左近 上

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石田三成の過ぎたるものとして有名な島左近清興について書いた本です。

この本は、著者急逝のため、未完となった作品で、時代的には、松永久秀が大和国に攻め入るところから、豊臣秀吉が死去し、豊臣秀頼が大阪城へ入城するところまでが書かれています。

本来、島左近の活躍の場は関ヶ原の戦いと思いますが、この本では島左近の生き方が中心となっていますので、関ヶ原の戦いに言及しなくても、十分すぎるほど島左近の生き様が分かりました。

↓ ブログも書いています。
http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-0cad.html

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左近（上・下）　火坂雅志著 弱肉強食の世と戦った快男児
2015/11/15付日本経済新聞　朝刊

　火坂雅志は、今年の２月26日に惜しまれつつ亡くなった。







　著者の遺作としては、日本経済新聞に連載された『天下　家康伝』が刊行されている。石田三成に仕えた猛将・島左近を主人公にした本書も、雑誌に７年間連載されたが著者の急逝で未完に終わった遺作である。ただ左近が縦横に活躍し、テーマも十分に示されているので、作品の魅力は損なわれていない。


　かつては、豊臣秀吉の威を借りた小才子にすぎないとされていた三成も、近年は、豊臣家のために私利私欲なく働いたとして評価が進み、ファンも増えている。それにともない、三成が信頼を寄せた左近や大谷吉継も注目を集めるようになった。


　ブームになる前から左近に着目した先見性は、リーマン・ショック以前に、拝金主義を批判する『天地人』を発表し、改革派知事が国政に影響を与えるより早く、地方から中央を動かした武将を描いた『真田三代』を書いた著者の面目躍如といえる。


　剛直さと胆力を認められ、大和国を治める筒井家の侍大将になった左近は、幼き当主・藤勝丸（後の順慶）を支えていた。


　だが大和国は、謀略を得意とし、利益で人を操ることで主家の三好家を凌（しの）ぐ権力を手にした松永久秀、次いで久秀よりも苛烈な織田信長に蹂躙（じゅうりん）される。


　左近は、久秀が家臣にしたいと誘うほど武勇と知略に優れているが、義に厚く情を重んじる侠気（おとこぎ）ゆえに、筒井家に忠義を尽くし甘言に乗ることはない。


　力がすべてで、敗者は転落するしかなかった戦国時代は、成果主義が導入された現代と似ている。そのため、弱肉強食の乱世のルールに背を向け、弱者を平然と踏みにじる久秀や信長と戦う道を選び、したたかな戦略で互角に渡り合った左近の快男児ぶりが痛快に思えるだろう。


　左近は、世の中には金や名誉よりも尊い価値観があると信じている。だが左近の想（おも）いとは裏腹に、乱世は勝者と敗者の格差を広げていた。成長するに従って、自分の信念を使って社会を改革したいと考え始めた左近の前に現れたのが、自分が儲（もう）けるだけでなく、顧客を満足させ、世のためになる商売をするという近江商人の教えを叩（たた）き込まれてきた三成だったのである。


　左近は、民が飢えない国を作るという三成の理想に共鳴し、困難な戦いに打って出る。著者は、目的のためなら倫理など無視しても構わないという風潮が広がる現代に警鐘を鳴らし続けていた。それだけに、社会の矛盾を正そうとした左近に託した著者の最後のメッセージを、真摯に受け止める必要がある。




（ＰＨＰ研究所・各1700円）


　ひさか・まさし　56年新潟県生まれ。作家。著書に『天地人』（中山義秀文学賞）など。




《評》文芸評論家


末國　善己

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石田三成に過ぎたるものとして有名な島左近ではあるが、それ以前に話は結構、分かっていなかったので、筒井順慶だったのかというのが結構、新鮮であった。

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戦国時代の参謀に焦点を当てた作品が多い火坂雅志。忠義に厚い島左近の生き様が下巻で展開されるであろう石田三成の家臣になってどう変わっていくのかが楽しみ。

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石田光成の家臣として有名な島左近が主人公の伝奇小説。
筒井順慶の家臣だったのね。しかし前半生は結構謎らしい。つまり小説家の腕の見せ所な訳だ。
三好長慶や松永久秀側から描かれる事の多い大和の争乱を筒井側から描いているのが目新しい。
上巻は織田信長が上洛して畿内の勢力図が大きく塗り替わるまで。
下巻でいよいよ島左近も天下の争乱に巻き込まれていく。下巻に期待！

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島左近、名前はよく耳にしていましたが、実際にどういう武将か正直知りませんでした…
筒井順慶に仕える忠義はすごく、対して松永久秀の残酷ぶりが強く展開されている、戦国の乱世を楽しく読み進めらる一冊。下巻が楽しみです！

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火坂雅志さん、遺作。
最後の作品らしく、天下の主役ではないが、その名を持って知られる島左近を題材に乱世を描いており新鮮な本。
下巻も楽しみです。

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左近の実直さに好感を持ちあっという間に読み終える。筒井順慶の老中時代に大和国を松永徐弾正、柳生宗矩との戦い、織田信長との絡みが戦国時代初期の時代を学べた。

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安定のサクサク読めてスカッとする伊坂節。サクッと通勤時間3日分で読了し、下巻にサクッと取り掛かるべし。

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島左近が筒井順慶に対し忠義を貫き、龍の如く強く生き抜いていく。上巻では、松永久秀を打倒し、織田信長が明智光秀にやらせてしまう前夜まで。