を見る
私が好きな写真はこれだ。老婆の家を訪れた3人の女たち。部屋の照明に照らされているのは、中央の障子戸(ちょうど手でつかみ易い位置の障子が破れている)、椅子に腰掛け膝に置いた紙になにやら書き込んでいる左側老婆の白髪、膝元の紙、老婆の背後の壁に張られたポスター。それと対照的に障子戸の右側には、老婆の作業を覗き込む3人のおんなたち。その背後は夜の闇に包まれている。
これは沖縄県米軍普天間飛行場の移設先辺野古への海上ヘリポート計画について、賛否を問う市民投票を実現するための署名活動の一瞬を捉えたものだ。そこには90歳を超えた老婆への女たちの畏敬の念、思いやり、親しみ、申し訳ない思い、不安など、ひとつでない感情の襞が窺える。
一方基地問題についてわれわれが日頃目にする光景とは、フェンスの向こうへ拳を突き立てシュプレヒコールをあげる男たちの憤怒に満ちた顔であり、マイクを向けられ基地占拠の不当性を訴える運動リーダーの顔であり、苦渋の選択を述べる苦虫を噛み潰した県知事の顔であり、冷静にコメントする中央政府の担当政治家の顔だったりする。
「大人の絵本」を目指して作られた本書は、浦島悦子によって意識的に綴られた平易な、そして肌理の細かい文章と、石川真生のザラザラヒリヒリ、しかしとてつもなく優しい写真のコラボレーションによって、沖縄の複雑な基地問題を分かり易く伝えることに成功している。基地問題の専門書というより、人間賛歌でありブルースに似ている。