紙の本
表紙の靴ひもが意味するものは
2018/09/30 17:59
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
人が袋に入れられて、木に吊るされるという奇妙な事件が相次いで発生。マロリーは、事件の目撃者であるウィリアム症候群の少女、ココから情報を引き出そうとする。狂気的な犯罪、少女とマロリーの交流、隠蔽された過去の犯罪、警察組織内のパワーゲーム。これらの要素がうまくかみ合わさって、リーダビリティ溢れる内容になっています。読み終えたあと表紙に目をやると、木陰の中にはっきりと白く見えるくつひもが見えて、目の奥が熱くなりました。
紙の本
完全無欠の彼女に
2020/07/05 12:58
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
冷徹に犯人を追い続けてきたマロリーに、少しずつ人間らしさが宿っていました。事件の鍵を握る少女との、不思議な関係も心に残ります
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だんだん分厚くなるマロリーシリーズ…登場人物の名前がこんがらがって何度も一覧をひっくり返した。
ネズミの大群に襲われた老女に怖気をふるったあと、袋に入れて吊された被害者の惨状に犯人への怒りを…感じようにも無理がある。どいつもこいつも最低な奴だった。
初耳のウィリアムズ症候群なる病気、その特異な症状と、ココの不憫さ!
マロリーに西海岸で何があったのか読者は全く知らされないままに、怒濤のように「断食芸人」を追い、権力闘争の罠をくぐり抜け、過去の出来事をたどり、追及し、復讐し…というマロリーについていく。疲れたーでもまたまた楽しめましたね。そして靴ひもを懸命に結んだココ、ホタルのやさしい灯りに眠ったココ、どうか幸せに暮らしてと願わずにいられない。
マロリー、今度はどんな事件?会えるのが待ち遠しい。
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キャロル・オコンネルの作品で読んだことがあるのは『クリスマスに少女は還る』と『愛おしい骨』だけなので、このマロリーシリーズは読んだことがない。最初に感想を言うと、主人公であるマロリーの過去を知っていれば、もっと面白いんだろうな、と思った。マロリーはこの巻の前には、どうやら何か月か失踪していたようだ。クールビューティ&タフネスの女刑事という、いかにもアメリカらしい鉄板キャラ。結構この設定は好き。相棒のライカーはそんな彼女とは好対照で、ややお調子者のような感じ。そこそこ切れ者なのだが、なにぶんマロリーの能力が突出しているので、ライカーは損している。ただ彼がいないとマロリーの行動は謎が多すぎるので、物語を理解する上ではとても重要な人物。
ストーリーの展開は冒頭のショッキングな描写を除けば、いたって王道のミステリーという感じ。トリックより物語性を重視している。奇をてらう感じもなかったので、分厚い割には読みやすい。
事件は昼間の公園ではじまる。幼児たちを引率して広場を訪れていた老女が、突如として現れたネズミの群れに襲われて噛み殺された。
なぜ、こんなところでネズミが多量発生したのかを捜査していたところ、木の上に吊るされ、口をふさがれ拘束されていた瀕死の男をみつける。生きたままネズミにかじられていた男。この男がネズミの発生源だった。それをきっかけに同様に木に吊るされ、ネズミに齧られた二人の被害女性が発見される。
その後、別の事件で保護された少女ココがこの事件の目撃者であったことが判明する。しかし少女はウイリアムズ症候群と言う疾患を抱えていたため、証言をさせることが困難であった。
誰がこんな凄惨な事件を引き起こしたのか、その犯人像は…
快楽殺人だとすると、この3人で犯行が止まっているのが不可解だ。被害者に接点はあるのか…
マロリーやライカーの過去の活躍を知らなくても、今回の物語だけでも十分面白いのだけれど、その他の登場人物たちも、過去の作品からの流れで登場してくるので、読んでいないと絡みがよくわからないところもある。
1作目から読んでみたいが、これが10作目だからなぁ… 分厚いし、ためらう。
1作目から読んでいる人がうらやましい。
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マロリーのシリーズ、10作目。
ヒロインの過去に関わるため重要な「ルート66」に続く作品。
原作でもこの間は4年、間が空いています。
キャシー・マロリーはニューヨークの刑事。
完璧な美貌だが、特異な育ちのために普通の感情をほとんど理解しない変わり者で、天才ハッカーでもあります。
前作で幼い頃の謎が思いがけない展開を見せ、今後にどう影響するのか?と思われましたが。
前作を読んでいなくとも、差支えはありません。
ほとんど出てこないので…
届けも出さずに勝手に休暇を取った後に、何事もなかったように復帰しているという。
ペナルティとして雑務を押し付けられているが、淡々とこなしている。怒りも見せない様子にやや不自然さを感じるライカーら同僚たちではありましたが。
いやそれは前作の出会いの後、しばらく心通わせながら共に過ごして、気持ちが落ち着いたから戻ったのでしょう?
広大なセントラルパ―クにある森で、高い木に吊り下げた袋が三つ発見される。中には遺体が…
奇怪な事件の目撃者は幼い少女だけ。ウィリアムズ症候群の少女から証言を引き出そうとする冷徹なマロリーに、心優しいチャールズはあわてる。
だが少女の方はマロリーにすぐ懐く。切ないほどに…
被害者に共通点はなく、捜査は難航する。
どう転ぶかわからない、思わぬ背後関係と、いたましい過去と現在の交錯。
相変わらずスタイリッシュな文体、いつにもましてダイナミックな構成、パワフルなマロリー。
十分に常人離れはしていて、周りが怖れたり心配したりするのも無理からぬマロリーですが、マロリーなりの感情もあり善悪の基準もある。
それを感じ取るのも一瞬なのですが、ほろりとさせられます。
前作での発見で別人のようになったりはしないけれど、やはり微妙に心の奥で変わったところもあるのでは、と。
シリーズ中でも傑作と思います☆
[追記:
マロリーがどういう人物か?興味を持たれた方は、「天使の帰郷」を読まれるのがいいと思います。
「ルート66」はその後におススメ。]
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マロリーシリーズ10作目。最新邦訳本に追いついたー
氷の天使が妖精になつかれるの巻
まだ未翻訳があると知って嬉しい!
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「キャシー・マロリー」シリーズ。
悪徳警官の賄賂とか証拠隠滅とか、極端な例として殺人とかは、
刑事ミステリーにはある意味欠かせないパーツだが、
腹黒上官、それもトップに上り詰めようとしている元警官が直接手を汚したというのは、
なんだかしっくりこなかった。
いくら金と権力を併せ持つ存在の後押しがあるという設定としても。
現在の殺人事件、マロリーの処遇、過去の殺人事件、
遺伝的特徴を持つ目撃者である少女とマロリー、
といろいろな話が盛り込まれていたが、この順で興味が引かれたので、
正直現在の殺人事件のことは途中でどうでもよくなっていた。
とはいえ、シリーズの中では面白かった。
きっちりしっかり読み込むタイプの人には余計なお世話だが、
そうでない人は一度読み終わった後に、
日記の部分だけ読み直した方が良い。
そこだけでも、素晴らしい作品だ。
悲しい物語だが。
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ウィリアムズ症候群という病気を本書で初めて知った。
今回、マロリーは、浮浪児時代、庇護者役だった娼婦(名前忘れた)的な立場に立たされることになる。
過去作に出て来た元児童娼婦(エドワード スロープが引き取った)、父親(前作「ルート 66」)、大叔母さん(過去作「天使の帰郷」)のエピソードのように、ココも今回限りの存在っぽく(少なくとも数話は塩漬け)、個人的には今後が気になる。
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マロリーシリーズ。
前作で、がっつり職場放棄をやらかしたマロリーは署内で微妙な位置にいるのだけど、まぁ、そんな風に思っているのは周りだけで、本人はまったく気にしてないというか、いつも通りで毎度ながら強い。
唯一繊細なキャラ、チャールズは右往左往してるんだけどね。
それに対して、もう完全に開き直ったって感じなっているライカーがへんにいけてる。素敵オジサマになってるよww
森の中で袋に入れられて木につるされていた3人。
唯一の目撃者は、ウィリアムズ症候群の少女だった。
子供だろうが、まったく躊躇しないマロリーなので繊細なチャールズと対立するのだが、当の少女はマロリーにめっちゃ懐いてしまう。一番守ってくれる人をチョイスするのは、子供の生きるための本能なんでしょうかね。
被害者3人に共通点はなく、捜査は難航する。
話は、陰謀とか過去とか、どんどん拡大していくのだけど、最終的には子供のところに集結する。
大人は、子供がよりよく生きるために力を尽くす義務や責任がある。
それぞれ立場や価値観や方法が違っていてもだ。
それを間違ってしまった人と、揺るがない人の話だったように思う。
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物騒なタイトルで気が引けるが、警察ものやハードボイルドはこうなる。
舞台はニューヨークはセントラルパーク。
その公園の森の中で事件が起こる。宙吊り人間袋詰めが三つ発見される(うわ!)
おまけに幼女誘拐も加わって・・・。
セントラルパークはもちろん新宿御苑より広いんでしょうね。
森がやたらと広く、木々がうっそうとしている描写があり、
いかにもおぞましいことが起こりそうな・・・
さすがにニューヨーク!って、知らないんだけど。
そこに登場して活躍するのはキャシー・マロリー=ニューヨーク市警ソーホー署巡査部長。
知らんかったけれど、これシリーズもので10作目、4半世紀も続いているとか。
このヒロインの波乱にとんだ出自やとっぴな性格がシリーズが進むにしたがってだんだんわかる仕掛け。
こういう時、シリーズの最初の本から読みたくなるのがわたしだけど、解説にこのシリーズに限ってどこから読んでもいいとあったので、まいいか。
クリスティのような清張のような古典に親しんでいる者にとって、場面の展開の目まぐるしさ、仕掛けの複雑さに慣れるまでが、ちょっと読みづらいけどね。
魔術的文章に魅せられてっていうのとは(サラ・ウォ-ターズ『半身』がそうだけど)また違う。
猟奇的事件の陰に「いじめ」や「家庭崩壊」「組織」「賄賂」「政治家」・・・
など、どこにでもありそうなことをさらりと盛り込んで、読ませる。
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もうマロリーとチャールズの関係は修復不可能なのだろうか?良心と真実に忠実だった者が必ずしも報われる訳ではない辛さ。それでもマロリーの徹底した復讐はまるで仕事人。ココのために螢を集める姿とは対照的。さすが氷の天使。ここで描かれるNYは地獄。だからむしろマロリーは堕天使。
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劇画的なまでのけれん味たっぷりな誇張により、常に超越的な存在として彫刻のように描写されてきたこの世で最も美しく冷たい女刑事キャシー・マロリーのシリーズ最新作。と言っても10ヶ月前に邦訳された作品。さらに言えば原作は2011年にUSA出版済み。
創元推理文庫の翻訳作品が原作出版から10年単位の遅れというのは今に始まったことではないのだが、そういった長い長い時差を経てもなお良作と呼べる物語(もう完結してしまったがR.D.ウィングフィールドのフロスト・シリーズや、新ミステリの女王ミネット・ウォルターズの作品群等含め)をしっかりと日本人読者に届けてくれる地道な無骨さは、海外小説の老舗出版社としての信頼性に確実に繋がるものだろう。
さて、キャシー・マロリーだが、このシリーズ、実は作品毎に独立したカラーやアイディアを持っており、作品世界の振れ幅が並ではない。特に前作『ルート66』は、キャシー・マロリーの真実を知る上で『天使の帰郷』以来の重要な作品であった。
完璧に美しく冷静な女刑事マロリーは、シリーズ一作毎に新たに彫刻され、徐々にその本当の姿が露わになるように作られている。孤児であるところを刑事に拾われ育て上げられた元野生児にして泥棒少女、今では天才ハッカー、社会病質者、敏腕捜査官、氷の天使。前作でニューヨーク市警を3ヶ月無断で不在にしルート66を走り回って帰還したマロリーは、市警上層部の組織圧力を跳ね除け、セントラルパークの森に吊るされた三体の遺体の謎に迫る。
マロリーの同僚ライカーと、コンサルタントであり信奉者であるチャールズ・バトラーとの個性のトライアングルは、シリーズを通して健全。健全というのはつまり葛藤だらけだということ。
そして二人の印象的な子どもたち。染色体異常の病に侵されつつも言語的かつ音楽的早熟の才能を示すココ。存在を葬られた影となって15年前の現実を示すアーニー。
事件の裏には家族たちの恩讐、社会構造の歪みを示す財団の影、警察や法曹界を組み立てる官僚組織の中に確実に蔓延る腐敗、そして何よりも喜劇的までの人間のエゴと醜悪等々が見え隠れする。
マロリーの射るような冷たい眼差しから、奴らは決して逃れることはできない。複雑に絡み合った枝葉を通してストレートパンチのような小気味良さが最後に響き渡るシリーズのリズムは、本作でも実に健全である。
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アメリカの作家「キャロル・オコンネル」の長篇ミステリ作品『生贄の木(原題:The Chalk Girl)』を読みました。
『クリスマスに少女は還る』、『氷の天使』、『アマンダの影』、『天使の帰郷』、『陪審員に死を』、『ウィンター家の少女』に続き、「キャロル・オコンネル」の作品です。
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森の中で、袋に入れられ木から吊るされていた三人。
イカれたパーティー・ガール、狂気に冒された配給所の聖女、そして小児性愛者。
唯一の目撃者は、妖精のような顔立ちの、ウィリアムズ症候群の少女だった。
「マロリー」は、少女の繊細な心を思いやる「チャールズ」と対立しながらも、自分を慕う少女に犯人を思い出させようとする。
「マロリー」と少女の奇妙な絆を描く、好評シリーズ最新刊。
解説=「大矢博子」
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2012年(平成24年)に刊行された「キャシー・マロリー」シリーズの第10作… 第1作、第2作、第4作、第7作、第8作に続き、本シリーズを読むのは6冊目です。
セントラル・パークの草地で、その女の子は幼児たちの集団の中に現れた… くるくる渦巻く赤い髪、薄汚れてはいるがクリームみたいに白い肌、そのほほえみは桁外れに大きく、上を向いた鼻とふっくらした唇との間隔が思いきり離れている、、、
仕上げは先が鋭く尖った顎で、まるでエルフか小鬼(インプ)だ… 「ココ」と名乗るその少女を保護したのは、「マロリー」だった。
「ココ」が汚れきっているにもかかわらず、愛情を求めて駆けてくるその小さな両腕の抱擁に耐え、ほほえみかけさえした… 「ココ」は一緒に暮らしていた「レッドおじさん」が消えてしまったので、セントラル・パークに広がる森《ランブル》で探していたらしい、、、
その後《ランブル》の森の中で、袋に入れられて木から吊されていた三人の人間が発見された… 小児性愛者「ハンフリー・ブレッドソー(レッドおじさん)」、イカれたパーティーガール「ウィルヘミーナ(ウィリー)・ファロン」、そして脳に病巣をもち狂気に冒された配給所の聖女「アガサ(アギー)・サットン」。
一人は手遅れ、一人は助かり、そして一人は瀕死の状態だった… 死んだ男は、「ココ」の「レッドおじさん」だった、、、
「ココ」は犯罪目的で誘拐されていたのか? だとすれば、犯人の手がかりをもっているかもしれない… 「ココ」の繊細な心を思いやる「チャールズ」と対立しつつも、「マロリー」は「ココ」に犯人を思い出させ、証言をさせようとする。
捜査を進めるうちに、15年前に《ランブル》の森の中で少年が木から吊るされ、1か月後に死亡した事件があったことや、死亡した少年と犯人とされた少年、今回木から吊るされていた三人が同じ学校の生徒だったことが判明… 15年前の事件の捜査に疑問を感じた「マロリー」と相棒の「ライカー」は、警察上層部の捜査方針に抵抗しながら、真相に近付いていく、、、
法で裁けない悪人への措置(私刑)や弱者を労わる対応等、事件の収束方法に「マロリー」らしさを感じる作品でした… 各章の始まりに数行記載されている「��ーネスト(アーニー)・ナドラー」短い独白が切なくて印象深い作品でした。
でもね、相変わらず長い… もう少しコンパクトにできればと思うのと、相変わらず、物語の全体像が掴み難い展開・文体なんですよねー ちょっと疲れました、、、
そして、もう少し「マロリー」が感情移入しやすいキャラだと親しみが持てるシリーズになると思うんですけどね… これで、本シリーズのストックを読み切りました。
以下、主な登場人物です。
「キャシー・マロリー」
ニューヨーク市警ソーホー署巡査部長
「ルイ・マーコヴィッツ」
マロリーの里親。故人
「ヘレン・マーコヴィッツ」
ルイの妻。故人
「ライカー」
ソーホー署巡査部長。マロリーの相棒
「チャールズ・バトラー」
マロリーの友人。コンサルタント
「ミセス・オルテガ」
チャールズの掃除婦
「ジャック・コフィー」
ソーホー署警部補
「ジェイノス」
ソーホー署刑事
「ヘラー」
ソーホー署鑑識課長
「ジョン・ポラード」
ソーホー署監視起因
「エドワード・スロープ」
ルイ・マーコヴィッツの旧友。検視局長
「ロビン・ダフィー」
ルイ・マーコヴィッツの旧友。元弁護士
「デイヴィッド・カプラン」
ルイ・マーコヴィッツの旧友。ラビ
「ローランド・マン(ロケットマン)」
市警長官代行
「アニー」
ローランドの妻
「ジョー・ゴダード」
刑事局長
「セドリック・カーライル」
地方検事補
「アンソニー・クイーン」
弁護士
「ココ」
公園で見つかった少女
「ウィルヘミーナ(ウィリー)・ファロン」
パーティー・ガール
「アガサ(アギー)・サットン」
宗教団体の無料食堂で働いていた女
「グレイス・ドリスコル-ブレッドソー」
ドリスコル協会の理事長
「ハンフリー・ブレッドソー(レッドおじさん)」
グレイスの息子
「フィービ」
グレイスの娘
「トビー・ワイルダー」
フィービの元上級生
「アーネスト(アーニー)・ナドラー」
フィービの親友