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商品説明
日本人が満洲で花開かせた独自の文化・芸術、祖国を守るために命を投げ打った若者たちや辛酸を舐めた人々の物語、日本の満洲経営の中核だった一大コンツェルン・満鉄に関わるエピソードをまとめる。『産経新聞』連載を再編成。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
喜多 由浩
- 略歴
- 〈喜多由浩〉昭和35年生まれ。大阪府出身。立命館大学卒。産経新聞社文化部編集委員。著書に「アキとカズ」「『イムジン河』物語」など。
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紙の本
「満洲」とは「無主の地」ではなく「空白の大地」なのか?
2017/05/10 22:32
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者が韓国語が出来て、永田絃次郎や「イムジン河」の本を出しているからか、「満洲帝国」軍の朝鮮人軍官(この本では当時風に「鮮系」と表記している)は出て来るが、読める個所はそこだけ。
まるで「満洲帝国」とは、この本では「内地人」と朝鮮人、それにロシア人とユダヤ人しか取り上げられていないので、この「国家」の公用語は日本語の他に「満語」(中国語、北京語を言い換えた表現)とモンゴル語のはずなのに、「満人」やモンゴル人が殆ど出て来ない。「満洲は満洲族の故地であるから、『支那人』がいるのはおかしい『無主の地』だ」と言っていたのは知っているが、これでは「空白の大地」だ。
軍官学校の記述を読めば分かるが、「五族協和」と称していたはずなのに「日本人は幹部のみ」で、同じ帝国臣民だったはずの朝鮮人は最後の7期で初めて「日系扱いに変わった」とある。朝鮮人将兵で編成された有名な間島特設隊があるように、朝鮮人は日本人と違う扱いを受けていたのが分かる。「内、鮮、満」という表現があるように「満洲帝国」は皇帝をはじめ、要職には「満人」を表に立てるが日本人の官僚が支配する「内面指導」という国家だった。だからソ連参戦時に「満洲帝国」軍は「満系(中国人=満、漢)、蒙系(モンゴル人)に反乱や逃亡が相次ぎ、空中分解した」(実際はノモンハン事件でも日系軍官を射殺してソ連・モンゴル軍に投降した部隊があった)のだが、著書は「満洲帝国」の実態はある程度、分かっていても、「満系、蒙系」の証言者が出て来ないのは、本当の事を書きたくないからだろう。
平頂山事件自体は産経の記者にしては否定出来ないからか、認めているが、その前に起きたという「ゲリラ、匪賊」による日本人虐殺事件に焦点を向けている。「撫順の日本人に、やりきれない思いが残った。抗日ゲリラに通じていた、とされる地元住民の多くは炭鉱で働く労働者である。これまで彼らと家族の暮らしを支えていたのは炭鉱の日本人ではなかったのか、それなのに……と」書かれているが、何故、こういう感情を撫順炭鉱の労働者達に持たれていたのか、書いていないのがいい例だ。