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- カテゴリ:一般
- 発売日:2017/10/26
- 出版社: 白水社
- サイズ:20cm/311,72p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-560-09584-3
- 国内送料無料
紙の本
ガレノス 西洋医学を支配したローマ帝国の医師
【プローズ賞古典古代史部門佳作(2013年)】ローマ帝国で歴代の皇帝から庶民までの治療を手がけ、ヨーロッパとイスラーム世界において約1500年にわたり医学の最高権威であり...
ガレノス 西洋医学を支配したローマ帝国の医師
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商品説明
【プローズ賞古典古代史部門佳作(2013年)】ローマ帝国で歴代の皇帝から庶民までの治療を手がけ、ヨーロッパとイスラーム世界において約1500年にわたり医学の最高権威であり続けたガレノス。その人物と生涯を追いながら、当時のローマ世界の医療や衛生状態を解説。【「TRC MARC」の商品解説】
「医学の第一人者」初の評伝
当時、解剖は上流社会の男性の知的な娯楽であった――。
ガレノスは2世紀のローマ帝国に生きたギリシア人で、文化面ではキケロと並ぶ、ローマ史上屈指の大物である。存命中はマルクス・アウレリウスをはじめとする歴代の皇帝の治療や薬の調合を担当しつつ、市井で貴族から庶民までの治療にあたり、死後もその著作はヨーロッパとイスラーム世界において、なんと約1500年にわたり医学の最高権威であり続けた。解剖学・生理学・衛生学・診断法、その他医学の全分野にわたるその著作(一部散逸)は、古代医学の集大成と評価され、現存する古典ギリシア語全著作の約8分の1にあたる。
著作から浮かび上がる、強い知的好奇心、自己鍛錬、並外れた観察力と人間そのものに対する深い理解。そしてローマという激しい競争社会を勝ち抜いた、容赦ない攻撃性と野心。本書は最新の研究を生かしてガレノスの人物と生涯を追いながら、その著作にふれつつ、当時のローマ世界の医療や衛生状態を解説し、さらに驚くべき解剖や外科手術の実例を紹介する。【商品解説】
庶民・剣闘士の治療から歴代皇帝の侍医としてまで名声を得たガレノス。その複雑な人柄とローマ帝国の医療衛生現場を生き生きと描く。【本の内容】
著者紹介
スーザン・P.マターン
- 略歴
- 〈スーザン・P.マターン〉ジョージア大学歴史学教授。専門は古代ギリシア、ローマ、エジプトおよび当時の病気・医療・法律など。
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ローマ帝国の医師
2024/03/17 20:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
ローマ帝国関係の歴史書のみならず、中世から近代にかけて医学関係の話でよく名前が出るのがこのガレノスだ。
ペルガモン出身でマルクス・アウレリウスとその息子コモンドゥスの医師となったこともあり、その後1500年もの間医学界に名を遺した人物です。
序章で出てくる痛風の患者に腐ったチーズと酢漬けの豚足を混ぜ込んだ膏薬を塗るという治療法ですが、これがうまくいって皮膚に裂けめを作り結石がにじみ出てきたそうです。
レタスの汁で潰瘍を洗ったり、木の実と蜂蜜でうがいをしたりと水から様々な治療法を考案していたことがよくわかる。
標準的治療法なんてものがない時代、医者の数だけ治療法も存在し、弟子に受け継がれていったのだろう。
瀉血が中世に行われまくったのがガレノス起因だというのはよくわかった。
脈を診ることで熱の発作がいつ起こるかや、患者が嘘をついていたり恋をして精神を乱しているのまで察知できたというエピソードも語られる。
ガレノスはペルガモンの貴族層でローマ市民権も持っており、父から相続した土地財産で働かなくても暮らしていける身分だった。
なので医学に携わるのも金儲けのためではなく、知的好奇心の追求と名声を求めてのものだったようだ。
ペルガモンで少年の頃から哲学や医学を学び、スミュルナの医師ペロプスのもとで学びアレキサンドリアに遊学し、三十歳過ぎにローマへとやってくる。
当時の医学は激しく競い合う学問でもあったようで、公衆の前で手術や動物の解剖を行ったり見世物じみたところもあったようだ。
ローマでは元老院議員の治療に成功したことから有名になり、ローマの上流階級の人々はたしなみとして医学も学んでいたことでその一員となっていく。
マルクス・アウレリウスが服用していた解毒剤テリアカの調合もしていたようで、この薬には毒蛇の身の他にシナモンやアヘンが含まれていたそうです。
下痢や不眠に効果があるというのはよくわかるが、ヘビ毒への解毒剤になるのかどうかは不明だし試してみたくはない。
おそらくは天然痘と思われるローマ帝国を襲った疫病の時は患者の治療に科学者の目で挑む。
ガレノスが天然痘にかからなかったのは、それまでに解剖のために牛やサルを使っていたため牛痘のような軽症の感染症にかかっていたからではないかという著者の考察が興味深い。
ローマの大火では著作や貴重な薬、診療のための道具がすべて燃えてしまうという災難にあうが、それでも失われたものを取り戻すかのように多数の著作を書き残している。
医師という仕事に人生を捧げたガレノスの生涯を追った本だった。