紙の本
見知らぬ土地で災害に遭ったら。
2020/12/21 13:57
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある時、Twitterのタイムラインに<ある作家が、東北の一人旅の途中、見知らぬ土地で被災した記録>と流れてきて、俄然興味がわいた。いままで、東日本大震災関連本は、そういえば、その後の様子を描いた本。
あの日の様子は、いつもTVで知るのみで、それを語った一冊にはいまだめぐり合っていなかったなぁ…と。
話は、作家が被災した常磐線の新地駅から始まるが、これは、地図を見ながら読んだほうがいいかもと、スマホで地図を表示しつつ読む。その新地駅はいきなり海が近く、津波の危機がせまっている。
こうして地図を見ながらその様子を追えば、さらに当時の様子をリアルに知れる。
さらに中盤ぐらいで、都会での一人暮らしの私が、被災したら、それは旅人が被災するのに似ているからかも。…と思いいたり読み方に真剣みが増した。
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彩瀬さんが、ちょうど東北に旅行していたその日に東日本大震災に遭遇し被災する。避難所へ行き、地元の方々に助けられ、何日か後に何とか帰ることができる。その後に、ボランティアへ向かったり、世話になった方に対面したり。 放射能の事や現実の厳しさ、偏見、悲しみ、言い知れぬ葛藤が綴られている。
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「やがて海へと届く」を読んだとき,作者の後ろめたさみたいなものを感じて,それは生き残ってしまったことに対してなのかなと思っていたのですが,大きな勘違いでした.
あの後ろめたさみたいな感じは,だんだんと気持ちが部外者になってく自分や,旅行者にすぎず結局は部外者にしかなれない自分に対する作者自身の憤りの表れのように感じます.
この作品を読んで,今までいかにあの震災を「人ごと」としてとらえていたのかを思い知らされた気がします.
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数行読むごとに胸が締め付けられる。
目頭が熱くなる。
鼻の奥がツンとする。
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私はこの時、地震にさえ気づかずに、電気屋でのアルバイト。
ちょうどテレビ売り場のテレビが十数台立ち並ぶ裏側で1人梱包作業をしていて、いつもはいろんなチャンネルで混ざり合った騒音がやけにクリアだなぁ〜とか思ってた。
売り場に出ると、テレビは一斉に臨時速報を流していて、すべてのテレビが同じ画面で、いつもは色とりどりなのに全画面が濁った灰色一色。それから状況はさらに悪化していっても画面はずっと灰色だったな。
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被災もしていない、原爆の恐怖も感じなかったけど、あの日の事は忘れられないし、大きな地震が来そうな土地に住んでいるから他人事とは思いたくない。
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震災のときの話を知りたいけどあまりシリアスなのは読みたくなくて、たまたま居合わせた小説家のルポならほどよいだろうと思って読んだ。
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綾瀬まるさんデビュー前初めての作品がルポルタージュとは驚きました。
たまたま震災にあって書く決心がついたなぁと思いました。
実際にあった時の真に迫る迫力ある文章はすごかったです。
後日、助けていただいた方々の訪問ルポもあり、作家さんが書いた震災関連の本としてぜひとも読んでいただきたい一冊です。
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東日本大震災を経験した著者のルポルタージュ。どれも著者にしか記さない記憶と体験の数々であり、わたしのような外の人間にとても突き刺さる内容でした。自分の当時、そして今日に至るまでの行動と認識をいまさら振り返りました。胸が苦しくて悲しくて切なくてずっと眉間にしわを寄せていました。でも読んでよかったです。言葉が鋭くて、やさしくて、あたたかくて、冷たくて、彩瀬さんらしかったです。解説にあったように、さらにその先を読んでみたいと思いました。
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いまなら読めるかな……と文庫化を機に手に取る。ルポというものについて明るくないわたしだが、小説を読んでいるかのように読み進めることができた。著者の彩瀬さんが小説家であることが、やさしく機能してくれたのだとおもう。胸を詰まらせながら、ときには正体の分からない涙を流しながらの読書ではあったが。「被災地」とことばにするたびに覚える罪悪感を乗り越える方法、そのひとつに本書を挙げることができるだろう。小さくて儚い人間がそれでも極限で他者に優しく在れること、信仰のような気持ちで手を合わせたい。もう8年が経ったなんて。
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彩瀬まるさんが東日本大震災で実際に被災した経験のルポを集めた一冊。表紙のひしゃげた電車が怖い。
私は被災者ではないけれど、当日震度5強の地元で、乗っていた電車が脱線しました。
そのときの恐怖、その後の放射能の不安や買い占めする人々の狂気、続く余震、深夜も鳴りやまない地震アラームと繰り返すACのCM。全てがトラウマになっているらしく、読んでいて涙が出ました。
でもその後の被災者たちの暮らしの厳しさを知ると、そんなもん本当に些細なことで、情けないくらいに弱い自分が残念になります。
被災地を忘れずにいよう。
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東日本大震災の時にたまたまその場で居合わせ、放射能の恐怖や周りの方々の親切に触れた著者だから書けた本。被災地の外に戻ったり、どうしても被災地の野菜が食べれない著者の告白など。忘れてはいけないことを記してある本だと思う。
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彩瀬まるさんのご本を読むのは初めて。
3.11が近づいて来たので、ずっと気になってたこちらを読んでみた。
三章からなる構成。
福島の一人旅中に常磐線であの地震に遭遇。
たまたま隣に座っていた女性と津波が迫る中逃げるところから始まる。
一章では、あの震災に遭いながらも励まし合い助け合う人々に救われる様子が描かれていて、自然と涙が出て来てしまった。
みんな優しい。
本当に優しい。
自然災害と今の世界を揺るがす疫病とは話が違うかもだけど、今買い占めとか転売とかで揉めてるのが本当に馬鹿らしくなってしまう。
でも、二章からはやっぱり人間のどうしようもない面も描かれていて…。
愚かだし、悲しいなぁと思った。
そして、ボランティアなどで福島に再来した様子が描かれている。
そこで見聞きした情報や彩瀬さんが思ったことが書かれていて、私もあの当時本当に地震も放射能も恐いと思った事などが思い出された。
…最後に、私は極限状態でも他人に優しくできるかな?
優しくありたいな…と心の底から思った。
この本を読んだ方が、同じようにそういう気持ちになってくれれば良いな…。
そして、ここで書かれている福島県のお祭りに行ってみたいなぁと思った。
東北の他の地域もほぼ行ったことないので、私もいつか旅してみたいな。
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目に見えない恐怖と戦っている今、改めて同様に目に見えない恐怖と戦う3・11のお話を読ませていただきました。
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帯のコピーよりも書名の「暗い夜、星を数えて」だけで本の内容を十分表していると思う。文庫あとがきを含めて、多くの方に読んでいただきたい1冊です。
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3.11から10年になる今年。
ブクログで、3.11関連の本を3つ紹介されていた方がおり、そのなかで唯一読んでいなかったのが、本著だった。
事前に、内容を確認せず、「鉄道からの脱出」というタイトルに、津波被害を受けた列車から生き延びた方。というイメージしか持っておらず、その後に原発被災にも直面していたことに、言葉がなくなり、たびたび、涙しながら読んだ本。
自分は、震災直後の街を観ていないし、震災後1年以内に福島へは立ち入っていない。
震災後に津波被災地と呼ばれる場所に行ったのは、震災1年半後。
田んぼだったのかな?と思った場所が、住宅地だったと言うことに気づいた時の感覚、神社の階段に刻まれた津波到達地点の高さに言葉がなくなった瞬間、海や川の堤防がごっそりとなくなっていた風景、それらを読みながら思い出し、胃のあたりが冷たくなる感覚を覚える。
原発被災に遭われた現状を知ろうと、大学の講義をとり、福島に入ったのは震災4年後。
飯館のことを学び、避難地域の今後を話し合った時、福島県在住の方でも、地域によって全く意見の異なる様子に、言葉がなくなった。
ドアのガラスには、放射線の影響があるため、開いたらすぐに閉めるよう、指示が貼られ、大通りには放射線測定器が置かれていた。
あの時、東電を使っている都内から来た自分が、ものすごく悪い人のように感じ、同じ講義にでていた県内の方々にどう言ったら良いのか?どう接したら良いのか?がわからず、混乱した。
そんなことを本著を読みながら思い出した。
今、日本は放射線とは違うが、同じように目に見えないものに不安と恐怖を感じて暮らしている。
本著の最後に書かれた福島の方に対する差別。
それを日本はまた、繰り返している。
対象が変わっただけの繰り返し。
本著を読んで、人って変わらないんだな。。。ということも感じてしまったが、その反面、人の優しさも変わっていないはず。
これを読んで、どんな感想を持つか?は、その人それぞれ。
でも、少しでも多くの人に、読んで欲しい本だなと思った。
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震災から10年の節目に、本屋さんで目に止まったので読みました。
私も被災しましたが、著述業の方が書くと、ここまで表現できるものなのかと驚きと、10年前のことがまざまざと蘇りました。
同じ著者の『やがて海へと届く』もあわせて読むとさらに伝わるものがあります。