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紙の本
80年代SFの粋
2001/12/17 05:24
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
80年代の欧米SFの粋を集めた日本オリジナル編集のアンソロジー。SF者でまだ読んでいない人はいますぐ読むように……と言い切るだけでも良いのではないかと思えるほどの、傑作ぞろいのすばらしいアンソロジーである。
このアンソロジーは、80年代の中短篇の中から、編者らの心になんらかの深い印象を残している作品を選りすぐったものだとのこと。80年代というと、即座にサイバーパンクと連想してしまうものだが、特にサイバーパンク関係ばかり収録されているわけでははない。バラエティに富んだ傑作群が29篇、ぜいたくに収められた上下二巻である。
中でも、下巻に収められたグレッグ・ベアの「鏖戦」が出色の出来。これを収めるがゆえに、このアンソロジーが取り沙汰されることがあるくらいの作品である。
「鏖戦」は、いつとも知れぬ遥か未来、全滅戦争を戦う人類と異種属〈施禰倶支/セネクシ〉の戦いの物語だ。特に日本人にはお馴染みの(!)シチュエーションの戦闘が繰り広げられるこの物語は、しかし単純な戦争SFではない。異様な変貌を遂げた人類、人類化した〈施禰倶支〉の一個体、そして人類の歴史を収める記憶装置〈マンデイト〉が織りなす物語が、SFならではのめくるめくヴィジョンを繰り広げる。読み終わってからしばし茫然としてしまうような、異様な迫力を持った力作である。
この物語はまた、翻訳者の妙技によって、翻訳の段階で何倍も輝きを増している作品だ。こういう翻訳はどんどんやってもらいたいと思うのだが。
さて、もう一作、上巻に収められた「みっともないニワトリ」も心に残った作品である。
ある日、バスの中で絶滅鳥の本を見ていた主人公。彼が開いていたページの絵を見て、たまたま居合わせた銀髪のご婦人がいわく、「長いこと、そのみっともないニワトリは見てないわ」。だがそれは18世紀に絶滅したはずのドードー鳥。かくして生物学者の卵である主人公は、「〈ネイチャー〉の表紙だ!」「6時のニュースだ!」とわめきながら、国中を、そして地球の反対側へと飛び回ることになる。
ユーモラスでどことなく哀しい、しかし心にあたたかいものが残る作品である。
他の作品も粒揃い。SFを読むものみんなに手に取ってみてほしい本である。
紙の本
内容紹介
2003/06/24 15:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
八〇年代。世界のハイテク革命とともに、英米SFはその地平を飛躍的に拡大した。今まさに豊饒を謳歌する現代SFの中から、ギブスンやスターリングら人気作家の傑作・代表作を画期的な日本版オリジナル編集で結集。八〇年代SFの到達点を精選した、新たな時代の幕開けを予感させる記念碑的アンソロジー登場!