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商品説明
あのとき、娘は確かに生きていました…。脳死状態と診断された後、1か月以上、心停止に至らないことを「長期脳死」という。そんな「脳死」を生きる子どものひとりであった娘との日々を、鎮魂の思いをこめて綴る。【「TRC MARC」の商品解説】
目次
- はじめに
- 1章 あふれる笑顔
- 不思議な運命
- 出産
- わが家のアイドル
- お兄ちゃんのランドセル
- 二歳でもレディー
- お友達いっぱい
著者紹介
中村 暁美
- 略歴
- 〈中村暁美〉1964年生まれ。文教大学女子短期大学部卒業。第4子が脳死状態となり、2007年に他界。以降、この体験を様々な場所で語り、「脳死」の子を抱える家族について理解が広がるよう努める。
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紙の本
長期脳死と生きる。長期脳死を生きる。
2010/02/08 05:14
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちひ - この投稿者のレビュー一覧を見る
娘が「長期脳死」※の状態になってから亡くなるまで、1年9カ月をともに過ごした母親の手記。
2009年の臓器移植法改定により、2010年7月からは、本人の意思が不明な場合は家族の意思で脳死の人からの臓器の摘出・移植が可能となる。意思不明な子どもからの臓器の摘出・移植も、親の意思で可能となる。
だが、臓器移植を待つ子どもの親の側にも、脳死の子どもの親の側にも、ともに「生きて!」という願いがある。その切実な願いと願いとに綱引きをさせようとしている、そのような危うさが改定臓器移植法にはあると思うのだ。
北海道新聞の2009年12月7日版に、「古書店で崩れた本棚の下敷きとなり昏睡状態となった子どもの回復を、親ときょうだい、友だちは待ち望み、祈っている」という記事があった。事故から二カ月めの記事であり、また(事故から)「10日後には脳死状態と診断され」という記述があるので、この子も「長期脳死」であると考えられる。親やきょうだいや友だちは、そのような脳死の子の回復を切実に祈っている。
臓器を欲している命と、いままさに最後の生を生ききらんとしている命、それらの命と命をはかりにかけて臓器を欲するのは、その子の生を最優先させているからだろう。逆にそのとき「はかりにかけないで!」と叫ぶのも、その子の生を最優先させているからだろう。
この本、母から子への(おそらく)ごく当たり前の愛情が満ちているから、それが「読ます」のだろうか。それほど時間はかからずに読める。しかし大変に重たい内容で、大変にしんどい。一体どうすればいいのか、私にはわからない。
※ 長期脳死
脳死と診断・判定されてから30日以上生存する場合を「長期脳死」という。2009年7月2日、臓器移植法改正について審議していた参議院厚生労働委員会で、日本移植学会理事長・寺岡慧氏は「最近、繰り返し報道されている、いわゆる長期脳死につきましては、法的脳死判定の基準、あるいは、小児脳死判定基準を完全に満たしている事例は存在せず、脳死とはいえません。すなわち、無呼吸テストが実施されておらず、またその他の判定基準も一部しか満たしていないのが事実です。」と述べたが、同7日の参考人招致、あるいは同27日のNHK『視点・論点』で、大阪府立大学教授・森岡正博氏によって、寺岡氏が引用した論文の別の箇所が挙げられ、無呼吸テストを含むすべての基準を満たした上での「長期脳死」例があることが指摘されている。TVで「長期脳死」と紹介される例の中には実際には長期脳死でない場合が含まれているように見受けられるが、しかし、長期脳死そのものは、実際にある。