「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
- カテゴリ:一般
- 取扱開始日:2013/08/09
- 出版社: 東洋書林
- サイズ:21cm/328p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-88721-814-7
- 国内送料無料
紙の本
おっぱいの科学
著者 フローレンス・ウィリアムズ (著),梶山 あゆみ (訳)
進化、環境衛生、遺伝子、授乳、がん、豊胸…。現代アメリカに生きる女性が自らを実験台にしたレポートも織り交ぜながら、文明批評的に乳房の仕組みの自然・不自然を科学する、ちょっ...
おっぱいの科学
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
進化、環境衛生、遺伝子、授乳、がん、豊胸…。現代アメリカに生きる女性が自らを実験台にしたレポートも織り交ぜながら、文明批評的に乳房の仕組みの自然・不自然を科学する、ちょっと気になる「まじめな話」。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
フローレンス・ウィリアムズ
- 略歴
- 〈フローレンス・ウィリアムズ〉作家、ジャーナリスト。コロラド大学で教鞭をとり、『アウトサイド・マガジン』の編集に携わる傍ら『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』などに環境、健康、科学をテーマとした記事を寄稿。
関連キーワード
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
汝のおっぱいを知れ。
2013/11/17 13:15
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:allblue300 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「汝の乳房を知れ。」
おっぱい、大好きだ。おっぱいが嫌いな男性なんていない。もしいたら、そいつは嘘つきだ。朝からおっぱいを連発してしまった、失礼。本書『おっぱいの科学』は、おっぱいという身体器官が環境とどのように関わってきたのかをひもとく歴史物語である。
環境によりおっぱいがどのように磨き上げられ、そしてまたいかに損なわれてきたか。大きなテーマは乳がん。これを女性特有のものと侮ることなかれ。男性にも乳がんはある。まるまる一章を割いて書かれている。女性患者100人に対して男性1人の割合であるという。思っていたよりも高い確立だった。
著者のフローレンス・ウィリアムズさんが、乳がんの有力な犯人候補として上げているのが身の回りの化学物質。冒頭の「汝の乳房を知れ。」はフローレンスさんから読者への熱いメッセージ。乳がんについて、自身のおっぱいについてもっと知ることが重要。いかにわれわれの大切なおっぱいが汚染されているかを知る必要がある。
本書を読めば、あなたも今日からおっぱいのエキスパートになれる。おっぱいの構造と働き、その究極の不自然史というべき豊胸手術、母乳にまつわるあれこれ、乳がんと化学物質の関係などなど、現状と研究の最前線を紹介している。フローレンスさん、よくぞここまで研究された。彼女のおっぱいに対するあふれんばかりの愛情が胸いっぱいに感じられる。女性は必読。もちろん、おっぱいが大好きな男性諸氏も読んでおくべき一冊である。
女性の皆さん、もしご存知であれば余計な話になるけれども、このことを知っていますか? おっぱいの乳腺密度が高いことは、乳がんの最大のリスク要因になっている。そして、これは最も知名度が低いリスク要因でもある。女性の九割が自分のおっぱいの密度を知らないという。フローレンスさんの友人は医者に密度が高いことを指摘されて大喜びしてしまった。知っておくことの大切さを感じさせるエピソード。
乳がんはまだ原因がはっきりしていない未知の病い。それはおっぱいがそれだけ深遠なものということの裏返し。乳がんの環境要因の中で原因として立証されているのは放射線だけ。授乳という言葉にかけて、おっぱいがさらされている現状を端的に表している。われわれは乳を授けるのではなく、乳に何かを(おそろしい何かを)授けてしまっている。
われわれは工業が生み出した化学物質に囲まれて暮らしている。おっぱいはその現実を映し出す鏡。おっぱいはスポンジのように化学物質を吸い上げる。消費者文化の基準に照らして綺麗になることは、おっぱいを汚染させてしまうということでもある。個人でこれらからおっぱいを守るには限界がある。国と企業がその姿勢を改めてくれない限り、おっぱいの汚染は続いていく。われわれがどんなに情報武装をしても限界がある。規制をかけて取り締まることが必要だ。
おっぱいによって育まれてきた人類。われわれの身体の見張り番をしてくれているおっぱい。おっぱいを守ることはわれわれ自身を守ること。個人の意識も当然に必要。しかしながら、より求められるのは社会レベルでの予防である。フローレンスさんはそこを強く訴えかけている。
これほどまでに期待以上だった本はない。おっぱいを徹底的に科学することの期待に応えながら、乳がんを通して社会に訴えかける声が胸いっぱいに広がる。惜しいのは、多くの人が手に取りにくいかもしれないタイトル、表紙、そして2,940円という価格。しかしね、この価格は高くない。居酒屋で一杯ひっかけることを考えたら安いもの。一杯よりもおっぱいである。汝のおっぱいを知れ。