紙の本
タイムスリップ短編
2020/10/18 18:20
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
素性の知れない男が救急搬送されてきた。昔の防空壕を探検していたら変な場所に出た。吹雪の晩、図書館で知らない大人と過ごした。美術品にまつわる言い伝え。一緒に旅行した男女。昔ちょっとあった男と再会。
どこから来たのか、何のために来たのか、はっきりしなくて、別の時代から来たってことしか分かりません。その辺もぼかしてあるけど。
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1937年の東京。隅田川で拾われた男が病院に運ばれてくる。身元不明の男は記憶を失っていたが、なぜかこれからやってくる戦禍の時代を知っているかのようだった……「遭難者」。とある北の国。猛吹雪の夜、図書館に一人の少年が取り残された。暖房もない極寒の館内。そこに突然現れた謎の男は少年を救い、やがて大切なことを伝え始めた――「図書館の子」。「時とたたかい、時に翻弄される者たち」を描く全6編の短編集。
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タイムスリップをテーマとした短編集。
一から十までわかりやすく説明されたような話よりも想像の余地のある話が好きなので、面白かった。余韻のある作品たちで、良かった。
宮部みゆきの「蒲生邸事件」と少し似た感じの雰囲気だなと思ったし、タイムスリップの力を持った一族を描いたイギリスの映画などとも少し雰囲気が似ているなと思った。こういうことがリアルにあったら、きっと孤独などの隠の側面の方が多い気がする。
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今まで苦手で手に取らなかったタイムトラベル。
作家さんが好きで予備知識なしに読んでみたら
面白かった!
ハラハラドキドキした。
『傷心列車』にホロリと(笑)
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単なる
「過去や未来にタイムスリップする」
といった感じではなく、
確実にタイムスリップしてるんだけど、
どけとなく自然な感じがして、
でもやっぱり不思議な物語の短編集だった。
物語は全部で6話ありますが、話によって面白さにバラツキがあるように思いました。
最後の2つ
「追奏ホテル」と「傷心列車」、そして、この本のタイトルになっている「図書館の子」が面白かったです。
この3つは面白かったんだけど、内容が興味深かっただけに、ちょっと短くて物足りなく、もっと詳しいこの3つの物語が読みたいなと思った。
最後の2話は、第二次世界大戦に突入する頃の満州が舞台で、読んでいてエキゾチックな雰囲気が漂ってきた。不思議な物語を、さらにミステリアスな感じがして、そこが良かったです。
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巨匠の新作はまさかのSF。同じ趣向の話の短編集なんだけど、例えば、連作短編的な何かがあるとか、期待したけど特になく(気付いてないだけ?)、淡々と終わります。
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時空を越える物語。
「遭難者」未来から1937年にやって来た男
「地下廃駅」1960年から1945年に行ってしまった少年たち。
「図書館の子」吹雪の日図書館で見知らぬ男に助けられた男の子の40年後。
「錬金術師の卵」錬金術師のロレンツォに500年後に送られてしまったマッテオの話。
「追奏ホテル」85年前の1935年にチェックインした男女。
「傷心列車」未来から来た男と満州で出会いハルピンで待ち合わせする女
どれもとてもミステリーです。
とても面白かった。
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ミステリと思っていたら、えっSF?タイムトラベル物の短編が収録されている。どれも少しミステリっぽく、どれも古いときの昭和の話。表題作は、図書館で雪の日に仕事に出ている母親を待っている6歳児が、夕刻から吹雪となり、一晩図書館で過ごす話だが、それまでの作品のテイストから、まぁ結末は予想通りの流れとなるから意外感は無い。
でも最後の「傷心旅行」は良かった。旧満州のまだ平和が残っているものの、相当に不穏な状況。そんな中で、ロシア人のショーが見られるカフェの女給と高度な目的の達成を目指すトラベラーの恋物語。果たして莞爾と征四郎を倒したとて日中戦争ひいては太平洋戦争が起こらなかったかどうかは判らないけど。
ただもう元には戻れず、そのままパラレルワールドで暮らすことになったら、安心するのか、それとも別の悪いことが起きないか一生心配し続けるのか・・・。
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タイムトラベルをテーマにした6つの短編集。
タイムトラベルというSFの設定ですが、冒険小説やミステリー小説、児童文学などテイストが異なっていて、色々楽しめました。
各話には必ずタイムトラベラーのような人が登場しますが、特に時空を操るような機械は登場せず、なぜ飛ばされたのかほとんどの話では明らかにされていません。
その人達が、どう変化をもたらすのか落ち着いた話からワクワクするような話まで、全然雰囲気が違ったので、面白かったです。
佐々木さんというと、警察小説や歴史小説のイメージでしたが、新たな分野が誕生したなと思いました。ただし、全く違う分野ではなく、今まで描いていたジャンルの雰囲気を保ちながら、SFに取り込んでいます。
終わり方は様々で、良い終わり方もあれば、悪い終わり方、意外な展開もあって、好みが分かれるかと思います。
個人的に好きな話は、「傷心列車」。ハルビンへ行くことになった主人公。その理由は、恋した男から「ハルビンに行こう」と言われたから。しかし今、男はいない。どのようにして出会い、どのようにして今に至ったのか。そしてその結末は?恋愛小説としても楽しめて、終わり方が好きでした。
他の話も好きでしたが、終わり方が・・・だったので、ちょっと惜しかったです。
途中まで良かったのは、「地下廃駅」「錬金術師の卵」。
「地下廃駅」・・・廃駅(寛永寺坂駅)を冒険する2人の少年の物語。
「錬金術師の卵」・・・ある美術品にまつわる伝説をめぐり、真実かどうか確認するため招かれた5人。美術品に隠されたミステリーとは?
運命に翻弄される時の旅人達。短編集なので、物足りなさはありましたが、それぞれ違った味を楽しめた作品でした。
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好きな作家だがテーマは苦手のタイムトラベラー。できることなら各章の話が実は繋がっていて最後にスッと腹落ちする。みたいな構成が良かった。
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謎解きを期待するとはぐらかされるけど、たしかにタイムリープがいつも望みどおりうまくいくわけではないんですよね……という、あえてのバッドエンドやら謎のまま終わる話やら。ただ、そこへいくまでの舞台設定はとても濃密。「錬金術師の卵」なんかは、わくわく感はんぱないだけに「そっちかーい!」ってなった(笑)。でも彼らのところへ来てたら惨事だったわけで。
表題作はループもの。いろいろ考えるとしんどいけど、おもしろかった。冒頭の「遭難者」は、さすがに中途半端すぎて、このあと次の作品へつづいていくのかなと何度か確認したほど。でも、あえてなんでしょうね。「追奏ホテル」こわい。ちょっと「世にも奇妙な物語」的テイストもあるかな。「傷心列車」は書きこみのリアルさがよかったです。
意図したけどうまくいかなかったタイムトラベルと、意図していないタイムリープの物語という、めずらしい集成でした。
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6篇のタイムトラベル小説。
と言ってもいずれも過去に降り立った人々で、未来には直接本人たちが行ったわけではない。
しかも、戦中、戦前の穏やかならぬ時期で、物語そのものも暗い影の落ちたものとなっている。
表題作「図書館の子」と、「傷心列車」は救いもあるが、「地下廃駅」、「追奏ホテル」は、後味の悪い終わり方だった。
本書を読むと、「昔は良かった」と振り返る時、私たちは知らず知らずのうちに都合の悪いことを消去し、美しく素晴らしいものに記憶を書き換えているのではないかと思わせる。
そしてそれは心理学でも言及される心の働きで、綺麗に終わらないからこそ妙なリアリティを持って迫ってくる。
さて、表題作は、私も大好きな図書館の物語だ。
主人公のクルミが一人閉じ込められた図書館。
母は雪のためたどり着けない。
寒さが次第にクルミに迫ると、どこからともなく現れた救世主。
…それだけなら、いい話、で終わるのだが、そうでないところに昭和の闇が見えてくる。
昭和は、どんな時代だったのだろう、と思う。
終わりから、30年少しでは、まだ評価は定まらないかもしれない。
暗い時代だった、というのはほんの20年くらいで、決して悪いばかりではなかったのかもしれない。
しかし、それでも、暗の部分を無かったことにだけはしてはならない。
少し暗い気持ちで読み終えた後、カッコ悪いけれど、今の時代に生きていて良かったなぁ…と思った。
あまりに俗な感想が出るくらい、心が過去に大きく振られたことに気付いた。
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作者さんの新しいジャンル、時空モノ。残念ながら入ってこなかった。文章はさすがに繊細で美しいんだけど…
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佐々木さんらしさがまったくなく戸惑う。タイムトラベラーも意外だが、連作でもなく、何がテーマ?熱い漢も出てこない。佐々木作品で最低かも。
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タイムトラベルモチーフ6短編集。
昭和初期、歴史が舞台。人と時間移動の狭間の困惑を美しい背景描写で綴った物語。
メルヘンなタイトルにふんわりした話を期待していたらバッドエンドが多い。
ラスト『傷心列車』は良エンド。ホッと本を閉じた。
『追奏ホテル』
「1935年のきょうにお泊りいただけます。ただし絶対に秘密にしてください」
ホテルのフロントで約束して、部屋に向かうエレベーターを降りると85年前にタイムトリップしていた。
そのホテルに立っているような臨場感あふれる緻密な描写が美しい。
現在に戻り、結局は約束を守れず警察に事実を告げてしまうのだが、過去に跳ばされ、戻ってこれなくなったようだ…
『傷心列車』
戦争直前の満州。クラブで女給をしている千春が彼から渡されたのはハルピン行きの汽車の切符。
「必ずきみにどこかで追いつくから列車に乗ってくれ」
追いついたのは7年後。
彼は何度も時を渡り、戦争の歴史を修正。その作業に実質7年かかったのだ。
だが、千春には大連から哈爾濱までの時間しか経過していない。
タイムトラベル時間認識のズレの面白さを描いた秀逸な作品。