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- カテゴリ:一般
- 発売日:2022/02/07
- 出版社: 花乱社
- サイズ:21cm/351p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-910038-46-9
紙の本
いのちの循環「森里海」の現場から 未来世代へのメッセージ72 (森里海を結ぶ)
著者 田中 克 (監修),シニア自然大学校地球環境自然学講座 (編)
自然環境、生物多様性、持続可能社会の源となる“つながり”の大切さを考える入門講座。森を通した地域活動、海の生物、農を取り巻く環境などをテーマにした72編を収録する。シニア...
いのちの循環「森里海」の現場から 未来世代へのメッセージ72 (森里海を結ぶ)
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商品説明
自然環境、生物多様性、持続可能社会の源となる“つながり”の大切さを考える入門講座。森を通した地域活動、海の生物、農を取り巻く環境などをテーマにした72編を収録する。シニア自然大学校の地球環境自然学講座を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
地球環境のために今、一人ひとりができること
≪森里海のつながり─いのちの循環≫をテーマに、自然・生き物と向き合う72名の講師による現場からのメッセージは、自然と社会の“再生”に向かう大きな道しるべとなる。各地の現状を知り、自然環境、生物多様性、持続可能社会の源となる“つながり”の大切さを考える入門講座。
シニア自然大学校地球環境自然学講座(2015~18年)の書籍化
≪講師名≫
堀野眞一/福島慶太郎/伊勢武史/鎌田雄介/椎葉 勝/岡橋清元/谷 茂則/竹内典之/天野礼子/久山喜久雄/久山慶子/永井雄人/高橋勇雄/松浦秀俊/揖 善継/望岡典隆/細谷和海/山本義和/藤岡康弘/嘉田由紀子/山﨑 亨/山口美知子/向井 宏/笠井亮秀/鈴木輝明/佐藤正典/富永 修/内藤佳奈子/遠藤 光/松田浩一/中山耕至/上 真一/益田玲爾/田中丈裕/古田晋平/国分秀樹/松田浩一/鷲尾圭司/大幸 甚/蒲田充弘/江崎貴久/養父信夫/井手洋子/小関 哲/山岡耕作/八幡 暁/中貝宗治/池上 惇/新山陽子/田村典江/下村委津子/川合真一郎/遠藤愛子/近藤洋一/瀧澤美奈子/藤崎憲治/橋本みの/小林朋道/湯本貴和/仁科エミ/石崎雄一郎/倉田麻里/野口栄一郎/藤井 巌/畠山重篤/山内明美/小西晴子/和田敏裕/桝田洋子/吉岡崇仁/吉積巳貴/吉永郁生/吉澤保幸(掲載順)【商品解説】
目次
- はじめに[認定NPO法人シニア自然大学校代表理事 金戸千鶴子]
- プロローグ:いのち巡る「森里海」の世界を未来世代へ[京都大学名誉教授 田中 克]
- 第1部 森についての知識を広げる
- 第2部 山を活かし、山に生きる
- 第3部 森を通した地域活動を知る
- 第4部 川と淡水魚についての理解を深める
- 第5部 琵琶湖環境についての理解を深める
- 第6部 陸と海の境界の役割を理解する
- 第7部 海の生物への理解を深める
- 第8部 恵み豊かな海を取り戻す
著者紹介
田中 克
- 略歴
- 京都大学名誉教授。森から海までの多様なつながりとその再生をめざす統合学「森里海連環学」を創設。国民的社会運動「森は海の恋人」との恊働により、“瀕死の海”有明海や“震災の海”三陸沿岸の水際再生に、海と生きる日本の未来を見据える。シーカヤックにより漁村を巡る「海遍路」に関わる。著書に『森里海連環による有明海再生への道』(監修、花乱社・2014)、『いのちのふるさと海と生きる』(編集、花乱社・2017)、『いのち輝く有明海を──分断・対立を超えて恊働の未来選択へ』(編集、花乱社・2019)ほか。
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紙の本
・自然は征服するのではなく、畏敬するもの。
2022/11/10 22:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、地球環境の実態報告として70名余の方々の講演録をまとめた一冊。森、山、川、湖、海、農業、環境、水、生物、自然災害など、16に分類した350パージ余となっている。
この中で、関心を向けたのは、70ページの「日本人の自然観」だった。昨今の欧米型、特にアメリカの大量生産、大量消費という「農畜産物の無駄」に苛立ちを覚えるだけに、人間も自然の一部という考えに共感を覚えた。
そして、118ページの干潟の話である。潮の満ち引きによって繰り返される干潟の不思議、その役割には注視したい。現代、人間の欲望のために埋め立てられる干潟だが、そこに生きる生物も人間と同じ生きもの。自然界に対し覇権主義的な考えだけ良いものか・・・と疑問を抱かせる。
その干潟の巨大版が九州の有明海だが、144ページから始まる話は、感嘆の声を挙げずにはいられない。地球規模での潮の満ち引きが、有明海なのだと知った驚き。人間の人生100年時代など、鼻先で笑ってしまうほどの悠久の歴史に、日常のせせこましい暮らしぶりが馬鹿らしく思えるほど。「大陸沿岸遺存生態系」が有明海であり、「海の宝庫」と呼ばれる別の意味を知った瞬間でもあった。
そして、海と言えば、クラゲの存在ほど、面白く、不思議な生物はない。海に漂うだけで、どんな存在意義があるのか。考えても、真意が見い出せない生物がクラゲだ。そのなかのビゼンクラゲなる種類は中華料理の高級食材であり、有明海で大量発生したという事実に、またもや「海の宝庫」を再認識したのだった。
152ページの「魚の心理」には、笑ってしまう。確かに、買い手のつかない生け簀の魚が人間に愛嬌をふりまき、アイドルになり、そのうち情が移って、網で掬うことさえ憚られる。そんな魚類を調査することから、海というものは千年単位で判断するものだということを始めて知った。
188ページからの「海と遊び、海を守る」も、四方を海で囲まれる日本だからこそ、日常的に考えなければならない倫理を教えてくれる。共存共栄、それが海であり、人間の肉体の一部と考えれば、手入れを怠ってはならないのは海であり、山である。
そして、233ページから始まる水の事情は、必読の箇所。公共の水道を営利目的の民間企業に移管する自治体が出てきたが、社会生活を維持する最低限のインフラとして、自治体の直接管理下にあるべきだ。その水の最終的な受け止め先が海であり、237ページの「水俣病は終わっていない」という説は、もっともな事である。
西洋が言うところの自然は征服するものという傲慢さを戒め、自然は畏敬するものという東洋の時代に入ったことを示してくれる一書だった。