紙の本
地震の予知や予測は困難である
2023/11/07 10:57
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
南海トラフ地震の発生確率は今後30年以内に70~80%という数字は、南海トラフ沿いの地域で防災を進める上で、枕詞となっている。島崎氏による時間予測モデルが、地震予測の手段になっているが、原典をたどり検証すれば、基となるデータはあやふやであった。さらに2003年には、周期説による地震予測は「統計学的に優位でない」と結論付けた論文が発表されている。地震学が純粋科学としてではなく、地震防災という国策のための科学、まさに御用科学の道を進んでいるかのようだ。防災対策は待ったなしで、重要なことであるが、30年確率に依存する対策であってはならないと思う。
紙の本
南海トラフ
2024/05/24 14:24
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投稿者:マッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
南海トラフの発生確率のカラクリが分かり、為になった。いまだに真実が流布していないのが残念。
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著者の取材スタンスや書きぶりは公正で、なおかつ読んでいてわかりやすく面白い。科学と政治と報道の関係を考える上での基本図書にもなり得ると思う。
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南海トラフ地震発生確率が他に比べて高いことに疑問を持ち、その原因を追求した結果、ダブルスタンダードで算出された数値であり、その理由も突き止めた著者渾身の調査がまとめられています。衝撃の事実がわかりますが、地震は、いつおこるかわからないことを念頭に日々の準備を怠らないことが大事ですねー、
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結果的には良くない効果をもたらした時間予測モデルの使用だけど、当時使おうとした安藤氏や島崎氏の考えも分かる。防災対策のために人々に情報を与えるというだけの簡単に聞こえることでも地震学者とか行政とか色んな立場の意見が入るためにこんなに難しくなるんだということが新しい発見だった!視点を少し変えて評価するだけで全く違う印象を与えるような現代の地震予測は人々に適切な対策をさせるためのものなのに、これでは混乱させるばかりで本当はまだ中途半端なんだなと思った。まだまだ地震を予測して被害を減らすとかってのは難しいんだな〜
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他の本で紹介されていた室津のデータを見た時に、貴重なデータだと感動して、周囲の人にも教えた。ところが、この本を読んで、室津のデータは地震発生確率の計算に使えるものではなかったことがわかった。南海トラフ地震の発生確率がいかにいい加減なものだったかがわかって、呆れた。
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南海トラフ地震は30年以内に7~80%の確率で起こると言われ続け、世間はそのように信じていたが、実はその確率の算定は不確定な論文を根拠にしていたことがわかる。
中日新聞・東京新聞の記者が疑問を持ち、その時の学者を丹念に取材し、元となる論文が一本の古文書を元にしていることを突き止めていく。その古文書も計測方法を明確に記したわけでもなく、甚だあいまいなものであった。もちろん、古文書の作者は、南海トラフの根拠となることを想定して書いたわけではないので、まったく罪はない。
数多くのデータを集め、その分析から求めていくのが科学であるはずなのに、推論に合った事例一件を元に確率を出していたとは驚かざるを得ない。確立を発表した当時の学者は、現在では口を閉ざしたり、反省の弁を述べるなどしているが、いったん発表された確率は、すでに独り歩きしている。
いつかは起きる地震ではあるため防災の観点から備えることは大事であるが、逆に確立の低い所は防災の準備がされていない事が問題である。熊本地震、東日本大震災など、確率は低いとされていた。
地震予知は不可能であるという事が明らかになった今、確立というあいまいな数字は慎重に受け取るべきと思う本であった。
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ちょっと驚いた。南海トラフ巨大地震30年以内70〜80%が大嘘と言っていいほどいい加減な数字だとは。
結局は政治が科学に信を置かないばかりか利用するだけだということ、その裏で大きな利権を生み出すということ。地震ムラって原発ムラと同じだし、コロナ対策でも科学は軽視され放題だし、いったいどないなっとんじゃとどなりたい気分。
科学者研究者なのるやつ、襟を正せ。政治家えー加減にせーよ。
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2023年12月末に読んだのだが、読み終わってすぐの2024年元旦に、本書の指摘通り、地震発生確率が相対的に低くされて若干安心していた地域で大地震が発生してしまったのでそのタイミングに驚いた。
本書は、毎日新聞記者による「南海トラフ地が30年以内に80%の確率で発生」という予測数字の真実に迫るドキュメンタリー。この数字が科学的にはかなりいい加減であり、かつ政治的に決定されているのか、と言うのが明らかになります。いったん発表した高い確率を、その後の研究でそんなに大きくないと分かっても、下げて発表はできない、というのも大人として分からないでもない。中堅の研究者なら驚くよりも「ありそうなこと」と思えてしまう。
本書の検証は、発生確率の数字の元になっている数字を、古文書なども調査して重箱の隅をつつくように検証している。正直、個人的には地震発生確率なんて信じられるような数字だと思ってないし、その検証は細かいことだと感じた。地震には事前に備えるしかない。しかし、その備えの基本となる国の政策に大きく影響を及ぼすものだ。
本書の指摘で重要なことは、「南海トラフ地震」ばかり強調することで防災予算は太平洋側に集中し、他の地域は相対的に安全なような錯覚を与えてしまうこと、それが被害を大きくしてしまう怖れがある、というものだと思う。東海地方や太平洋側の大地震の恐怖が叫ばれて約50年間、実際に日本で起きた大地震は、神戸やら北海道、新潟、東北、熊本、そして能登などそれ以外の地域ばかり。回の能登大地震でも、残念ながら本書の指摘がまさに的中してしまった。
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2024年1冊目
日本のどこかで地震が起きるたびに「次は南海トラフ」、そう言われ続けてきたが、そもそもの前提として30年確率が言わば水増し状態にあったことを明かした本書。中日・東京新聞の記者が、本職の片手間で取材し尽くした。古文書も読むし、地震学にも触れるし、科学ジャーナリストというのは大変な仕事だなあと、、災害報道を専門にするには途方もない勉強が必要だと感じた。
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中日新聞に連載されていた頃から興味津々だったこの話、今回本になったことでその内容がさらに明らかになった。南海トラフ地震の発生確率が非科学的なものだったなんて本当に驚き。科学的根拠が示せないならパーセンテージで煽るのも止めてほしい。
日本は何処で地震が起きてもおかしくない国なのだから、地震対策は国内でまんべんなく行うべきだと強く思った。予算の配分とか、いろいろ問題はあるけれど…
でもこの記者さんすごい。よくここまで突き詰めたと思う。これが本物のジャーナリストとなんだな、尊敬しかない。
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仕事柄、南海トラフ地震の発生確率70〜80%という数字は、当たり前のように使っていたが、改めて数字の持つ重要性に気付かされた。政府の思惑のまま、この数字が使われていたと思うと、自らも政府の犬として、飼われていたと感じ、すごく腹立たしくなった。これからは慎重に使うべきだと感じた。
本作者は現地まで足を運び、相当な苦労をかけ、情報を積み上げ、この本を書き上げた。なぜ、政府の役人たちは、目の前の利益、立場とかしか考えず、国民の思いが見えないのか。ジャーナリストの偉大さと、役人の愚かさを思い知った。
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政治家の老害たちが自身の既得権益の為に地震・防災を利用していると感じる。
正しい情報を発信している研究者さんの声を聞きたいし聞く権利はあるのに政府はどうして教えてくれないのか。
地震発生確率のハザードマップにおいては、能登では過去にも大きな地震が起きているし、近年も群発地震が発生していた。
それなのに、発生確率が低い地域として設定されていた。北陸には原子力発電所があり福井県は日本での原発の設置が1番多い県だ。
日本政府の闇を感じずにはいられない。
筆者の方は新聞記者なだけあって、丁寧な取材と調査をされている。
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やや、大げさなところもあるが、地震の想定が不必要に重視されていたことがよく分かった。
能登の地震でも地震が少ないと企業を誘致していた実態もあり、そろそろきちんと科学的に見直すべきだと思う。
予算の話は観測網を整理するためだと思えば出すべきだと思う。
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誰が悪いとし話を小さくせず構造的な視点や現状に問題がある様に読めるのは良かったと思う。
地震大国日本ではどこが安全という事はなくせいぜい沿岸部や低地などで津波の被害が大きいかどうかだろう。
むしろ、では防災の適切な予算は?
というとかなり難しい問題になる。
完璧は難しい中でベターにどれだけのお金をかけるのか? という感じ。