紙の本
成熟した死への意識
2023/10/12 12:35
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホラティウスの詩句Carpe diem quam minimum credula posteroからタイトルをとったらしい。著者の母の死を軸に、満足のいく老齢の在り方と死との向き合い方を模索して記したもの。人間は、身近な人が自分の思い通りのままでいてくれないと、不快や戸惑いを覚える生き物。病気や老いに伴う変化を素直に受け入れるべきなのであろう。授かった寿命を精一杯生きる人は、老いも堂々としたものになり、死への意識も成熟したものになる。成熟した死を迎えた人は、周りの人もそこに残された力とエネルギー受領する。
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●なぜ気になったか
日本を客観的にみることができるヤマザキマリさんの考えには一目置いている。僕より5歳若いマリさんの「老いと死」への考え、私考を深めるために読みたい
●読了感想
「いつまで生きるんだろう」「ボケてまで長生きしたくない」に対する答えを見つけることができた。心に響く内容はいつもよりは少な目だったけど、探していた答えに出会えて満足
#CARPE DIEM 今この瞬間を生きて
#ヤマザキマリ
23/8/5出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
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内容はともかく文体が‥
逆接でもないのに「‥‥ですが、‥‥」という文章があまりにも多すぎて、読みにくいことこの上ない。「てにをは」や係り結びが変だったり。作者の、というより編集者の失敗だよなぁ、と思う。
示唆に富む部分もあるだけに、残念。
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人は誰でも必ず老い、死に至る。平凡な人生なんて一つもない。だから誰の人生でも、数奇な人生なのである。
著者のマンガ作品は読んでいるが、エッセイを読むのは初めて。
これだけ特徴的な人生を送っている著者ならではの死生観が表れている。
人は人生の経験が深みとなって、言葉に重みを加えていくのだと改めて感じた。
著者の若い頃の体験も記載があったが、なかなか普通の人生ではない。
今となればマンガで成功した大先生と言えるが、経歴からすれば遅咲き。
決して若いとは言えない年齢での成功だった。
つまり、この成功を掴むまでは、相当な苦労をしたのだと思う。
こういう人生を送っていること、そのものを運命と言ってしまってよいものか。
基本的にお母様の死について記した本書であるが、まさにこの母にしてこの子あり。
子は、親の影響からは逃れられないものだと改めて思う。
お母様の子育ての影響が、著者の人生を形作っているのは間違いない。
全員が全員そうではないかもしれないが、お母様の著者への愛、そして著者のお母様への愛が溢れていて、読んでいてすごく心地が良かった。
「この親の子どもに生まれてよかった」
そう思える人生を送りたいし、自分の子どもにも少なからずそんな風に思ってもらえると幸せだろうと思う。
人は必ず老いて、そしていつか死ぬ。
人間とはそういうものなのだから、拒絶感を持つことは間違っている。
若者は老人を敬えばいいし、老人も節度を持って、人生を送ればいい。
なぜ日本人は老人を老害として扱うのかという記述があった。
これは単純に日本では老人の人口が増え過ぎているという問題もある。
誰だって好き好んで他人に迷惑をかけたい訳じゃない。
しかしながら、人は一人では生きていけないのが本来なのだ。
野生動物には老いがないのに、人間にはある。
野生動物は、死期を悟ると群れから離れ、一人静かに死ぬという。
人間と言うのは、そういう意味では、動物の中でも特に不便な生き物であると言える。
だからこそ、自分も50代になって感じるのだが、「善く生きる」という意識が大切なのだろうと思うのだ。
日々を一生懸命生きればいい。
楽しく、朗らかに。
そして、清く、正しく、美しくか。
「夕焼けは雲があるほど美しい」
夕焼け空を見ただけで、感動したり、生きていることを実感したり、そういう人生を送れれば良いのだと思う。
何歳になっても、今この瞬間を一生懸命に生きることが大切なのだ。
(2023/8/12土)
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ヤマザキマリさんのエッセイ。漫画「テルマエ・ロマエ」の作者。
「老い」と「死」について。死生観。
「老害」という言葉が示すように、歳をとることが悪であるかのように捉える日本人に、一石を投じる。
一石といっても、綿雪のような包み込む柔らかさで…
ヤマザキマリさんの人生をこの本ですこし知れたが、一般的な日本人とはかけ離れている。
シングルマザーの母はヴィオラ奏者。なにより音楽が最優先、エネルギッシュな人。子供時代のマリさん姉妹は知人や教会に預けられたりしていた。母とは親子の愛情はあるがつかず離れずの関係。
そして彼女は画家をめざしイタリア留学、現地で結婚し暮らして10数年。そのほか海外での暮らしも多く経験している。
イタリアでは親、祖父母、子どもという3世帯での同居は一般的。なので、祖父母の物忘れや好き勝手な言動も、お年寄りはそういうもんという諦観があるそう。
彼女は昆虫や動物が好きで、それらは生存競争に残ることはあっても、老いに争うことはしないという。
ただ生まれ、食べ、子孫を残し、死ぬ。
そのままを受け入れ、次の生へ繋ぐ。
日本人のもつ、死を「穢れ」とする感覚は彼女の中にはないという。
死は当たり前にやってきて、当たり前に受け入れる。
歳をとればできないことが多くなり忘れることが増えていく、それも受け入れて死ぬまで生きていく。
この本の最初一文にあるように、
「あたかもよくすごした1日が安らかな眠りを与えるように、
よく用いられた一生は、安らかな死を与える」
と、レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉を引用している。
人生を自分で納得して生きてきた人には、死の時を迎えることができる、そんな意味にとれた。それをマリさんの母ショウコさんが実践されたのを見てきたからだろう。
穏やかに語られる話に心が動かされもするが、そんな簡単に人は変われない。
死は怖いし、老いも恐ろしい。
それでももう少し素直に受け止める心の余裕をもっていきたい、そう思えた。
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ヤマザキマリさんのエッセイ。
とても読みやすいものでした。
ヤマザキマリさんと言えば、テルマエロマエの作者で
少し前までは漫画家さんだと思っていましたが、歴史を取り上げたテレビ番組でお見かけして
こんなに知性があってこんなにしっかり話される聡明な女性なんだと驚きました。
この本でその聡明さの理由がとても良くわかりました。
この本の内容はヤマザキマリさんの生い立ちから現在までにも触れつつ、ビオラ奏者のお母様の旅立ちを通してその死生観や生きる事生活する事を綴っています。
この本を読んで今まで以上に、ヤマザキマリさんに好感を持ちましたし、またこうして絵以外のものも世に出してお考え拝聴したいなと思いました。
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皆ひとそれぞれ生き方がある。この本からは、私の共感を得るものは、残念ながらありませんでした。題名からうけた私のイメージが異なりました。
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ヤマザキマリの生き方、価値観が少しわかったような〜〜
人としての命を出し惜しみなく懸命に生きてきた人の死は、残された人を前向きにする。それが理想の、命の締めくくり方と言える。
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ヤマザキマリさんの家族の話を混じえた老いることや死についてなど、わかりやすい内容でした。
老いを感じ始めた40代の私ですが、
老いていいんだ、と思えてこれからの人生を受け入れることができそうだなと、本当に読んでよかったです。
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「老い」や「死」について考えさせられる。
ヤマザキさんのようにはできないと思うけど。
「あたかもよくすごした1日が安らかな眠りを与えるように、よく用いられた一生は安らかな死を与える」
そもそもよくすごした1日というものがあまりないのでそこからか。
良き人生を。
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読んでいて穏やかな気持ちになった。
マリさんも母リョウコさんも、エネルギーに溢れた生き方をされているのに、それを読むと明日への活力をもらえるというより、老化も死も避けられないものなのだから、抗わずにそのまま生きてよいのだと安心感をもらえる。
自分の存在価値など求めずに、ただ生を全うするだけでよいと言ってもらえ、肩の力が少し抜ける。とは言え、家の外に出るとまた力が入ってしまうのだろうけど。
小学生の頃、母や妹相手に、身近な親戚のお葬式を振り返ったり、死について話すと縁起でもないと嫌がられたことを思い出した。
人間はいつかは死ぬもの、どうやって死ぬかはどのように生きるかと同義だと思っていたし、どう弔ってほしいか考えるのは自然なことだと考えていたけど、日本は(わが実家は)避ける傾向にあるのかな。
読後は、死について語ることはタブーでも不謹慎でもなく、人生観を語ることと同じだとストンと落ちた。
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手に取り、読み進み...
「なんか理屈っぽいなぁ〜」なんて思いながら読み進んでいました。
老後対策どうしようと思って読んでいるのに...
まっ最後まで読んで見るか...って感じで読み進みました。
賢く理論的な展開で進みます。本人の実体験から構成されています。
「年老いること」を前向きに捉え、今まで読んだ「老後の・・・」etcとは全く別物のように感じました。
メメント・モリ(死を思え)&カルペ・ディエム(今この瞬間を生きて)
この二つの意味がとても善く理解できた。
(彼女の周りのエピソードから)
自分を肯定して老人力を身につけ逞しく生きるぞ!みたいな気持ちになります。
いい本でした。
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死や老いは未知だ。そして怖い。元気だった両親も、出来ないことが増えていて、どうにかしたいと思っていた。出来ないことを指摘しそうになっていたけど、この本を読んで良かった。
死に際にジタバタしたくないと、本気で思うくらい怖いのならば、出来ることがこの本に書かれていることを実践するのみだ。
それが、日々の目安になった。
善く生きる それに尽きる。
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自分に与えられた能力をフルに使いながら生きる野生動物に惹かれるところに共感。老いに抗わずい生きたいと思った。
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読んで、おだやかな気分になれる本だった。死とか老いとか、わりとネガティブに遠ざけたくなることがらについて、たんたんと受け入れるというかなぁ。正直、最初のうちはなんとなく読みづらかったんだよ。なにか、読み進めるのに抵抗があるというか。ひっかかる気分について、自分のなかでためつすがめつしてみると、内容に対して表現が直球で向かってくる気がして、鼻白んでいたのだろう。読みながら、もう少し迂回した言い回しって、できないものか、なんて自分の中で思った後で、あぁ俺はこういう話はもっと遠回しに行ってほしい、って思っていたことに気づいたんだね。でも、内容自体がべつに迫ってくるような激しさがあったわけじゃない。むしろ穏やかな筆致ではあったのだ。だから、内容なんだね。
読み進めていくうちに、老いや死に限らず、自分の身の回りの変化や、仕事や趣味でうまくいかないこと、思い通りにならないことについても、同じような姿勢で向かえばいいんじゃないかな、なんて元気な気分になった。