猫の事務所 ある小さな官衙に関する幻想 （日本の童話名作選）

投稿元：

レビューを見る

絵は魅力的。お話ももちろん宮澤もの、悪いわけはないのだが、まだ息子にとっては世界は善意に満ちたもので、理不尽なことは理解できないのかもしれない。

投稿元：

レビューを見る

全集みたいなもので読んだのですが、この絵に惹かれて買いました。
世の中は理不尽なのだ。
猫達の人間らしさがたまらない。

投稿元：

レビューを見る

外見が良くない、かま猫を他の猫が阻害する話。

集団の中で異質なものを排除する傾向は今も昔も

変わらずあるのだろう。

今でいういじめ、差別の問題と、規律に従いすぎる

官僚を風刺しているのだろうか。

獅子の一喝（著者の一喝？）によりかま猫が救われる。

ただ、「僕」は半分だけ理解できると限定している。

子どもに読んでもらったほうがよい。

投稿元：

レビューを見る

軽便鉄道の停車場のちかくにある猫の第六事務所は、猫の歴史と地理をしらべる所です。

そこには大きな黒猫の事務長、

一番書記の白猫、

二番書記の虎猫、

三番書記の三毛猫、

そして、

四番書記の竈猫（かまねこ）がいました。

なにかにつけて竈猫はいじめられるが・・・

さて、この竈猫の運命は？

投稿元：

レビューを見る

宮沢賢治の中でも好きな話のひとつ。
それが黒井健さんの絵がついて言うことなし。
大好きな絵本です。
ストーリー的には・・・途中でイヤんなっちゃう宮沢賢治らしいお話で「それどうよ？」とも思えるのですが、私は嫌いではありません。
出演者は猫ばかりですが、現代でもこういうことってありますよ、うん、ていうか、よくあります。

投稿元：

レビューを見る

どう解釈したら良いのか、頭が混乱した。今も自分の中でいろいろ整理しきれていない。時間をおいて、もう一回読んでみるつもりです。

投稿元：

レビューを見る

「黒井健の絵本が好きなの？　じゃあ宮沢賢治のもあるよ」とお隣さんに教えてもらった。切ないなあ、辛いよなあ、なんて愚かなんだろう……、そういう想いを、絵が増幅し、そして慰めてくれもする。窓の外の獅子の金いろの頭が、とても印象的。今もどこかに、「いかめしい獅子」がいてくれますように。

投稿元：

レビューを見る

相変わらず宮沢賢治の作品は深い。
この作品は絵本だけど
差別されるものの状況と
気持ちがよく描かれている。
また、黒井健の絵もとても文章に合っている。
こうやって、絵本で書かれると
差別するっていう行為がどんなに人を傷つけるか
簡単に分かるのだけど、
現実には、なかなかなくならないんだよね。。。
残念なことに。。。

投稿元：

レビューを見る

人間世界の愚かで澱んだ習性を、
猫たちの世界に凝縮して描いた
宮沢賢治の傑作です。

どこにでもだれにでも
起こりうること。
だけど、孤独といわれのない差別は
本当に辛く苦しいこと。

最後に登場する獅子の大いなる力は
頼もしいけれど、同時に切なくなります。

きっと読むたびに感想が違うんだろうな。
本当に理解できる日はいつになるやら。


たくさん種類はあるけれど、
私はこの黒井健さんのイラストのものが一番すきです。

投稿元：

レビューを見る

宮沢賢治の本は有名なので知っていましたが、こうして彼の本をちゃんと読むのは初めてでした。
「ネコ」と言っても、ある意味で人間＝ネコに擬人化させたような内容でした。
何も悪くない、ただ外見がすすで汚れているだけのかま猫がいじめられている姿が読んでいて悲しくなりました。
特にかま猫が風邪で休んでいるうちに、他の猫たちが黒猫（もともとはかま猫を他の猫と平等に接していた）に嘘を吹き込んで、かま猫を悪者に仕立て上げているシーンがかなり腹が立ちました。その後かま猫が仕事を奪われ、無視されているシーンが続くのですが、読んでいるこちらも辛くなりました。
ラストの文は宮沢賢治本人の強い思いが込められているように感じました。（私は獅子が宮沢賢治なのかと感じられました。）

古い作品ですが、今の時代だからこそ読むべき本なのではないかと思います。

投稿元：

レビューを見る

童話であるが、ここに描かれているのは「差別」である。

猫の事務所で働く「かま猫」は、優秀であるのに外見が薄汚いという理由で、他の猫たちから差別される。唯一親切にしてくれた事務長も、ある告げ口をきっかけに手のひらを返したような態度となってしまう。なぜ自分は差別されるのか？思い悩むかま猫。
猫が主人公ではあるが　人間社会の縮図と見て間違いないだろう。


この童話では、作者と思われる「ぼく」が　２度、突然顔をのぞかせる。
２度目である　最後の一文は　「ぼくは半分獅子に同感です」。
私はこの最後の一文に　どきりとした。


獅子の登場によって　猫の事務所は廃止される。
かま猫が差別される「状況」は解決されるのだから、「ぼくも同感である。（めでたしめでたし）」と終わるのか、と思ったが、「ぼく」は「半分」だという。


何故　半分なのか？
絵本を閉じた後も　ずっとその理由を考えている。
差別はいけないことだ、と言うのは簡単だ。だが、外部からの圧力で解決できるほど、人間の心は簡単ではない・・・。差別はもっと、人間の奥深いところに巣食っている。哀しいことに。


読んだ人それぞれ、答えを探さずにはいられない童話なのでは　ないでしょうか。大人になって読み返すのも　いいものですね。
　

投稿元：

レビューを見る

図書館で目にして、宮沢賢治と黒井健さんのペアの作品であるし、猫が出てくるらしく、気になっていた
今年は宮沢賢治没後80年とのことで何か読みたいなぁと思っていたので、図書館で借りてみた

猫の事務所の猫たちが、一匹の竈猫（かまねこ）を差別（？）するおはなし

カバーには「差別の不条理さと愚かしさ」・「差別される者の悲しみ」などという言葉が並んでいるけれど、これは職場のいじめだ
自分たちと外面も内面も少し違って優秀なかま猫は、もしかしたら煤くさいのかもしれない
でもそれはそれで、いじめる（差別する）側が悪いのだ
しなやかな心を持っていないと、私たちにもいつか、色々な形をした「解散」という罰が下るかもしれない