投稿元:
レビューを見る
多様性って難しい。もし友人や恋人、家族が「普通」とは違うと知った時、認めてあげないとって思ってしまう。でも、認めてあげるって上から目線。「普通」と違うことで今まで色々な苦労とか苦痛を味わってきたんじゃないかと同情し、可哀想な人扱いをしてしまう部分があるように感じる。
他人と同じ「普通」であることに安心する多くの日本人にとって、多様性を尊重するというのは難しいことだと思う。表向きでは取り繕うことができても、なかなか心から受け入れることはハードルが高い。もし私の周りにブラジャーが好きな男の子がいたら、表向きでは受け入れたように接するかもしれないけれど、内心引いてしまうと思う。気持ち悪いと思ってしまうかもしれない。でも、誰にも迷惑をかけているわけではない。ブラジャーが好きだからと女性の下着を盗むことは許されないけれど、誰にも迷惑をかけることでは無いのなら、立派な趣味だし、好きなことを突き詰めることは素晴らしいことだと思う。
ファッションに関してだと、好きという気持ちと自信があれば、自然と似合って見えるんじゃないかな。
ファッションに限らず、自分に合う、合わないを判断の基準にせず、純粋な「好き」という気持ちを大切にしたいなと思った。
投稿元:
レビューを見る
図書館にて。
フレッシュだなと思った。
生き生きして新鮮な世界、文章も何か新鮮に感じた。
初めて読んだ作家さんだからかな。
この本の中のぎこちない、もどかしいそれぞれの人間関係にマッチしていると思った。
もがくような世界の中に突如くっきり現れる、2作目ラストの晴彦の父親の存在が異質で際立っていて不気味で良かった。
あと、表題作中、主人公が思わず友達や彼氏に本音を叫んでしまうシーン、現実ならここでもっと険悪になったり、いじめや無視に発展したりするのではないかと怖かったが、そうはならなかった。
現実的に、毎回そうなるものではないかと思ってしまっている自分もどうかと思ったが、この世界はいいなとも思った。
投稿元:
レビューを見る
北海道岩見沢市が後援する氷室冴子青春文学賞の第2回大賞に選ばれた作品で、ハゲvsブラになったという選考過程のくだりがなかなか面白い。
(https://monokaki.ink/n/n33af95721eb7)
選考委員の意見を取り入れて加筆修正改題したようで、文学賞HPで読める初稿と比べてみると、締まったエンディングになり、漸く姉と弟になるんだなというこの作品にふさわしい余韻が漂ってくる。
(https://estar.jp/novels/25513227/viewer?page=1)
カップリングされた『ブラザーズ・ブルー』は弟のブラジャーというエピソードを回収するために書かれたようなもので話自体は悪くはないけれど、本篇のインパクトが弱まってしまうようて、むしろ邪魔かなって感じ。
投稿元:
レビューを見る
“「幼いとか、誰が好きそうとかじゃなくて、これはあんたの下着で、今はあんたに似合うかどうかの話をしてるんだよ」”(p.70)
投稿元:
レビューを見る
とっっても好きな作品だった。
読めて良かったと思う。
相手のことを決めつけて、踏み込まないズルさというものは確かにあって、そうやって知らず知らずのうちに相手を傷つけていることが、私にも多分あると思った。
嫌われたり否定されたりするのが怖いから、「どうせ分かってくれない」と話さない。
でもそれは、相手に対して「こういう考え方しかできないんだろう」と決めつけているということだ。
言ってみないと、ぶつかってみないと、本当はどうなのか分からないのに。
でもそれを恐れる主人公の気持ちも、私には分かってしまった。
否定はできなかった。
傷つけるのも、傷つけられるのも怖い。
踏み込まない代わりに、踏み込ませようともしない。
その他人との距離感がリアルだった。
「保身ゆえの不誠実さ」というものがあるのだと、思い知らされた。
タヨウセイってやつを大事にできないやつは良い人失格なの。だから、私はあんたを受け入れるふりをしたんだ。
良い人の「ふり」をしたかった。良い人の「ふり」をして、腕を広げて受け入れさえすれば、誰も落っことさずにすむ。誰も傷つけずにすむ。そう思っていた。
(P106〜107)
この箇所がすごく好きだった。
読んでいて、耳が痛かった。
理解も共感も、半端にはできない。
「わけわかんない」を知っていく。
その人のことを知っていく。
ただそれだけでいいんだと思った。
投稿元:
レビューを見る
日常系、ブラジャー要素は低め。
思春期もの。
オッサンの自分がこんなの読んでどうするのかと思った。
共感できないし、憧憬もなかったし。
この本の評価高くしてたの女性の人とか若い方だろうか。
なんで自分にオススメされたのか謎。
投稿元:
レビューを見る
「好き」に素直になるって、とても難しい。「好き」という気持ちは、自己表現の最たる物の一つだと思う。それがどれだけ「普通」とかけ離れていても、自分に似合っていなくても、自分が「好き」と思う気持ちは本物であり、それを思うのは、純粋なる自分自身だからだ。思春期は周りの顔色を伺って、自分の気持ちをはっきりと表明することが難しい、そんな経験をした人は多いだろう。ご多分に漏れず、私もその一人である。そんな弱い自分を客観視し始める大人びた自分と、気づいていても行動に移せない幼い自分、という、ちぐはぐとした、もどかしい気持ちを思い出した。
そして、どうせ自分の気持ちなんてわかってくれないだろうという、諦めの感情を相手に向けることが、どれだけずるくて、相手を傷つけることか。好きを「好き」とはっきりと言える強さが欲しい、そしてそんな自分をわかってくれなくても平気な強さが欲しいと思うのは、大人になった今でも変わらない。
投稿元:
レビューを見る
両親の結婚で姉弟になったちぐさと晴彦。弟がブラジャーをつけしかも似合いすぎていることに衝撃を受けながら、互いの距離を縮めていく。友情、進路、家族への思いなど悩み尽きせぬ高校2年生。真っ直ぐな気持ちで体当たりでぶつかっていく姿が清々しかった。
表紙の絵もいい感じです。
投稿元:
レビューを見る
さわやかで好感が持てる作品。
読みやすく、一気に読みました。
親の再婚で弟になった晴彦は、ブラジャーが好きな男子中学生。
これだけ聞くと違和感だらけなんだけど、なんでだろう。作中ではそれほど違和感は感じず…。
微笑ましいなぁ、とすら思えました。
晴彦は気遣いのできるいいやつだし、なんだかんだ姉のちぐさの世話を焼いているけれど、晴彦もまたちぐさに支えてもらっていたんだなぁ、と言うのが後半の『ブラザーズ・ブルー』で分かります。
私も、晴彦には幸せになってほしい…^ ^
投稿元:
レビューを見る
個人を思いやればそれが多様性の理解に繋がるんだなーってのを、直球ではなくて綺麗な言葉で少しずつ紡いでくれている本で、とっても素敵なので是非読んでみてほしい。久しぶりに良い本に出会えて気分が良い。
私も合う合わないではなくて、好きかどうかで色々選択をしていこうって思えた。ちょろいのでとりあえず秋服から好きなものを買おうと思う。
投稿元:
レビューを見る
全体的に登場人物の気持ちが丁寧に描かれていて、どの人物にも多面性があって、読んでいておもしろかったのですが、ちぐさが感情不安定すぎて、ちょっとついていけなかった。
投稿元:
レビューを見る
タヨウセイの考え方が広がっていく中で、それを受け入れる人間が“良い人”だという認識がどこかにあって、だからこそマイノリティの人を守らなきゃいけない傷つけてはいけない否定してはいけないというレールがひかれている
ちぐさが智くんと口論をする場面で「晴彦は智くんとは違う!あんたと違って、そんなことばっかり考えてないんだよ」と、晴彦を否定してはいけないというレールに乗ったことで後にちぐさ自身が傷つくことになるのはなんとも言えない皮肉というか… ちぐさが怒り狂うのもわからなくはないけれどその後に“性別に振り回されないからといって、性がないわけではない”という言葉で勝手に性的嗜好や性を混同しているのではないかと反省した。
好きなものを好きというだけが難しいし、考え方が人それぞれ違って面倒だし、自分が考えていることは意外と他人は勘づいてるし、多様性は認めなきゃ良い人になれないし、それなのに人は人と関わって生きていかなきゃいけないって、ちぐさと晴彦も気づいていてどこかで諦めていた部分が救われた話だった。
タイトルに驚きつつも読んだけど出会えてよかった一冊、特にブラザーズ・ブラジャーのラストは凄まじかったし書き下ろしも良かったです
投稿元:
レビューを見る
2021.09.20
最後の晴彦とちぐさの言い合いのシーンで胸が詰まりました。ちぐさの心境の変化が文ではなくセリフに現れていて、読んでいる私には分からなかった側面を知って、でも予想外ではなかったからきっとお話の所々に散りばめられていたんだろうなあ、と。多様性という言葉をよく聞きますが、実際に多様性を重んじている人は少なくて、言葉だけに引っ張られている人が私含めて多いのかもしれないと思いました。少しずつ読み進めていくつもりでしたがあまりに面白く、一気に読み終えました、、、!
2022.03.11
ウェブサイト版を読み、単行本を購入して半年ぶりに読み直し、書き下ろしの「ブラザーズ・ブルー」も読みました。感想としては、とにかく良かったです、、、!上手く言語化出来ずもどかしいのですが、読んでいて自然と涙が流れているし、そんなのどうでもいいぐらい文章に熱中してしまう不思議でしっかりした魅力がありました。晴彦の考えとちぐさの言葉が真正面からぶつかり合う場面が何度もあって、どちらもまともでどちらも欠けているんだよなあ、とおもいました。それがまた物語の核になっていて、二人ともこれからどんどん成長していくだろうけどそのスタンスだけはそのままでいてほしい、、、
投稿元:
レビューを見る
すごく良かった。
みんなの“好き”が自由であってほしいなって思う。
周りからみたら奇妙な受け入れ難い“好き”もあるけれど、
人にはそれぞれ、胸ふくらます“好き”があって、
それは夢や安心をくれたり、
傍からみたらコブとか重荷に見えても、
それを支える肩紐付けて、
堂々と胸を張っていれたらなって。
好きなものは好きっていうその姿が、
素敵なら「素敵」と言えたらいいし、
多様性に柔軟でなきゃ!とか、
理解して受け入れなきゃ!とかじゃなくて、
よくわからないならわからないで、
別に無理することなく、
ただ、その人の“好き”が好きのまま、そこに在れたらいいなって。
世界はそんな世界になってほしい。
そんな風に思いました。
投稿元:
レビューを見る
これから私は、何度となく、さらりと、ふつうの輪から外れていることを突きつけられるのだろう。通り魔に刺されるみたいに、予想もしないタイミングで、あっという間に傷つけられてしまうんだろう
ちょうど子どもが悩みを打ち明けてくれた後に読んだので心に響いたな。