紙の本
中性子星上の生命
2002/02/14 04:53
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
中性子星上の生命を描いたハードSF。科学者作家フォワードの作品だけあって、科学的な正しさは最高レベル。ある種SFの究極を行っている作品である。
太陽系のごく近くに発見された、中性子星〈竜の卵〉。しかし表面重力670億Gのこの世界も生命を生んでいた。核反応ベースのミリ単位のサイズの知性体チーラである。
〈竜の卵〉を訪れた人類の宇宙船は、彼らとのコンタクトを試みる。時間感覚が人間の100万倍のチーラの文明は、人類との接触の影響で、わずか数日で文字通り爆発的な進歩を遂げ、そして——。
正直に云って、ストーリーテリング的にはさほど特筆すべきところはないだろう。しかし緻密に構築されたこの異世界の作り込みのすごさは、そんなことはどうでも良いという域に達している。
ハードSFを語ろうと思ったら、絶対に外せない作品である。
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超重力生物チーラ。その生涯は人間の100万倍の速さ故に、観測をはじめて数時間で彼らは人類の知識を超えてしまう。人間の歴史をファンタジーで読んだような気分になります。
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2049年、太陽系に近づいてきた中性子星に探査宇宙船を送り観測を開始した。
まさか重力670億Gのこの星に知的生物がいようとは!
この生物の時間感覚は地球の100万倍な為、最後にはスゴイことに。
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非情(常)な重力が支配する中性子星に発生した知的生命チーラの、人類の100万倍のスピードで駆け抜ける生活とつかの間のコンタクトを果たす人類の物語。
などと書くと、もろハードSFだな。いや、実際作者のフォワード自身が現役の物理学者だし、テーマそのものもハードSFにふさわしいものなのだが、それにも関わらず妙に人間的なチーラの冒険に手に汗握らずにはいられないだろう。
ただ、緻密に構成された中性子星の世界は、想像力に欠ける人には難解以外の何ものでもないだろうが・・・
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ファーストコンタクト系は元々大好きなのですが、相手の設定がとても面白い。結晶構造を「見」ていたシーンが羨ましかった・・・。
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ハードSF長編。続編「スタークエイク」も出てるよ。
「重力670億Gの中性子星の文明のお話」ってだけでも面白そうなのに文明の発展の様子やその中の一つ一つのドラマがものすごい緻密さ精巧さで描かれててなにこれとんでもない!!
ハードSFとしてのいろんなギミックも隅々までしっかりしてるし専門的な話もあちこちに盛り込まれてるけど、そのわりに文章自体はさっぱりめに取っつきやすく読みやすめ。
物語としてもしっかりしてるので、特に科学好きって訳じゃなければ堅めなところは斜め読みで物語として読んじゃうのがいいです。特に堅めな人類パートは序盤抜けたら脇役だし(←
本格ハードSFだけど幅広い層におすすめできます。SF史に残る大傑作!Favorite!
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遠い昔、地球からおよそ五十光年の彼方で、超新星爆発があり、ひとつの星が重力崩壊を起こした。星は収縮して途方も無い密度となり、一秒に五回もの自転をして、およそ五十万年に一度、太陽系を掠めて楕円軌道を周回する、ひとつの中性子星となった。直径およそ二十キロ、表面重力六百七十億G、鉄の蒸気からなる大気を持ち、強力な磁場がこの星の地表を覆っている。
この星の誕生から五十万年あまりのときを経て、2020年、再び太陽系の近くを通りかかったこの星、<竜の卵>の地表には、信じがたいことに、知的生命体が独自の文化を育みつつあった。
そんなこととは露知らず、地球の天文学者たちは、この中性子星の接近に喜び、一隻の宇宙船を出して、<竜の卵>地表の観測を開始する。
地球人の優秀な宇宙飛行士たち人間と、<竜の卵>の地表に棲む知的生命体<チーラ>の間には、体感時間に膨大な差があって、人間の一分が、チーラのおよそ二年にあたる。その中で、彼らがどのように接触し、どうやって交流を図っていくのか。<チーラ>側の視点と人間がわの視点とを、交互に追っていきます。
うわあ……SFって面白い! 読み終えてじたばたさせられました。
先に述べた、二種族の体感時間の差を利用した構成が秀逸です。
少し厚めで文字は詰まってるし、ハードSFで、ぱっと見にはとっつきにくそうな本ですし、実際、専門的な知識がいる部分が頻出するので、そういう意味ではけして読みやすくはないのだけれども、ドラマチックな展開があり、息を飲むような盛り上がりがありと、難しい部分をあるていど理解できる素地があるか、あるいはわたしのように、分からない部分はさらっと流してなんとなく読まれるか(おい)、どちらかできれば、すごく楽しい本だと思います。
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2010/04/20
「オチ」で★1個分マイナス。着想やストーリーテリングには非凡なものがある。途中からぐいぐい引き込まれた。
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地球とは全く違う環境に発生した生物の進化と人類との遭遇と離別の物語。
天文学と物理学の知識があるとニンマリできる小道具もいっぱい盛り込まれています。
物理法則にほとんど仮定を持ち込んでいないので、技術的課題をクリアできれば、50年後くらいに本当に起こっても不思議ではないと感じさせるところがすごい。
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体長3mmの知的生命体"チーラ"が人類の100万倍の速度で生きているのは、0.2秒で自転する中性子星。探査船に乗った人類とのファーストコンタクトからの加速感がたまらない。素晴らしい作品でした。
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Science部分は半分くらいしか理解できなかったけど、それでも充分Fictionとしては楽しめたよ。
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数ミリの異星生物が、発生して進化し、そして人類を追い抜くまでの物語。
時間の流れが違うので、観測する人間にはそれら全てが数日での話となる。
SFを土台とした、素晴しい架空歴史小説。
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マイク・ブラザートン著「スパイダー・スター」の現役科学者が書いたハードSFつながり。「スパイダー・スター」が不完全燃焼だったので再読してみる。20年前の衝撃度は薄れるものの、今でも面白い。これを読んだあと、目玉12個のちびアワビのような中性子星の生き物が夢の中に出てきた事が思い出されます。中性子星上の生命と人類の接触の物語ですが、設定が凄まじい。直系20kmの中性子星「竜の卵」は毎秒5回自転しており、重力は670億G(ひ〜)。磁場は1兆ガウス(おぉ)。大気は深さ5cmの鉄の原子核蒸気(何ですかこれ)。地殻は超流動体の中性子。50万年前の超新星爆発の影響で太陽系にむけて接近。そこに発生した生物は大きさ5mmのアワビのような知的生物に進化。分子として物質は存在できないため、科学反応は原子核レベル。そのため人間の100万倍の生活速度で進化して行く。接近してくる中性子星への探査船「ドラゴンスレイヤー号」もすごい。400Kmの軌道上まで接近し巨大な潮汐力でばらばらにされないように圧縮した小惑星を6個探査船の回りを回転させて観測するのだ。これがないと202Gの潮汐力で体はバラバラ。危ないだろ〜。命がけで観測する人間との中性子星の生物との「一生」の付き合いは15秒、宇宙空間での接触は1秒!という、このずれ具合とブラックホールまであと一歩という高重力下の異様な環境。シビれます。中性子星の生き物が人間と同じ思考をするのか?という突っ込みは無用。この設定で人間とコンタクトできる生き物として創造して楽しんだフォワード博士はエライ。(レム先生ごめんなさい)ブラザートン博士、見習ってちょーだい。
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タマゴが発生した過程や毎秒5.0183495回転の自転、
670億Gや分子結合のかわりに核融合、強烈な磁場。
全く分からないし想像できません。
しかし、異世界の生物の進化、速度の違いを超えて
探究心や理性、異世界への尊厳について
スウィフト=キラーの行動はもちろん
たった1.2秒の直接的な接触にいたる
それぞれの世界の接触は鳥肌が立つほど刺激的である
ばかりでなく、感動的。
時間の流れの違い、進化の速度がいつの間にか教師と生徒を
逆転させていても、その与えられたものに対して
相手の力を信じて先に進むための鍵を残しておくことところが
相手を尊重した「心」の部分に触れているようで
よい、異文化コミュニケーションだと思った。
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地球的な惑星にしか生命は発生しないと言う常識を変えてくれる。宇宙はとてつもなく広いからあっても良いかな・・。