投稿元:
レビューを見る
癖の強い文章。
結構大事な先行研究を取り上げてない。
楽しみにしていたのに、残念な内容。別の人に書いてほしかったね。
投稿元:
レビューを見る
政友会と民政党の通史。新書というボリュームの限界から、物足りなさを感じる点もあったが、両党の成り立ち、歩みの概要を掴むには十分な内容だと思う。いくつかの部分で両党について理解が不足していた所を補うことができた。
資料として活用することを考えると気になる点はあるが、その辺りは、本書で提示されている参考文献をあたる方がよいのだろう。
政友会と民政党の失敗、挑戦の過去から学び現代の政党政治への提言を最終章でおこなっている。正論ではあるものの現実を超えることができる内容であるとは、私には思えなかった。
投稿元:
レビューを見る
時系列に従った整理がなされている。前の筒井氏の本と比べるとあまり大差はないと思われる。強いて差を言うならばこちらの方が扱っている期間が気持ち長いということと、史料に基づく分析がなされているが、平易な文体でそれを説明しているのが本書の特徴。
最後の筆者の見解がよくまとまっている。戦前の二大政党制を分析する意義が書かれているが、同感。
投稿元:
レビューを見る
戦前の2大政党制についてその誕生から終焉までを描いた新書。
民政党が成立した昭和初期から大政翼賛会が誕生しアジア太平洋戦争に敗戦するまでの期間について
政策と政争の両面から眺めることで、軍部や行政府、新官僚に比べると影が薄いこの時期の政党勢力がどのような原理で動いていたのかを明らかにする。
両党の社会政策の推移について政争やターゲットとする層の変化などを交えての分析や、政党機関紙を史料とした当時の議会勢力の世情の見方の記述は
戦間期の政治史の隠れがちな一面が明らかになっていて興味深い。
また政府と与党の乖離や野党内での主導権争いといった政党内でのミクロな動きが、国家運営にどのような影響を与えたのかといった政党政治の微細な部分まで眺めることができる。
新書というジャンルではかなり分析的な記述であり、入門書よりは一歩進んだ内容のように思われる。
気になった点を簡単に述べると、
・2大政党以外の勢力については極簡単にという方針なので、国会外の政治情勢(無産政党の誕生など)や軍事・外交の動向については事前知識が必要かも。
・2大政党についての国民の支持を議席数から推し量っているが、もう少し丁寧な分析が必要ではないか。
・現代政治への教訓の反映については判断を留保。
投稿元:
レビューを見る
戦前、「憲政の常道」と呼ばれた、政友会と民政党の二大政党が交互に政権を担う時代があった。本書は、その時代を中心に、政友会、民政党それぞれの成立・展開・崩壊の軌跡を丹念にたどっている。
両党ともに外交政策は協調外交路線で共通度は高いのに、民政党は不戦条約に難癖をつけ、政友会はロンドン海軍軍縮条約を「統帥権干犯」と非難するなど、お互いに党利党略による足の引っ張り合いを行うようになり、それが軍国主義的な時代の伏線となってしまうといった点は、現代の二大政党政治においても、大いに教訓となるものであり、本書は現代政治を考えるうえでも有益であると思われる。
投稿元:
レビューを見る
戦前において極めて高度な民主政治が行われ、「憲政の常道」と呼ばれる二大政党制による政権交代も行われていた。
それがなぜ崩壊したかが手に取るようにわかる。
有り体に言ってしまえば、政党が自らそれを放擲したのだった。
政権をとるためには対立党の失点は自党の得点となる。
自らの哲学を曲げても批判に血道を上げる。
ロンドン海軍軍縮会議、天皇機関説しかりである。
著書は淡々と書いているが、二大政党が崩壊し翼賛政治に取り込まれていく様は悲劇的でもある。
現代の二大政党制にも照射した好著でした。
投稿元:
レビューを見る
戦前の政友会・民政党の2大政党制はなぜ崩壊したのか。そして、現在の日本の政党政治はどうあるべきか。歴史に教訓を求めるべきとの本書の主張は、副題に「戦前の二大政党制に何を学ぶか」にある通り。複雑な昭和戦前期の政治経済、そして外交情勢を念頭に置きながら、政党がどのような方向性を模索したのかをリアルに想像していくのは案外と難しい。2大政党のみが政治主体ではなく、官僚や軍部などの非政党の政治主体も同時に動きつつ、政党との距離も近くなったり遠ざかったりするからである。
以前、自分も昭和恐慌期の本を書いたとき、民政党の安達謙造が政友会との協力内閣構想が挫折したエピソードから書き始めた。昭和恐慌という経済危機の状況にあっても経済政策・外交政策ともに変えられなかった民政党の挫折が相当気になっていたからにほかならないのだが、本書を読んであらためてこの時代に何が可能だったのか、続く政友会内閣で何が政党政治の方向を誤らせたのかを考えてみる必要があるように思った。
投稿元:
レビューを見る
戦前の二大政党の変遷をたどってみると、現代の政党とどうも似通った点がある。
党としての軸とビジョンが無く、すぐに政策がぶれていく所や、他党の足を引っ張り合う所、そして大衆迎合に走る所など。
結果、戦争へと突き進むことにブレーキを何も掛けられず。
今に始まったことではなく、戦前から日本の政党政治は軸とビジョンの無いものだったのだな、と実感した。
投稿元:
レビューを見る
日本は二大政党制が機能する国なのか?
この疑問に答えるべく、戦前の政友会と民政党に焦点を当て、日本戦前史を振り返る。
二大政党制は、制作の優劣を競うシステムでは無くなってしまう。党利党略が激しくなる。相手の失点が自分の得点になる制度なのだ。
協力すべき時に協力しないことの代償は大きい。政友会は民政党に対向すべく、軍部や非政党勢力と手を結ぶ。そして政党は崩壊し、大政翼賛会が成立する。果たして戦争は回避し得なかった。
筆者は巻末に、民意の複雑な最適解を求めるために、二大政党制よりも連立政権の重要性を説く。しかし、民主、社民、国民新の連立政権は果たして機能したのか?離合集散を重ね、小党が大乱立した挙げ句、2012年末の衆議院議員総選挙は、自民、公明への回帰となった。
低成長と超少子高齢化社会を迎える我々は、下方平準化であっても、公共財の平等な再分配を受け入れるべきである。必要なのは政策実行力のある指導者であり、大衆迎合主義的カリスマではない。このリテラシーを以て我々一人一人が政治参加をすべきなのであろう。
投稿元:
レビューを見る
1.井上寿一『政友会と民政党』中公新書、読了。先の政権交代以降の迷走は政治不信に拍車をかけた。考える手掛かりは戦前日本(1925-32)に存在する。本書は二大政党制の成立・展開・崩壊を追跡することで「戦前の二大政党制に何を学ぶのか」(副題)に応えようとする(=機能する条件)一冊。
2.井上寿一『政友会と民政党』中公新書。なぜ戦前の政党政治に注目するのか。一つは日本の二大政党の政治史は戦前にしか前例がない点、一つは時代背景としての格差拡大社会という共通点、一つは「非常時小康」という危機的な状況の類似、即ち3.11後の場当り的錯綜は満州事変を挟む世相と通ずる。
3.井上寿一『政友会と民政党』中公新書。政友会とは元々国家優位の「反政党」。民政党は革新官僚と連携した漸進主義。しかし両者の政策の差異が近似するなかで泥仕合がはじまり……気が付くとという話になる。軍部が「押しつぶした」歴史教科書表記の実相は「自壊する過程」である。
4。井上寿一『政友会と民政党』中公新書。敗戦後もその血脈は耐えていない。「戦前昭和と今の二大政党は悪いところばかり似ている」。民主党が民政党から学ぶべきは官僚を批判するより使いこなすこと。自民党は、政友会があらゆる階層から学び政治を導き出したことを想起すべき、と著者はいう。
5.井上寿一『政友会と民政党』中公新書。本書は著者5部作の4作目(『戦前昭和の社会』講談社、『戦前日本の「グローバリズム」一九三〇年代の教訓』新潮社、『戦前昭和の国家構想』講談社、『理想だらけの戦時下日本』筑摩書房。経済・対外危機とテロを踏まえると、荻野富士夫『特高警察』も併読したい。
投稿元:
レビューを見る
2012年発行。1925年8月から1931年12月までの時期に政友会と民政党の二大政党制が展開。政友会は反政党の政党。国家の利益を最優先、吏党の系譜、伊藤博文の個人政党。民政党は反政友会の新党。第二党の憲政党と第三党の政友本党の合同。理念を共有せず、多数派を形成するための数合わせ。二大政党制の病理現象、党利党略による足の引っ張り合い、反対党の失策は敵失、国民は二大政党の党利党略に呆れる、政党不信の高まり。三つの危機に協力、二大政党制に代わる新しい政党政治システムの模索、日中戦争勃発、既成政党の解消、新党構想、大政翼賛会の成立、政党自壊の過程。
投稿元:
レビューを見る
昭和2年の民政党結党以降の、政友会と民政党という二大政党の政権交代や政策、政党外勢力との関係などを描く。現在の二大政党との比較。「反対党の失点が自党の得点になる」状況と、そこに起因する問題点の指摘。国民世論については、もう少し他の本で知りたいところ。
投稿元:
レビューを見る
昨年暮れの総選挙前に出された、戦前の二大政党から学ぶ本。
戦前の二大政党も、数合わせの野党にはじまり足のすくいあい、そして解党・大政翼賛会へ。著者は戦前昭和の二大政党と今は悪いところばかり似ている、としていたが、果たして現代は、片方が自爆して二大政党とはとうてい言えない状態になった。今が「非常時小康状態」とわかっていても、その非常を回避できないことがある。そこも似るのだろうか。読んでもさっぱり気分が晴れない本だけど、国民の政治参加に対する責任感覚を回復せよ、という宿題だ。
投稿元:
レビューを見る
2009年の民主党政権の発足も衝撃だったが、昨2012年の自民党政権の復活にもまた驚いた。
民主党の拙劣な政権運営や相次ぐ内部の軋轢はひどいものだったが、その後一年近くを経過すると、あの政権崩壊は民主党の愚かさだけではなく、もっと深い原因と理由があったのかもしれないとぼんやりと思いつつ本書を手にとってみた。
本書は、戦前の「政友会と民政党」という二大政党が明治憲法体制のもとでどのような歴史経過をたどったのか詳細に追いかけている。
当時は「明治憲法体制」下にあったし、「宮中」や「陸海軍」などの有力な政治勢力が存在していたり、現在とはまったく違った世界だと思っていたが、本書の内容を読むと、まるで現在の「自民党」と「民主党」の姿を見るような思いをも感じた。
すなわち「自民党=政友会」、「民主党=民政党」である。
もちろん、「政党」という政治勢力であるから方針は紆余曲折もあるし、単純な比較はできないのは当然だろうが、日本人が「政党」という西洋から輸入した組織を運営する時の行動は、ひょっとして戦前・戦後という情勢の激変にもかかわらず、似てくるのではないかとも思えた。
しかし、本書はあまりにも歴史的出来事を詳細に追いかけている。
その事実を一つ一つ読みながら理解するだけでも大変であり、その内容は多くの示唆を含んではいるが、それを「政治文化」という観点から、わかり易い簡単な結論を出すまで進むことは困難である。
本書は、あとがきで「2009年の政権交代から3年後の今、眼前に荒涼とした政治の風景が広がる。…このような国民の政治心理はで既視感がつきまとう」と語る。
まさにそのとおりであるが、そういう内容の「解説書」のほうが求められているのではないかと思えた。
本書を読んで、日本の「戦前」と「戦後」が「政党政治」という観点からはどうやら「断絶」していたわけではないらしいが、その「連続性」をどう考えたらよいのかまではわからないという点に、ちょっと不満を感じた
投稿元:
レビューを見る
戦前の二大政党、政友会と民政党を主軸に描く昭和史。
解釈に疑問を持つ点が無いわけでも無かったが、
個人的にはこれまで他書で触れたことのない観点で
昭和史を振り返ることができ、非常に有用であった。
内容も読みやすく、かつ納得がゆき、示唆に富んでいる。
帝国憲法の限界をもどかしく思う一方で、
大衆迎合主義に走り、党利党略にまみれ、方向を見失う政党と、
本質を見失い、過激なメディアに踊らされ、
熱しやすく移り気な民衆の構図は今も昔も変わらないと感じた。
題名は硬いが、オススメしたい一冊。