紙の本
常に予想を裏切る、捻じれ。
2023/06/13 01:31
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投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ピーター・スワンソンの作品といえば、何気ない日常の中に紛れ込んだ些細な違和感がきっかけとなり、誰もが予想だにしなかった展開が次々と引き起こされていく。
ありとあらゆる要素が複合的に絡み合い、何が真実なのか読めば読むほど分からなくなってしまうのだ。
そうした物語の構成にとどまらず、視点の入れ替わりを加えることで、更なる捻じれを生み出すのが彼の凄いところ。
登場人物たちの知られざる一面を見せることで、誰が本当のことを言っているのか、誰が誰を憎んでいるのか、といった真相に関わるであろう情報が次から次へと出てきてしまう。
にもかかわらず一向に真相は見えてこない。
本作でもその手腕は遺憾なく発揮されており、主人公が隣人に抱いたある疑惑から物語はどんどん想定外の形へと変貌していく。
上記の通り、追う者と追われる者の視点の入れ替わりは本作でも採用されており、サスペンス特有のヒリヒリとした心理描写を堪能できるはずだ。
そして過去作以上に静謐さが際立っているが故に、じわじわと迫りくる不穏さに迫力が増している。
ただその一方でミステリーとしてはやや肩透かしを食らうかもしれない。
誰が犯人なのかというフーダニット的要素は物語の序盤で早々に取っ払われてしまうため、そういう類の物語を期待しない方がいいと思われる。
また、ラストに明かされる真相に関しても、物語の中盤程度で気付く方が多いのではないか。
もちろんそれはフェアに伏線を張っている証左でもあるのだが。
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購入済み
2023.03.12.読了。
ああ、おもしろかった。ドキドキした。
ピーター・スワンソン恐るべし(^^)
この作家はハズレがない。
この作品を読む前に本棚の整理をした。未読購入済みの本をまずは片端から読み始める→ワクワクしない、ドキドキしないなら思い切って処分する。こんなことが何冊も続いて少し罪悪感というかなんか気分がよくなかった。
そしてこの作品を読み始めて、ああ、好きな作品読みたい作品はこんなにいい気分で読み進められるんだ!と改めて感動(笑)
つまらない作品を読んでる暇はない!
本棚整理は正解だった!
またおもしろい作品に出会いたい!
ピーター・スワンソンは今後も楽しみだ!
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ミランダやアリスより好きかも。ミランダはエンタメとしての面白さや話の完成度が高かったが、ダスティンは、ヘンとマシュー、時々マイラやリチャードで、いろんな視点で見られて面白かった。
リチャードの正体は、ミシェルの家に行こうとして行かなかったところで、もしかして実在していない?と思った。マイラは知ってたけど、黙殺してたんだろうな。
ヘンが信頼できない語り手ポジなのが面白い。ロイドよく付き合うな、結婚までするな、と思ったら浮気してた。その点、マシューが紳士的に見えるが、静かに狂ってる感じ。みんなちょっとずつ欠陥があって面白い。程度の差はひどくあるが。
これ映画化するなら、ヘンとリチャードの対決のところはもっとアクションがあっただろうなと思った。あっさりだったが、それで良かった。
そして最後のヘンとダスティンの繋がり。だからヘンは気にしていたのか。
彼女が彼を知る前。だからダスティンは死んだ。
マシューが自分の殺しの正当化は罪と罰の主人公的であるし、父親殺しであり、自分を殺す行為でもあって面白い。
面白かった。
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謝りながら読んでしまった。
すみません、すみません・・・・・・
主人公夫婦の有り様が身につまされてしまって、すみませんとしか言いようがない。
主人公はヘンリエッタ・メイザー、版画家だ。
夫婦二人で越してきた新しい街で、新しい隣人と親しくなる。
だが、ヘンは気づいてしまった。
この隣人の夫のほうは、あの殺人事件の犯人ではないかと。
さあ、想像してほしい。
隣が殺人犯だと言う妻を。
思い込みが激しく、妙に行動力のある妻を。
それに振り回され、しかしその体調を気遣う夫を。
すみませんすみません・・・・・・
身につまされてしまって、謝りながら、ペコペコ本に頭を下げて読み続けるしかなかった。
半分までは。
話が進むうちに様相が変わって、いつの間にか謝り続ける必要がなくなってきた。
読み終わった時には、さすがスワンソン! と、作者にうなるほかない。
さすが『そしてミランダを殺す』の作者だと。
自分が伴侶を振り回すほうでも、振り回されるほうでも、その他でも、ぜひ!
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1.おすすめする人
→倒叙作品が読みたい、騙されたい
2.感想
→実は読み切るのにすごく時間がかかった作品。
倒叙作品として読み進めていくと、
最後に必ず覆され、驚嘆する。
猟奇的かとも思うが、少し可哀想にも感じる。
原題は「彼女が彼を知る前に」。
全てを読むことでこの意味が明らかになる。
必ず、「解説」まで呼んでほしい。
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隣に住んでいる人物は殺人者かもしれない。
そこから物語ははじまります。以前、読んだ『アリスが語らなかったことは』より、好きかな。
視点が移り変わり、ふとした瞬間にあることに気が付いてしまったのは少し残念かもしれませんけど。
楽しく読ませていただきました。
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CL 2023.5.30-2023.6.1
相変わらずの気持ち悪さ。
どの登場人物も何かしら抱えていて信頼できないところがあり、どんどん不穏になっていくのが面白い。
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ピーター・スワンソンの小説の構成は登場人物の視点、語り手が交代しながら物語が進行していくところなのか、『ミランダ』からこの辺りは変わらず。
そして、静かだなあ、と思う。常に冷静と静寂な空気感が漂っていて。
その空気感が好きで、たんたんと読み勧めてしまう。
『そしてミランダを殺す』の続編が出る、との噂を耳にして楽しみでならない。
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偶然隣り合わせに住んでいる二組の夫婦が知り合った時、過去の殺人事件に思考回路を巡らすひとりの女性。
かつて殺されたのはダスティンという若い男性だった。
そして、視点をそれぞれに人間に移し、弟や、同僚までも巻き込みストーリーは誰も分からない結末へ加速してゆく。
読む人をここまで引きずり込み振り回すことの出来るこのスワンソン、いつもながら驚かされます。
過去のダスティンがその時また登場してきたことにも息を呑んでしまう。
そして まさかの、「彼」の出現により一層、驚愕するばかり。
夫婦の脆さ、人間の浅はかさ、男の思考、女の過去の情け…
一瞬も気の抜けない読書タイムで寝不足気味。
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鬼★5 隣人夫婦の家を訪れると過去の事件で犯人が持ち去った置物があり… #だからダスティンは死んだ
■あらすじ
当たらな土地に引っ越してきた若き夫婦である、夫のロイドと妻のヘン。彼らはお隣さん夫婦であるマシューとマイラに自宅に誘われた。
帰り際に妻のヘンは、宅内にあるトロフィーを見つける。恐らくそれは数年前の殺人事件に関与するものと知っていたのだ。果たしてお隣夫婦との関係性はどうなるのか…
■きっと読みたくなるレビュー
これまでスワンソンの本シリーズはすべて読んできましたが本作も面白い!★5
お隣さん夫婦とのトラブルや事件の関係性をさぐるといったサスペンスは、正直他の小説や映画でもあったような展開。このままありがちな感じで進むのかしらと思っていたところ、中盤からはさすがスワンソンですよ。
思いもよらなかった展開に、はああぁ? どういう話になるんだこれは…
もう読む手が止まらねぇ
そして本作は各章ごとに語り手が変わり、心の内面を吐露していくスタイル。そして突如襲ってくる狂った欲望が怖すぎるの。
本作の読みどころは何とっても登場人物の関係性、人間性ですよ。
そして過去の事件から始まり、現在の出来事への対峙によって、彼らの人生が大きく揺さぶられていく。みな一見人柄が良く、優れた能力をもっている若者たちなのに、偏執狂ぶりがハゲしい。
特にお気に入りはやっぱり主人公のヘンですね。抱きしめて癒してあげたい、守ってあげたい!でも、あまり関わりたくないといった人物なんですよね。正直無理。
ミランダもケイトもアリスもまぁ強烈でしたが、ダスティンはさらに度肝を抜かす、そして読者の胸にさしてくる良質サスペンスでしたね。ラストまで楽しませてくれる傑作です。
もしあなたが退屈な休日を過ごしているなら、手に取ってみることをおすすめします。
■推しポイント
終盤のとある場所で対峙するシーンが素晴らしい。
読んだ人はすぐにわかる、詳しくは書けないので是非読んでください。
ひとこと、鬼カッコいいです。
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段々色々わかってくうちにひぃぃ〜!
ってなる1冊だった…!!!
面白かった!登場人物も多くなくて読みやすい!
海外ミステリーにハマりつつある今日この頃…
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2023.2.9
全体の90%くらいまではめちゃくちゃ楽しく読めたんだけど、最後の残り10%が「あ、こんな感じで終わるのね…」って感じでちょっと残念だった。
多少物足りなさはあるものの、最初からずっと不穏ですごく好みな作品だった。
お気に入り。
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ヘンとロイドの夫婦とマシューとマイラの夫婦。あることからヘンはマシューが殺人犯ではないかと疑い、次第に確信に変わる。だけどヘンの過去の出来事から警察にも信用してもらえない。そこからどんどん思わぬ方向へ展開されていく。真相が明らかになった時の驚きはもちろんあるけれど、それ以上に中盤あたりの誰が見ているものが本当なのかや、どこへ向かっているのかわからない不穏さに引き込まれていく。夫婦間での信頼と疑念の間で揺れていく様や隣人に向ける目線など細部が面白い。
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面白く読めた。だけど、ちょっと帯が煽り過ぎなような気がする…。けど読後感は悪くなかっだ。
驚きがある中でもしっかりした背景とエピソードで、それだけじゃない読後感を残してくれるピーター・スワンソン。好き。
ミステリー好き、本好きなのがところどころから伝わってくる。
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無理やりな、感じが否めない部分が、結構あったなぁ!
なんか、強引な、設定だし、想像つく犯人だったし!
それでも、読者を、引っ張るストーリー展開、翻訳者の力なのか、スワンソンの、力なのか?!スルスル読めました。
そして。最後、エンディングは、上手い!って思いました。