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紙の本
もっと突っ込め
2008/03/19 21:32
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1部 教育とは何か
第2部 教育と社会体制
第3部 大学生活五十年を振り返って
第4部 日本の学校教育制度を考える
うざわひろふみは1928年(鳥取県米子市)生まれ。髭オヤジ。日比谷高校(東京都)卒業後,東大数学科へ。スタンフォード大助教授(59年,31歳),カリフォルニア大学バークレイ校助教授(60年,32歳),スタンフォードに戻って準教授(61年,33歳),ワルラス一般均衡理論で博士号(だが請求先がどういうわけだか東北大学),シカゴ大学(教授,64年,36歳!),東大に戻ってきてどういうわけだか_助_教授(68年,40歳),文化功労者(83年),89年に東大を定年退職して,新潟大,中央大,同志社大と天下りを歴任。日本学士院会員(89年),米国科学アカデミー客員会員(95年),文化勲章(97年),Econometric SocietyのFellow(終身)。Econometric Society会長(76-77年,48-49歳)。浅子和美、吉川洋、清滝信宏、ジョセフ・E・スティグリッツは門下生(以上,Wikipedia)。自他ともに認めるリベラル。森嶋道夫と並んで,間違いなく日本が生んだ世界水準の経済学者のひとり。
本書劈頭で,「悪態」をつく「かわいい子供たち」が「現行の抑圧的,差別的な学校教育のもとで,一人一人が持っているゆたかな才能,すぐれた能力の蕾を痛めつけられ,あるいはプライドや誇りを傷つけられて悲しい思いをしています」なんて書いて,ほぼこれと同じ台詞をエピローグでも反復してるくらいだから絶対にリベラル。間違いなくリベラル。
宇沢ファンには堪らない垂涎の新書のはず。本書目次_だけ_を見たら,天才宇沢の教育論が展開されていると感じられるが,じつは「東大48年三羽烏」の一人=石川経夫の急逝で空いた穴を宇沢が大慌てで埋めてしまってできた新書。したがって,悲しいが宇沢の雑文集と堕している。第3部(約70頁,本書の3分の1)は自分史とイチャモンに対する反論など。“日本の教育”を論評したものではなく,“自分の教育”を記述したもの。第1部の一部は,自分が編集に参加した算数の教科書の自画自賛。期待して購入した読者をこれだけ裏切ってるんだから,じゅうぶん“悲しい”。さっさと絶版にして,書き直して欲しい。日本でも多くの読者が信頼を置いている実態に宇沢はにあまりに無自覚だ。永六輔『大往生』以来,最近の岩波新書は軽薄短小路線を直走っているが,大塚真一と井上一夫(本書編集員)は世界水準の大研究者を前に怯み過ぎだ。岩波新書はもっと崇高な目標を追求してほしい。もっと突っ込め。(1012字)