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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
人とは異なった才能を持って生れてしまったが故の孤独や苦悩が表現されていて、何が幸せなのか考えさせられた。
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野性時代フロンティア文学賞受賞作、ということで読んだ。
新人賞受賞作? もう中堅の貫禄あるやん、と思った。
若き数学者の話なんだけど、数学苦手でもおもしろいし、むしろ数学を知りたい気持ちになってくる。人物とその関係性が丁寧に書き込まれていて、誰も悪くないのに少しずつずれていく感じが本当に切ない。
終盤近くの特別講演のシーンは、謎の感動が込み上げてきて涙が出た。
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読みやすい文体で一気に読み切ることができた。数学にとって取り憑かれた天才故の苦悩が描かれている。数学の知識は全く必要ない。話としてはとても面白いが、登場人物一人一人についての記述がもう少し細かく描かれていてもよかったのではないかと思った。数学を勉強しようと思える一冊だった。
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2018/09/16 072
久しぶりに没頭して読んだ。今年1、2を争う小説だった。天才数学者とその仲間の物語。1、2を争うのも「蜜蜂と遠雷」で、こちらもピアノ奏者の世界の天才の物語だから、自分の知らない世界のそういうお話に憧れがあるのかもしれない。
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数学者の小説。数学嫌いなのにかなり面白かったー!
コラッツ予想とかムーンシャインとか聞いたことない数学ワード出まくりなんだけど、天才数学者には世界はこう見えてるのかー!って感じです。天才すぎて誰にも共感してもらえない孤独の人生だったけど、読み終わってからタイトルの意味を改めて考えるとぐっときます。
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天才数学者のお話。論文の "正しさ" について、理系としてはなかなか考えさせられる内容でした。半分を過ぎた辺りから読むのが辛いところもありますが... 全体的にどきどきしながら楽しく読めました:)
コラッツ予想、素数みたいで面白そう!
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第9回野性時代フロンティア文学賞受賞作品。数学で天才的な才能を持つ瞭司。特別推薦で大学に入るが、その才能に周囲は驚きと嫉妬を隠せない。同期の熊沢、佐那とともに難問に挑んでゆくが、天才であることで、本人にその気は無くとも人間関係は歪んでしまう。味方がいなくなり、孤独のまま瞭司は難問の証明を試みるがアルコールに身体を蝕まれ、若くして亡くなる。17年後、熊沢は彼のノートを遺族から受け取り…。
最初からすぐに引き込まれた。比喩など含め、若さ、みずみずしさ、表現がとても素晴らしい。森の中、星を見るシーンなどその空気を感じました。輝いていました。破滅に向かうところと、瞭司に対しての教授の、特に熊沢の心を対比してよく書けてて、内容も良かったですがその文章に圧倒的にやられました。
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初めての作家さん。というのも当たり前で、これがデビュー作。本当にこれがデビュー作?と思わせるストーリー構成とその内容に舌を巻いてしまった。
天才数学家の瞭司は、小学生の頃に数学に目覚めてからは数学にしか興味がなくなってしまった。捲し立てるように数学についてばかり話す瞭司から同級生はみんな離れていってしまう。教師を上回る才能に、やがて教師からも疎ましく思われ、完全に孤立してしまう。
高校生になった瞭司。瞭司の才能に気付いた先生が、知り合いの大学教授の小沼に瞭司のことを紹介すると、特別推薦生として大学に入学することになる。そこには瞭司の他にも特別推薦生の熊沢と佐那がいて、瞭司は初めて語り合える人と出会うことができ、喜びを感じていた。熊沢と佐那を初め、周りの人たちは瞭司の才能に嫉妬を感じながらも瞭司のことを認めていく。
やがて瞭司の才能は、教授である小沼までもが嫉妬を抱くようになり、小沼は現役に戻りたいと瞭司から離れていき、佐那や熊沢までもが離れていくことになる。
数学会を大きく揺さぶる論文を残し、若くして亡くなってしまった瞭司。瞭司を救えなかった後ろめたさを抱えながらその論文を読み解こうとする熊沢。熊沢を通した現在と、瞭司を通した過去の世界が交互に繰り広げられていく。
数学に関してはチンプンカンプンな私でも大いに楽しむことができた。瞭司が大学生の頃は、やっと瞭司も報われたなあと嬉しく思ったが、その才能ゆえにまたしても瞭司は運命に翻弄されていってしまう。
これまで辛い思いをしてきたのに、なんでまたこんな思いをしなければならないのかと、暸司の境遇に打ちひしがれた。
ラスト。やっと、本当にやっと瞭司が報われたんだと、数学を通して瞭司の存在そのものを証明できたんだと胸が熱くなった。それも、一番大切だと思っていた友達の手で。そして、田中からのプレゼントがまた素敵だった。
3人が出会った頃のような爽やかな風が、心の中で優しく吹いた。
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「永遠についての証明」
冲方丁、辻村深月、森見登美彦が絶賛となれば期待します。選考委員の圧倒的な評価を勝ち取ったフロンティア文学賞3年ぶりの受賞作。
本書は、特別推薦生として協和大学の数学科にやってきた三ツ矢瞭司と同じく推薦生である熊沢と佐那の三人を中心とした数学小説であり、青春小説である。また、瞭司が残した研究ノートを紐解く点から言えば、ミステリーでもある。三面の要素を備えたこのストーリーは、三面分の面白さを備えていた。
中心にいるのは、圧倒的な才能を持つ三ツ矢瞭司である。純粋無垢であり、数学が楽しくて仕方がない。二十一世紀のガロアと呼ばれる程の天才。しかし、天才故にと言うか、物事の本質を捉えることに長けている為に、見えた本質を上手く説明出来ないことがある。
数学者は、自分の考えや理論、論文を発表する場合、そこに矛盾や穴があってはならない。正しさが存在しないといけない。その正しさを説明し、証明しなければならない(これは瞭司の様な天才で無い私でも経験を通じ、実感している)。瞭司は天才であるから正しく言語化しなくても、これはこうなるのが自明で理解してしまうが、天才では無い数学者はそれが理解出来ない。周りの人間に正しさを説明することが出来て初めて、瞭司の考えは皆に受け入れられるのだが、それが上手くいかないのだ。
今までただ楽しく、数学の本質を捉えることで全ての問題を解決してきた瞭司。同じ感覚を共有でき、尊敬出来た初めての人物である小沼教授と出会い、更に自分と近い感覚を共有出来た初めての友人である熊沢や佐那と付き合ってきた瞭司は、謂わば限られた空間(瞭司にとっては唯一の場所が協和大学であり、小沼の研究室だった)だけで生きてきたのだ。
このことに気づきもがく瞭司は、熊沢や佐那の助けを得ながら成長し、数学者としても成功していく。となれば青春小説で終わっていたと思う。
しかし、そうではない。圧倒的な才能を持つ瞭司に嫉妬しながらも惹かれ、やがて強い信頼関係を築く熊沢や佐那、小沼。ただタイミングがずれたり、些細なことからであったり、言葉が足りなかったり、感情を伝え損ねたり。それはほんと小さなものであったはずなのに、彼らは瞭司を掴み損ねてしまう。あの時は、小さくいつでも取り返せる瞭司との時間が、振り返ればとてつもない大きなもので取り返せない時間だったのだ。
熊沢は瞭司の残した証明を解き明かそうとする。瞭司の親友としての後悔、愛情、懺悔、懐かしみが溢れていく。何よりも瞭司を見つけようとする最後の発表シーンは全てが詰まった最高にクールなシーンだった(瞭司の徐々に死に向かうシーンにはどこか太宰治の様な雰囲気を感じてしまったが、その描写に並ぶ好きな所)。
そして、瞭司の意志を受け継ぐかのようなラスト。読んでいてドラゴンボールのウーブと悟空みたいだなと笑。あれは、締めとしてナイスな幕引き。
選考員のナイスな推し!は、個人的に納得しました。切ないけどおススメな一冊。
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数学を題材にして、しかも理系っぽくない小説を書くのは易しくはないと思うが、本書はちゃんと人間を描いた小説になっている。
数学の世界は、音楽小説のように、象徴的に描かれるが、違和感は感じない。
数学と物理学のつながりを書くのは良いが、そもそも数学の一分野から派生した物理学の超弦理論を数学の新地平のように扱うのは違うのではないか。
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天才、天才に嫉妬する秀才、凡人を自認するが故に様々な事を試したい活動家
3人が絶妙なバランスで過ごした大学時代は
一瞬のように過ぎるのが速い
徐々にバラバラになっていくのも止められない
青春時代を美化するために
天才の残したノートを証明するんじゃなくて
自分があの時彼と向き合わなかった事に
ケリをつけて
これからの研究や人生につなげるために
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たった一人の天才が目撃することでしか、理論はこの世界に姿を現さないーー厳然と存在する理論を「見る」力を持つ数学の天才・瞭司。あまりにも脆い彼は、次第に追い込まれやがて破滅の道をたどる・・・
数学をテーマにした傑作といって思い出すのは「青の数学」だけど、王道を描いた「青の数学」に対し、この作品は天才に対する嫉妬という、人間の昏い部分をこれでもかというほど描く。
瞭司が全幅の信頼を寄せていた熊沢も、佐那も、小沼も、みな自分の道を見つけ彼から去っていく。
天才ってそうなのか?と疑問に思うほど、あまりにも精神的に脆弱な瞭司の転落ぶりは、見ていて残念過ぎて同情もできなかったし、嫉妬にかられ瞭司の転落にさえ昏い喜びを感じていた熊沢も嫌悪の対象となった。
最後まで登場人物の誰にも愛着がわかなかったから、「青の数学」のようなキラキラ感も、爽やかさも残らなくて、希望のある終わり方なのに、どよ~んとした気持ちを引きずってしまったのが残念でした。
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数学の証明を取り扱ったという紹介に興味があって手に取った本。
瞭司が問題解決に物理の理論を導入するのが得意だったという件や、熊沢がピブルス理論の講演をしている時みんなが理解できなくて取り残されている様子からして、ポアンカレ予想を証明したペレルマンがモデルなんじゃないかなぁと感じた。
瞭司が酒に溺れたのは残念だけど、あんなになるまで母親は放置してたのかなぁ…というのが疑問。周りを苦しめる死に方はしてはいけない。
あと重箱の隅をつつくようで申し訳ないけど熊沢は瞭司の死の翌月に帰国して焼香後佐那と会っているけど、プロローグで佐那と最後に会ったのは瞭司が亡くなった直後だったとあるのがなんだか違和感が残った。さすがに亡くなった翌月に帰国したのならば直後とは言わないんじゃないんだろうか…。
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私は高校時代に物理学の国際大会に参加し、自身に満ち溢れていた。しかし、本物の才能を目の当たりにすると、その道を志すことをなんとなく辞めてしまい、自分が諦めた道を自分より才能がある人が進んでいると冷めた目で見てしまう。そんな私と大学入りたての熊沢はよく似てるな感じました。数学は好きだけど、才能のない自分がやったって仕方がない。そんな気持ちが常に頭を過ぎる。
瞭司はそんな私や熊沢が憧れた天才。この物語は瞭司が遺したノートを熊沢が6年ぶりに取り出してきたところから始まる。そして熊沢視点の現在と、瞭司視点の過去の両視点で物語は進んでいく。全体として、とても上手い構成だと思った。瞭司が何故死んでしまったのか、熊沢は瞭司の遺した「コラッツ予想の証明」を理解することができるのか、物語を進めていけばいくほど気になってどんどんページを進めてしまった。
個人的には、瞭司の数学の世界に浸る瞬間が好きなシーンだった。狂気を感じるほどの数学者というだけでなく、友達と一緒に数学をやりたいという人間的な瞭司が私にとってはとても魅力的なキャラクターであった。瞭司が数学に没頭する時間に何故か目頭が熱くなってしまった。「寝食を忘れて何かに没頭する」ということの美しさを感じたように思う。
最後熊沢の、「ミツヤノート」についての講演のシーンで、瞭司の見ていた世界と熊沢の見ていた世界がリンクしたとき、思わず涙してしまった。
熊沢は瞭司に手を引かれ、数学の世界に身を置くことになるが、私もそんな手を引いてくれる人がいたなら、今は元々好きだった道に迷わず進んでいたかもしれない。
この小説を読んで私も数学・理論物理の世界に没頭したいと強く感じた。
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数学の専門的な事について全く知識のない私ですが、最後のシーンに思わず涙しそうになりました(*つ▽`)数学という世界を通して紡がれる人との繋がりや世界を一緒に見る感動。こんな物語の描きかたもあるのだなと驚きました。
彼が亡くなった後、数式という世界の中で彼と再会を果たす場面。ここにいたのか、と。そして、新たな希望が生まれる瞬間で物語は閉じる。面白い(*´ェ`*)