「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
読割 50
紙の本
景気ってなんだろう (ちくまプリマー新書)
著者 岩田 規久男 (著)
原油価格が上がるとなぜすべての物価が上がるのか? 給料は世界経済の影響をどう受けるのか? 景気の変動を緩和し、景気後退を防いだり、景気を回復させたりする政策にはどんなもの...
景気ってなんだろう (ちくまプリマー新書)
景気ってなんだろう
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
原油価格が上がるとなぜすべての物価が上がるのか? 給料は世界経済の影響をどう受けるのか? 景気の変動を緩和し、景気後退を防いだり、景気を回復させたりする政策にはどんなものがあるかについて説明する。【「TRC MARC」の商品解説】
目次
- 序章 景気とはなんだろう
- 景気とは/誰も景気に無関心ではいられない/景気を良くする方法はあるのだろうか/景気は太陽の黒点が多くなると良くなる?/四つの景気循環説/循環(サイクル)と趨勢(トレンド)の区別が必要/日本の景気循環
- 第1章 景気はなぜ良くなったり悪くなったりするのだろうか?
- 国内総生産の供給/企業の在庫品需要/在庫循環は消滅したか?/変動の大きい設備投資/設価投資の増加はその何倍もの国内総生産の増加をもたらす/投資が投資を呼んだ高度成長期/バブル景気以降の設備投資と消費の動向/住宅投資の変動による国内総生産の変動/消費は景気にどのような影響を及ぼすか/内需と外需
- 第2章 設備投資は南極探検のようなものだ!
- 「設備投資は南極探検のようなものだ」/設備投資のリスクは大きい/将来の予想が設備投資を決める/経営者が強気か弱気かが景気を変動させる/新技術と新製品の開発/金利がどうなるかも設備投資に影響する/設備の価格動向も予想する必要がある/海外売上高の影響を強く受けるようになった設備投資
- 第3章 日本の景気は海外の景気とどう連動するか
- 輸出の変動は景気を大きく左右する/輸入と景気の関係/景気を悪化させる輸入は悪か/なぜ輸出は変動するのか/「アメリカがくしゃみすると風邪をひいた」高度成長期/変動相場制度への移行と為替レートの影響/アジア新興国の景気が日本の景気を左右する/日本の景気はアジア新興国とアメリカの景気とどう連動しているか/ブラック・ホールのようなアメリカ
- 第4章 お父さんの会社は景気とどういう関係があるのか
- 名目賃金と実質賃金の区別/実質賃金はどのように変化してきたか/企業収益は好調/急上昇する海外売上高比率/振るわない中小企業/設備投資と対外直接投資の動向/なぜ対外直接投資は増えるのか/対外直接投資の増加は景気にどう影響するか/会社はもうけているのにお父さんの賃金が上がらないのはなぜか/複雑になった実質賃金の決定メカニズム
著者紹介
岩田 規久男
- 略歴
- 〈岩田規久男〉1942年生まれ。東京大学大学院修了。学習院大学経済学部教授。「昭和恐慌の研究」で第47回日経・経済図書文化賞を受賞。他の著書に「経済学を学ぶ」など多数。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
王様は裸だとわかるためにも
2008/11/08 17:23
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界的な自動車メーカーであるT社が今年度の業績を大幅に下方修正すると発表した翌日、日本の株価は大きくまた値を下げた。アメリカ発の「世界同時不況」がいよいよ実体経済に深刻な影を落とし始めたとともに、日本経済の脆弱さを見せつけられた思いがする。
多くの人が実感がないといい続けた二〇〇二年から始まる戦後最長といわれる景気拡張期が、実はアメリカの好景気(そしてそれが今回の破綻の要因でもあるが)に誘引されたものであるというのが、今頃になってようやく理解できるというのも淋しい限りだ。
経済学は明日に対して無力なのか。それとも大きな舵取りの政治力の前で正しい羅針盤など存在しないのか。
居酒屋論議で呑む酒は、苦くて、悲しい。
「ちくまプリマー新書」は中高生向きに書かれたシリーズであるが、本書から教えられることは多くある。専門書といわれるものよりもわかりやすいとなれば、子供たちだけに勉強させておくことはない。
著者の岩田規久男氏は今回の執筆に際して「私が置いた目線は、経済や経済学の知識がまったくない読者である。本書が目指している目的の一つは、そうした読者でも、本書を読むことによって、日本経済新聞の景気に関する記事をすらすら読めるようになることである」と書かれている(筑摩書房のPRWEBより)。
そういわれると、大学生や社会人は面目ないところだが、子供たちに「景気ってなに?」と聞かれてうまく答えられないとなれば、まず本書で経済のあらましを、こっそり勉強するのは恥ずかしいことではない。それでなくても私たちの目線はミクロ的な発想に陥りがちであるのだから、この際目線を大きくひろげることは損にはならない。
冒頭の自動車メーカーの話ではないが、日本経済がグローバル化せざるをえなかった(グローバル化に異論をとなえる人がいるのも事実だろうが、もしグローバル化しないとなればどこまでの成長が国内だけで実現したのか疑問がのこる)結果として他国の経済不振の波をうけてしまうとすれば、今後どのような経済政策が私たちに明るい未来を約束するのか、一人ひとりが考えなければならない。(そういう点からいっても、本書の第2章「設備投資は南極探検のようなものだ」や第3章「日本の景気は海外の景気とどう連動するか」は大変参考になる)
いや、少なくとも自分たちの子供たちに明るい未来をしめせるのか、大事な局面を、世界が迎えているともいえる。
本書を読んだあと、今議論されている政府の金融政策が景気の安定にどこまで寄与するのか、と心細くなる。
岩田氏は「本書の目的の一つは、こうした「政治的配慮」に惑わされることなく、実際の経済を見る目を養うことである」(書評子注:ここでいう「政治的配慮」とは政府の行う景気判断を指す)と書いているが、あなたならどう考えるだろう。
裸の王様をみて、「王様は裸だ」と叫んだ子供の、正直な目を忘れてはならない。